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28 予測不能なノート術(2)- なんのためにノートをとるのか - バレットジャーナルのススメ

さて、ネットで「ノート術 手帳術」と検索すると膨大な量の書籍情報や記事が現れる。それだけノートには効用があり必要とされていながら、それを上手に使いこなせず途方に暮れている人が多いと言うことでもある。10月を過ぎると文房具屋や書店にはたくさんの手帳やノートが平積みされ、「これさえあれば何もかもが上手く行きそうな気がする」との期待のもとに人々はそれらを買い求める。そして半年もたたない内に、あれほどの希望を集めたノートたちは引き出しや本棚の隅でホコリをかぶる事になる。何かが間違っているのだ。
 
現在、世界中でその効果が実証され多くの人に受け入れられているノート術がバレットジャーナルである。バレットジャーナルを考案したライダー・キャロル氏は、幼少期にADD(注意欠陥障害)と診断された。現実とうまく付き合えないのだ。そんな彼が、困難な社会生活を乗り切る手段として、1冊のノートで自分の行動を見守る仕組みを日常の中で築き上げた。図らずもそのメソッドは多くの人の生活や仕事をスムーズに進行させるツールとして世界中で愛される事になった。
 
何気なく「自分の行動を見守る」と書いてしまったが、バレットジャーナルでは自分自身のログつまり記録と展望、そして経過。それらを坦々と綴りゆく。日常の中で検証されながら組み上げられたその方法論は、当然のように現実世界の様相としっかりと噛み合うのである。スケジュール管理とメモ程度のイメージで買われたノートや手帳がすぐに本棚の飾りになってしまう原因は、スキームそのものが現実世界とマッチしていない事にある。
 
よく忘れ物をする、生活の中でウッカリが多い、忙しさに将来を見通す余裕を失い不安を抱えながら毎日を過ごしている、何とかしたいのだけれどどうすれば良いのか見当がつかない、そんな人にはバレットジャーナルを試してみる事をオススメする。ネット上にも情報は多いが、しっかりとコンセプトを押さえるためには、下に示す考案者自身の書籍と、端的に方法論を記した書籍に目を通した方が良い。
 
【考案者・ライダー・キャロル氏の本】
・『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』 ライダー・キャロル  2019年/ダイヤモンド社
【わかりやすく手法を記した本】
・『「箇条書き手帳」でうまくいく はじめてのバレットジャーナル』Marie 2017年/ディスカヴァー・トゥエンティワン
・『ロイヒトトゥルム1917ではじめる箇条書き手帳術 もっと自分を好きになる! バレットジャーナル完全ガイド』株式会社平和堂(監修) 2018年/実務教育出版
 
来週からは、実際にバレットジャーナルを作り上げながら、現実を表現する手法としての「書く」ことの意義、そして表現される側の「現実」について話を進めていく。このシリーズに「予測不能なノート術」とのタイトルを付けたが、「なりゆきまかせのノート術」と言い換えても良いし、「日日是好日ノート術」と言っても良い。つまり、ノートは予測不能な現実社会で成り行きを見守りつつ日日是好日と思える自分であるために書く。そのために、ノートはある。

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