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クソ熱いスペインでエアコンなしの地獄(Gもいたよ)

暑い暑いアリカンテ


今スペインのアリカンテに滞在しているのだが、とにかく暑い。先週はこの町で働いていた人が暑さで3人亡くなったそうだ。

ヨーロッパにいる時間が長くなればなるほど、できるだけ節約したいと考えるようになる。次に滞在するアパートはAirBnBでの評価も高く、町から少し離れているため値段もお手頃。写真を見る限り内装もリノベーションされていてきれいだ。小さなテラスも魅力的。ちょっと危険な地域に近いがきっと大丈夫だろう。私は新しい部屋に行けることにちょっとだけワクワクしていた。

言葉が通じない場所でSIM切れの恐怖


前のアパートを掃除し、鍵を部屋においてドアを閉め外に出た瞬間携帯電話がインターネットがつながらないことに気が付いた。SIMのマークが出ていない。おかしい……すぐにピンときた。海外で使えるように購入していたSIMのパスが切れたのだ。部屋にいる間は自動的にWIFIにつながっているので気が付かなかった。急いでWIFIが使える場所を探さなければ、次のアパートに行くためのCabify(配車アプリ)を呼べない。

バカでかいスーツケースを引きながらバックパックとパソコン入りのトートバックを担ぎ、手ごろなカフェを探す。後ろからは、バカでかいテニスバッグを抱えた子供たちが大きな声で喧嘩をしながらついてくる。この時気温は34度。

どういうわけかアリカンテの町中にあるATMでは私のキャッシュカードが機能しないので手持ちの現金が底をつきかけている。カードが使えそうなカフェを探しては「カード使える?」を繰り返す。カードOKなカフェを見つけ、子供たちにランチを取らせるために席に着いた。

メニューにあるハンバーガーは売り切れとのことだったので、ハムアンドチーズのサンドイッチをオーダーし、アイスティーを二人に渡す。とりあえずこれで静かにしていてくれ……。10分でいい。

店にWIFIの表示があるか確認するが、どこにも記載がない。スタッフに聞くが英語が通じず、私の怪しすぎるスペイン語も通じない。とりあえず子供たちにランチを食べさせられるだけでもありがたい。私は食欲なし。とにかく次のアパートにつかなければ。

余談だが、スペインでは日曜日となるとスーパーマーケットも閉まる。空いている店も夕方5時ごろに閉まる場合がほとんどだ。子供たちのランチが終わると時間はもう午後3時。このままうだうだしていると本当に打つ手がなくなる。

支払いの際、嫌な予感はしていたがクレジットカードを読み込む端末がうまく機能しない。ヨーロッパあるあるだ。相手は「あんたのカードがおかしいよ」と言っている。いや、さっき使ったばっかり……でも伝えるすべがない。

「No tengo dinero(金がない)」と言ってなんとか端末を動かすよう促す。店員が端末をコードにつないだり抜いたり何度もするうちにいきなり動き出した。これでやっと店を出ることができる。

席に戻ると子供たちがまた喧嘩をしているがそれをかまっている余裕は皆無だ。スーツケース、バックパック、トートバッグを担ぎ店を出る。WIFIが使える店を探すのだ。

3つほどカフェをのぞいた後、4つ目のカフェに突入。店員は若い女性だ。可能性を感じる。「Tienes internet?(インターネットある)」と、知っている単語をつなげる。すると彼女は「Yes」と英語で返してくれた。これでCabifyを呼び、アパートにたどりつける。彼女が出してくれたカプチーノ、一生忘れない。

WIFIとおいしいカプチーノを提供してくれたカフェの彼女に感謝

エアコンはどこだ⁉


無事Cabifyが到着。スーツケースを入れるためトランクを開けようとしても、開けるためのボタンが見つからない。もごもごしてると運転手が出てきて「No saves?」と言ってきた。「知らないの?」ってことか?と思ったがとにかくそれはどうでもいい。私たちをアパートに連れて行ってくればそれでいい。

アパートまでは5分ほどで到着した。部屋の前でオーナーに連絡すると、道の反対側からすっ飛んできた。部屋は3階(スペインでは2階)だがエレベーターはない。思いスーツケースを持ち上げようとすると、オーナーが代わりに運んでくれた。これは本当に申し訳ないが、非常に助かる。尋常じゃなく重いから……

部屋に入り洗濯機やコンロの使い方をオーナーからざっくり説明される。スーパーに行かないと夜ご飯を作れないのでそればかり気になっていた。日曜は空いているスーパーが限られているが、明日からは大きなスーパーが徒歩3分のところにあるそうだ。

オーナーは必要なことだけ伝えてサクッと帰っていった。そこでふと気づく。この部屋尋常じゃなく暑い。エアコンつけよう……ってエアコンどこ⁉私は暑さとまさかの気持ちで一瞬志向がストップした後、ダッシュで寝室をのぞいた。身長ほどの高さがある扇風機が置かれていた。

この部屋、エアコンない…受け入れがたい事実だ。クタクタになってやっと到着した部屋にエアコンがない。全く風が入らず部屋の温度は外よりも高そうだ。窓から西日をばっちり取り込んでいる。

とにかく子供たちの夕食を確保しなければならない。窓を全開にして扇風機を付け子供たちの安全を確保してから、急いで近所の店に出かける。ここでも問題発生だ。ほとんどの店がキャッシュしか使えない。スーツケースの中にパスタとトマトソース、オリーブオイルがある。店ではトマト3つとジャガイモ2つ、玉ねぎ1個を購入した(肉や魚は置かれていなかった)。トータル1.3ユーロ。安すぎない?とにかく何かしらを作るために家路につく。

と、道端に置かれたテーブルでおいしそうなパエリアを食べている人たちを見かけた。肉を食べさせられる!と、とっさに店の中に入った。アスリートの子供たちにとって、肉や魚を食べるのは非常に重要だ。中に入り、クレジットカードが使えるか、テイクアウトできるかを確認する。どちらもOK。3人分のパエリアをオーダーした。あとで一息つけるよう、缶ビールと共に。

パエリアが出来上がるのをバーで待つ

部屋に戻り、みんなでパエリアを食べビールを飲んだ。暑い中で飲むビールは格別だ。ほぼ水風呂のシャワーを浴び、一瞬だけ幸せな気持ちになった。子供たちも寝る時間だ。

床で眠る魔の中の警備員


扇風機をベッドで眠る子供たちにあて、自分はその恩恵をあずかるためにすぐ横の床に布団を敷いた。夜になれば少しは涼しくなるだろうという予想に反し、夜中まで暑かった。

窓を閉めるとより暑さが増すので窓を開けっぱなしにする。でもここはスペインだ。3階の高さとはいえ、向かいのマンションの窓に鉄格子がついているのを見ると、開けっぱなしは非常に不安だ。警備員としても機能しなければならない。

いろんな意味で全く眠れず、冷蔵庫の中に頭を突っ込んだりしながら朝を待った。適当にネットフリックスを見ていたら、どうやら3時ごろ眠りについたようだ。6時半に起きると気温が23度になっていた。朝方になると気温が下がって眠りやすくなるんだー……って発見したけどやっぱり明日は無理だ。移動しよう。

ホテルを予約し6時半からパッキングをはじめた。出るんだ。ここから出るんだ。7時半までにパッキングと朝ごはんの用意を済ませ、子供たちをたたき起こした。歯ブラシなど最終的なパッキングを終えスーツケースを閉じようとしたとき、その下から黒い虫、ゴキブリが出てきた。いるんだ、ゴキブリ。息子にトイレットペーパーを取りに行かせ、冷静に抹殺した。すると今度は靴を履こうとしていた息子が別のゴキブリを発見。結構たくさんいるらしい。早く出なければ。

部屋に忘れ物がないか確認。扇風機を元に戻そうと持ち上げたら、なぜか蓋が外れくるくる回る部分がバコッと落ちた。この拷問部屋に泊まり、かつ扇風機代まで払わされたら大変だ。必死に頭を働かせ、2分で修理を終える。あとは重過ぎるスーツケースを一階までおろせば脱出だ。

狭い階段を一段一段降りていく。この作業、ヨーロッパに来て何回しただろう。ヨーロッパには段差が多い。エレベーターがないところも多い。

やっと最後の段だ、と思ったところで軽くスーツケースが階段の横の壁にぶつかった。すると壁がごそっと剥がれ落ちた。70センチ四方はあっただろう。これを落として割ったら金を払わされるかもしれない。スーツケースを抱えながらギリギリのところで壁をキャッチ。そのまま片手ではめ込み、ついにアパートを脱出した。

テニスキッズの帯同には、こんな小さなそれでも私にとっては大事件がつきものだ。今はすべてを楽しむ余裕などないけれど、いつかきっと笑えるに違いない。

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