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18 人と犬の覚悟

わが家の愛犬、チョットが人を咬んでしまった。車に乗せて外出し、帰宅した時の事だった。妻がドアを開けてチョットを降ろそうとした際、背後から「まつおさん、まつおさん!」と大きな呼び声にチョットが飛び出した。リードが妻の手から外れた。チョットは一目散に声の方向に走り、近所の知人の両足に咬傷を負わせてしまった。
 
すぐに知人を乗せて病院へと走り、治療を受けた。出血部を消毒し、抗生剤が投与された。軽傷ではあったが人を傷つけてしまった事に変わりはない。夜だったので翌朝、保健所へ連絡をし、人を咬んでしまった旨を伝えた。私はチョットに対するどんな処分をも覚悟した。どんなに可愛がっていようと人を傷つけてしまってはアウトである。チョットがいなくなった生活を、私は想像した。
 
後日、保健所から職員が来宅し、私は加害報告書を提出した。車に乗せる際はゲージに入れる事、というのが保健所からの指導であり、行政的な手続きはそれで終了との事だった。「注意をして今後も飼われて下さい」と言われた。
 
ケガを負わせてしまった先方は、傷も癒え元気に畑仕事をしている。礼を尽くし、後腐れも生じていない。チョットと私の間にはもう一度、飼い主と飼い犬という管理にかかわる明確なラインが引き直された。

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