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1 新年

さて、2022年、令和4年、平成で言えば34年、昭和なら97年、大正だと111年。1月は和風月名で「睦月」。「正月は身分の上下なく、また老いも若きもお互いに往来して拝賀し、親族一同集まって娯楽遊宴するという睦び(親しくする)月の意である」(『現代こよみ読み解き事典』柏書房)とある。
そして1月5日は旧暦の12月3日。二十四節気では「小寒」、寒さが最も厳しくなる時期の前半なのだそうだ。七十二候は「芹乃栄(せりすなわちさかう)」芹がよく生育する時である、と。1月7日の七草粥に芹が入る理由がよくわかる。
 
こうしてつぶさに暦を見ると、「今」を構成する要素に気持ちを向ける事ができる。私はプログラマーで、うるう年計算など暦はひとつの関心事であった。上掲『現代こよみ読み解き事典』も20年来の座右の書である。といっても二十四節気や七十二候に関心が向いたのはつい最近のことなのだが。
 
陰陽師といえば映画などで超人的な幻術使いのようなイメージがあるが、実際は陰陽寮という国の省庁に仕えて天体観測や時間の計測、暦の作成をおこなう役人であった。つまりは科学者である。(明治維新後に陰陽寮が廃止されて東京天文台が暦に関する業務を行うようになった)緻密な現実認識を基盤として先々の予測やものごとの吉凶判断をする事ができた。安倍晴明などは天文学でつちかった卓越した計算能力が買われて主計寮、今で言えば財務省に異動させられている。そんな卓越した能力が一般庶民には幻術的な力として捉えられたとしても不思議ではない。
 
緻密な観察による現実認識が、現実を変える力になる。日々、見たもの、感じたことを言語化・数値化して記録すること。それが先々を予測する力となり、ものごとの良し悪しを判断する力となる。
 
私が事務局を務めるNPO法人奄美食育食文化プロジェクトは、昨年末に出版者登録をおこない、これまでに蓄積したコンテンツをもとに出版事業をおこなってゆく基盤が出来た。新たなスタートだ。新年、具体的に現実を変えゆく一歩を踏み出したい。
 
*今週の参考図書
 ・『現代こよみ読み解き事典』
  岡田 芳朗 阿久根 末忠 (著)  1993年/柏書房


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