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世一杏奈(よいち・あんな)
2020年5月23日 23:58
誰が言ったか。何処で言ったか。いろどり山のその向こうクレヨン町も越えてったキャンパス野原のその先に真っ赤な国があったとさそこはどうして 赤しか許さぬ国なのだお城も赤色服も赤色食物 粧飾 真っ赤っ赤お空も地べたも赤色で見渡す限り 真っ赤っ赤この国のルールはたった一つ赤色だけを愛しなさい* * * * *お城は今日も賑やかだ真っ赤な国の王
2020年5月24日 19:00
(前回)* * * * *「林檎の王様、あなたはほとほと勿体ない」「はて、勿体ないとは何事か」「世界にはいろんな色がある。青、黄、緑に、紫、橙。なにも赤に限らない。それすら知らずに赤だけ好くとは、なんて勿体ない御人だろう」餅は やれやれ 鼻で溜息林檎の王様 わなわな 真っ赤「それは侮辱か! 無礼者! やはり焼いて食ってやろう!」「いやいや、いやいや、そうではない。落
2020年5月25日 19:00
(前回)* * * * *「餅よ。今日は如何様で?」親しげ話す 紙の魔女餅はまっすぐ声あげる「紙に、頼みがあってきた」「ほう、私に頼みとな」「実はここから三日の距離に、真っ赤な国があるのだが、どうもそこには赤しかない。ボクが国に入っただけで、白色狂人、喚かれた」「それはとんだ災難だ」「だからボクは言ったんだ。真っ赤な国の林檎の王様、いろんな色を知りなさい。ボクの
2020年5月27日 22:13
(前回)* * * * *ざわぞぞ ざわぞぞ 大変だ真っ赤な国に白が在るがやひそ がやひそ 驚いた赤をもたざる人が居る真っ赤な国は大騒ぎザクロ大臣連れて来た紙の魔女を連れて来た見慣れぬ色を持つ女何食わぬ顔で歩く紙すぐさま城に連れられて林檎の王様のまんまえへあまりの白さに驚愕するはぷくぷく太った林檎の王様ザクロ大臣 大仕事ようやく終えて
2020年5月28日 23:27
(前回)* * * * *林檎の王様 ご機嫌よろしく城の窓から 赤青染まった 町を見て頬をぷくぷく ならしている林檎の王様 落ち着かず城の窓先 まだ見ぬ色が 加わればどんな景色に変わるだろう* * * * *王様ギャフンと言わせず物足りず滞在続ける 紙の魔女あくる日 チャンスが降ってきた王様からの 唐突 呼び出し友のためにと すぐさま承諾何か
2020年5月29日 00:51
(前回)* * * * *真っ赤な国はお祭り騒ぎ赤だけなんて愛さない真っ赤な国は 三色国家現名称は 原色の国青も黄も愛しましょう三色すみれが華やいでそこらでサンバカーニバル腰振り 腰振り ラッタッタッ皆飲め 騒いで ドルンドルン僕らは赤色 情熱さ僕らは青色 冷静に僕らは黄色 好奇心それそれ みんなで 歌いましょうラッタッタッ ドルンドルン
2020年5月29日 22:55
(前回)* * * * *林檎の王様 眉ひそめ懇願 てのひら 合わせて胸へ紙の魔女は 困り眉困惑 てのひら 握って腰へ「ですが、餅が待っていますし」「まさか帰ると言いたいか」「いいえ、滅相もございません。では、一色といわず、複数色を描きましょう。これで最後です、赤の王」「かまわぬ、どれどれ、やってみよ」王様の言葉に渋々承諾 紙の魔女は高らかに音色を奏
2020年5月30日 14:28
(前回) * * * * * 林檎の王様 考えて紙の魔女に 問いかける「ところで、提案なのだが、聞いてくれ。私は更なる、更なる色を見てみたい」「と、言いますと?」「紙の魔女、この国に住んではくれないか。住んで、毎日、魔法を唱えてはくれないか。そうしたら、その都度、同様、こん盛り、褒美を与えよう」超過 超過 思考の超過更なる 王様 提案に紙の魔女は 生唾ごくり
2020年6月1日 23:35
(前回)* * * * *餅は未だ 森の中紙の住処 家の中友たる紙は ちっとも帰らぬ餅はなんだか心配だ言いつけ守ってカビを生やさず今もずっと待ち惚けだんだん だんだん 怖くなるずんずん ずんずん 嫌になる悪い予感は 頭を巡り巡りいても たっても いられずに白い体 伸ばして 飛び出した捕らえられるは覚悟の上真っ赤な国に向かったさ* * *
2020年6月2日 23:57
(前回)* * * * *かすれた笑い含ませて「ボクの願いを叶えたのだね、ありがとう」礼を伝える餅は悲しそう「なに、友のためだ、当然さ」誇らしげ喜ぶ紙を目の当たり餅は喉から必死に訴えた「これでボクは充分さ。住むなど言わず、一緒に帰ろう」「何を言い出す。餅は自由と言っただろう」「今の国の異色のパレード、これは紙がしたのだろう? もう、もう、色は充分だ、これ
2020年6月3日 23:31
(前回)* * * * *林檎の王様 とっても笑顔餅に感謝を述べていた「お前が紙の魔女を紹介してくれたおかげで、この国は大変潤った。お主の白い体も、改めて見れば美しい、すまないことをした。お前にも褒美を授けねば」林檎の王様 とっても笑顔口は回る 白い餅を褒めたくる黙って聞くは 怒りの餅話の見切りを見極めて鋭い眼差し 王様向けて「褒美はいらない。代わりに色を、