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認知科学コーチングでよく聞く『現状の外側』の落とし穴

こんにちは。てらだです。
今日はコーチングの話をします。

このnoteは、認知科学コーチングを受けたことがある方、気になっている方、提供しているコーチの方に読んでいただけると嬉しいです。

認知科学コーチングの思わぬ落とし穴にはまらなないように。落とし穴にはまっても自分で這い上がってこれるように。コーチがクライアントを落とし穴に落としてしまわないように。

そんな願いを込めて書きます。

※認知科学コーチングを否定する内容ではないので、一緒にコーチングへの理解や思考を深めていければと思います。
※認知科学コーチングにおける一部の正解(教え)があるのは理解してますが、このnoteではよくある実情をベースとした切り口で書いています。

認知科学コーチングにおける『現状の外側』とは?

認知科学コーチングに関わっている方であれば、『現状の外側』というワードに対して何かしらイメージがあると思います。

どんなものが連想されますか?

「とんでもない挑戦」
「今までやったことのない挑戦」
「想像したこともない挑戦」
「ワクワクと恐怖が共存する挑戦」

他にも、
「人生を変えるもの」
「劇的に成果をあげるもの」
「コンフォートゾーンから抜け出すもの」
「力強く突き抜けるもの」

このようなイメージがある方が多いのではないでしょうか。

客観的にみてそのようなイメージを持っている方が多いのではないかと感じます。

その『現状の外側』を扱う認知科学コーチングが普及しつつあります。

まずここで一つ疑問が浮かび上がります。

問.1
「現状の外側」は挑戦や力強さを生み出す手段であるが、コーチングで扱うテーマの対応範囲として万能なものであるか?

問.2
「現状の外側」をメインで扱う認知科学コーチングは、誰のためのコーチングなのか?


『現状の外側』における落とし穴

コーチとクライアントの間で認知科学コーチングの前提が揃っていないと、落とし穴にはまってしまうケースがあります。

認知科学コーチングでは「現状の外側」への挑戦がコーチから要請されることが多いです。
なぜならば、そもそも「現状の外側」へ挑戦したい方やする覚悟を持っている方を前提として、それをサポートするスキルを持っているからです。

つまり、誰のためのコーチングかとに言うと、「現状の外側」へ飛び出し、パワフルに挑戦する人のためのコーチングなのです。

実際、皆さんの周りではどうでしょう。

問.3
「現状の外側」へ挑戦したいと本気で覚悟を持った方だけがコーチングを受けているか?

この問によって、少し落とし穴の淵が見えてきたかもしれません。

さらに、もう一つ重要な疑問があります。

問.4
「現状の外側」へ挑戦したい人は、挑戦すること以外に大切にしていることや悩んでいることはないだろうか?

どうでしょう。
少しずつ落とし穴の輪郭がはっきりしてきたでしょうか。


落とし穴にはまるとどうなるのか?

落とし穴にはまるケース(具体例)を書いてみます。

例)高橋さん(仮名)
人生にモヤモヤしていて今の仕事も辞めたいなと思っていた。そんな時に、どんどん挑戦をしてキラキラしてるコーチを発見。自分もそうなりたくて、思い切ってコーチングを申し込んだ。

コーチングに期待し、自分の人生も良くなるんだろうと思ってセッションを迎える。
セッションでは自分の強みやwant toが見つかり、今までに味わったことの無い感覚を得る。さらに、今まで描いたことのなかったような未来まで描けるようになった。コーチングって素晴らしい。最高だ。


(そこまでは気持かった。
そういえは、ここからどこか少し違和感が生まれる時間だったんだ。)


その後、待っていたコーチングは「現状の外側」への挑戦。
少し言いにくいが、挑戦への決断を要請される。そして煽られる。(直接的には言われてないけど、そんな空気だ。)

そして、決め台詞はこれだった。
「このままの人生でいいんですか?」

良くない。人生を変えるためにコーチングを受けたんだ。俺ややる。やるぞ。やってやる。

そうやって、決断した。

決断した時はドーパミンがドバドバ出て、最高の決断に思えた。コーチにも宣言したし、俺は挑戦する。俺はやり切る。そう思ってとにかくがむしゃらに行動した。


見方によっては、感動シーンのようにも見えますが、洗脳と同じで危険な状態でもあります

そして、その魔法が解けたころに再び違和感を感じるようになります。


あれ?走り続けているけど全然幸せじゃない気がする。何のために挑戦したんだったっけ。とにかく忙しくなって、進んでいるような気がするけど、何か大切なものを失っているような気がする。

いや、でも、そんなはずはない。そんなこと言いたくもないし認めたくない。これだけ頑張ってきた俺は正解の選択をしたんだ!!挑戦することは良いことなんだ!!!

そうやって、自分が見失ったものに目を向けられず、自分が下した決断を正当化しないと、どんどん心が持たなくなってくる。

そして、次に起こるのが他者を巻き込む自己正当化。

挑戦は素晴らしいことです!現状の外側にいくことこそが人生の醍醐味だ!現状にとどまっている人生なんて生きてる価値がないですよ!このままの人生でいいんですか?さあ、僕と一緒に現状の外側へ挑戦しましょう!!

自分で自分を信じきれなくなってしまい、他者に共感を求めることで、自分自身を正当化しようとしてしまう。

このとき、自分の中に違和感があったとしても、なかなか目を向けられない。それはパンドラの箱だから。これまでの自分を否定する事実がその箱の中に入っている。開けるわけにはいかない。というか怖くて目すら向けたくない。

ーーーーーー

妙にリアルに感じられたかもしれませんが、ここから先は想像にお任せします。

高橋さんのように、「現状の外側への挑戦」の落とし穴にはまり、どんどん深くまで落ちてしまうことがあります。

問.5
なぜ、高橋さんはコーチングで人生が最高になりそうだったのに、苦しい人生に向かうことになってしまったのか?


『現状の外側」の落とし穴にはまる理由

高橋さんが苦しい人生に向かうことになった最大の理由。


それは、『スコトーマ(盲点)』

見落としていた「あるもの」があったからです。



『挑戦することが正義』だと信じることによって生まれる盲点(スコトーマ)。
挑戦することへ意識が向きすぎて、大切なものを見落としたまま、安直に挑戦に舵を切ってしまう。

さらに、その場を加速させる要因として、コーチのスタンスがあります。

コーチはそもそも「現状の外側」へ挑戦したい方やする覚悟を持っている方を前提として、それをサポートするスキルを提供すると言うスタンスです。

つまり、現状の外側の挑戦を生むことができないと「コーチング不成立」になってしまうという感覚があり、強引にも挑戦させようとしてしまうケースがあります。

本来挑戦できる状態にいないクライアントと対峙したとき、コーチはそのクライアントに対応できる手段を持ち合わせていないので、場に歪みが発生します。


このようにコーチが現状の外側に挑戦させるスタンスの時にもよく起こりますがその時に、見落としていた「あるもの」とはなんでしょうか?


それは、クライアントの『挑戦できない理由』です。

問.6
なぜコーチはクライアントの『挑戦できない理由』に目を向ける必要があるのか?


挑戦できない理由(ネガティブセルフトーク)は宝物

認知科学コーチング(コーチ)では、挑戦できない理由が出てきたとき「ネガティブセルフトークだから」と言って遮断することがあります。

過去は未来に関係なく、挑戦できない理由はコンフォートゾーンから出たくない言い訳なので、そもそも言葉に出させない。言葉に出さない方がいい。

そんな空気があります。(体験したことがある人は分かると思います。)

実は、これこそが最大の落とし穴なんです。

まず、『挑戦できない理由』には大きく分けて2種類あります。

①コンフォートゾーンから抜け出したくない言い訳(クリエイティブ・アヴォイダンス)

②自分にとって大切なものが他にあって「現状の外側」への決断をしたときに両立させられず、それを失ってしまうので守っている(大切な重要指標の出現&防御)

この二種類の『挑戦できない理由』を同じ扱いをしてしまい、挑戦できない理由が出てきたとき「ネガティブセルフトークだから」と言って遮断してしまいます。
すると、大切なものを扱わないまま「現状の外側」への決断をすることになります。

コンフォートゾーンから抜け出して「現状の外側」にいくことを目的とした認知科学コーチングで、現状の外側にいくためには、現状にあるものを捨てれば簡単なんです。

でも、そうやって作った「現状の外側」には、大切なものがいくつも無くなっているんです。スコトーマ(盲点)になって、見えなくなってしまっているのです。

その結果、『自分のチャレンジはできたけど、家族関係がボロボロになっていた』のようなことがよく起こります。


人は、挑戦できない理由を言うとき、そこには「自分にとって大切なものを守りたい」という願いが必ずあります。

認知科学コーチであれば、それをキャッチして未来に繋げることが仕事であって欲しいなと思います。


さて、本題に移りましょう。

と思いましたが、、、そろそろお疲れだと思うので、続きは次回のnoteにしましょうか。

問.7
私たちは何のために「現状の外側」へ挑戦するのでしょうか?

問.8
そもそも「現状の外側」とは何か?


<次回のnoteタイトル(案)>

認知科学コーチングにおける「現状の外側」の本質は挑戦ではない。



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