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小生書いてみたよ小説

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何か“降りてきた”ら、書きます、小説。
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#ホラー

バーの片隅で

バーの片隅で

聞こえる?

私、ここに居るの
そうよ、いつもの所

忙しい?
来れそうかな?

そう
じゃ、また今度

いつも来てくれたのに
大きな会社だから忙しいだろうなって
そう思ってた

次に誘うと来てくれた
気さくな笑い話が得意で
酔うと話が弾んだ

すごく忙しいんだろうなって
会えない間隔が広がってきて
淋しいけれどお互いかなって
そう思ってた

もう1年会えないのは
昇進して忙しくなったからって

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窓越しの恋人を

窓越しの恋人を

雨の時期になると
気が滅入る人が多いけど
私は大丈夫

私の部屋は戸建ての1階で
外には大きめの庇があって
こんな雨の日に
雨宿りするにはもってこいの場所で

すりガラス越しに
ちょっと屈んで外が見えない格好をして
どんな人が居るのか見るのが好き

何だか一人じゃない気がして嬉しくなる
そう、
いっそ、
その人を大好きと思ってしまうと
心がときめいて
白昼夢の世界に飛んでいける

今日は背の高い人

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隠し事

隠し事

今私は隠し事をしている
昨日の夜から夜中にかけて
物凄く力を使った

私は死体を隠している

どうして男はああなんだろう
優しい顔をした狼は本当だ
狼の方が優しいかも知れない

間一髪で頭上から
フライパンを振り下ろした
頭から血が吹き出して倒れた
白い服だった
汚してごめんね

まだ誰にもバレていない
でもどうしようかと悩んでいたら
死ぬ為にお寺等を
お参りするツアーを見つけた

スーツケースに

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屍人の意識

屍人の意識

夏になると
自分の死臭を感じていたあの頃
それから長い間それは消えていたのに
また始まったようだ

今度こそ
今度こそお迎えがくる
今度こそ
本物を感じることすらできなくなる
頭の中にテロップがぐるぐる巡り出した

緊張で心が砕けたからだろう
人の心が見えて
しかも悪い思いが見えたので
パニックになり
頭の中が真っ白になり
でも追い打ちをかける様に
嫌だと思わているという相手の意識が
ズンズンズン

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