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【まつもとフィルムコモンズの歩み】完成上映会・小学生の地域映画・CF大ピンチ・地域再生大賞…そして2作目へ

私たち「まつもとフィルムコモンズ」がつくる地域映画の最新作『まつもと日和2』の公開が、今年の秋、10月26日(土)・27日(日)に決定しました!

信州・松本で撮影された8mmフィルムを集め、過去・現在・未来をつむぐ地域映画の第2弾。スポーツの祭典やメーデー、蒸気機関車、ノスタルジックな田園風景、昭和の「松本ぼんぼん」、あの名店のマスコットキャラクターのモデルなど、今回も貴重なフィルムが目白押しです。

信濃毎日新聞さんの密着取材も始まり、8月4日には<「8ミリ」を編む映画 市井の記憶をあすにつなぐ>という特集記事が掲載。

お盆の真っ只中、8月13日〜14日には、なんと初の銭湯で『まつもと日和』上映会を開催。2作目に向けて、盛り上がってきました。

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そこで今回は、第1作『まつもと日和」の完成上映会から現在まで、私たちの活動を簡単に振り返ってみたいと思います。新しい8mmフィルムやメンバーとの出会いに歓喜したことも、存続の危機に陥ったこともありました。昨年の春から今年の夏まで、激動の1年半をダイジェストでお届けします!


大盛況!『まつもと日和』完成上映会

松本の地域映画をつくりたい。そんな想いを持った有志が集い、まつもとフィルムコモンズが発足したのは2022年6月。当初のメンバーは13名でした。市民に呼びかけ、集まったフィルムは345本。それから8ヶ月、ついに第1作『まつもと日和』が完成しました(完成までの過程はこちら)。

2023年2月25日・26日、松本市中央公民館M ウイングで『まつもと日和』完成上映会を開催。市内外から約1000名のお客様が足を運んでくださり、2日間で全5回の上映は、いずれも大盛況となりました。

大学生や中学生など市民による合唱や演奏も

初回の上映前には、BGMを担当した松本市在住の音楽デュオ「3日満月」による8mmフィルムの映像に合わせた即興演奏や、中学生や大学生による合唱や演奏の音楽プログラムもあり、会場は温かい雰囲気に包まれました。

上映中は「おしゃべり自由」

上映中は「おしゃべり自由」。昔を知る人にとっては「懐かしい松本」、若者にとっては「見たことのない松本」の衝撃映像(!?)の連続に場内はどよめき、笑いあり、涙ありの、あっという間の73分。上映が終わると「ありがとう!」「良かったよ!」と多くのお客様が声をかけてくださいました。

上映後のアンケートでも、10代から80代まで、本当に幅広い世代からさまざまな想いが込められたコメントが寄せられ、胸が熱くなりました。

「記憶の中で薄れていた景色がくっきりと蘇った。何度でも見たい!」
「学生さんたちをはじめ、本当に大勢の市民の方が参加して作られていることに感激しました!」
「失われた街並みを後世に伝える貴重な史料として価値の高いものと感じます」
「移住者ですが、松本を自分のふるさとにできたような気がして泣けてきました。この街に来てよかったと心が温かくなりました」
「子どもの頃を思い出して、亡き父母の思い出も蘇り、胸が一杯になりました」

市内外に広がる上映会の輪

4月には新たな仲間も加わり、まつもとフィルムコモンズのメンバーは約20名になりました(現在はさらに増えて30名以上に)。

2023年度キックオフ会より

映画はつくって終わりではありません。私たちの次なる目標は、より多くの方々に『まつもと日和』を届けることでした。オンライン上映も始め、市内外に上映会の輪を広げていきました。

信毎メディアガーデンの上映会(2023.5.28)

4月には、私たちの拠点・築150年の古民家「松本深呼吸」で上映会&座談会を開催。その後も信毎メディアガーデンをはじめ、公民館、神社、カフェ、商店街での野外上映、県庁や市役所、市内外の映画祭など、さまざまな場所で上映を行い、希望する市民による自主上映会も30回を超えました。

中町商店街「蔵シック館」の野外上映(2023.10.10)

8月から10月にかけては、松本市美術館の企画展「映画監督 山崎貴の世界関連企画として、まつもと市民芸術館で全5回の上映会を開催しました。

今年3月『ゴジラ-1.0』で第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した山崎監督は松本出身。『まつもと日和』には、山崎監督が中学時代に撮った“幻のフィルム”と呼ばれる8mm映画『GLORY』が登場するのです。

「映画監督 山崎貴の世界」展関連企画・まつもと市民芸術館の上映会(2023年8月〜10月)

ただ、著名なアーティストのコンサートやオペラなど、さまざまな芸術鑑賞ができる松本を代表する大きな劇場で5日間もの上映会をおこなうことは、小さな市民団体にすぎない、私たちにとっては勇気をともなう挑戦でした。

初日の来場者は、期待を大きく下回る38名。「やっぱり無謀な挑戦だったのかも…」と落胆しかけましたが、回を重ねるごとにお客様が増えていき、10月の千秋楽は、ついに137名の方々にご来場いただくことができました。

小学生による地域映画づくりがスタート

2023年4月からは『まつもと日和2』に向けて新たな8mmフィルムの募集を始めるのと同時に、松本市立梓川小学校5年3組の「総合的な学習」の時間で小学生による「地域映画づくり」もスタート。
 
小学生が地元の人々に呼びかけ、8mmフィルムを探すことから始まり、松本市内外のクリエーターたちを講師に、インタビュー、効果音、音楽、予告編づくり、編集などを学び、地域の方々と関わりながら、映画の制作過程を体験する時間は、私たちにとっても特別な時間でした。

『梓川の映画学校』完成上映会(2023.12.12)

12月には、小学生たちが約8ヶ月間に渡って取り組んだ地域映画『梓川の映画学校』が完成。小学校の体育館で上映会を行いました。

上映中は、もちろん「おしゃべり自由」。「これ○○さんだ!」「あ!あのシーン来るよ!」と、子どもたちの元気な声が飛び交い、その節々から制作にかけた情熱と真剣さ、そしてこの作品への愛情が伝わってきました。
 
小学生が地域映画づくりにチャレンジする様子は、私たちの最新作『まつもと日和2』にも登場する予定です。

SOS!資金不足の大ピンチ

話は前後しますが、上映活動や2作目の準備、小学生たちの映画づくりが順調に進む一方で、私たちには切実な悩みがありました。そう、お金です。

三好大輔監督が全国で撮ってきた地域映画は、2022年の時点で16本(現在は18本)。製作費は自治体が全額出資するケースが大多数でしたが、『まつもと日和』は行政の資金援助が受けられず、市民の力だけで製作しています。

「地域映画」が制作された地域

1作目は、クラウドファンディングと、長野県内の文化芸術活動を支援する「信州アーツカウンシル」の助成があったので製作できましたが、2作目は資金集めにとても苦労しました。

クラウドファンディングは、準備から実施まで膨大な時間と労力がかかるため行政と交渉を重ねつつ、上映会の入場料や有料配信、お客様のカンパなどで乗り切ろうとしたのですが、やはり思うように資金が集まりません。

8月から12月にかけて再びクラウドファンディングを実施しましたが、期限が残り1ヶ月になっても達成率30%に届かず大苦戦…。地域新聞「市民タイムス」に「まつもと日和 CFピンチ」と報道されるほどでした。

しかし、12月20日を過ぎた最後の数日で、監督やメンバーの必死の呼びかけによって多くの方にご支援をいただき、目標金額の300万円に到達。それは本当に奇跡のようでもあり、この活動への理解と期待なのだと感じました。

地域再生大賞を受賞!2作目の映画へ

年末から年始にかけては、クラウドファンディング以外にも嬉しいトピックスがたくさんありました。

まずは『まつもと日和』が、日本における数少ないドキュメンタリーの映画祭「東京ドキュメンタリー映画祭2023」の長編コンペティション部門に選出されたのです。三好監督いわく「これは快挙!」。12月13日・18日に新宿K's cinemaで上映され、より多くの方に見ていただくことができました。

また、私たち「まつもとフィルムコモンズ」が、地方新聞47紙とNHK、共同通信社が地域に活気をもたらす優れた活動を表彰している「地域再生大賞」の長野県代表に選ばれ「第14回地域再生大賞優秀賞」を受賞しました。

さらに、昨年11月に開催したイベント「ホームムービーの日 in 松本2023」の写真が、2024年の「市民タイムス」元旦特別号の表紙を飾りました。

「市民タイムス」元旦特別号(2024.1.1)

このような私たちの日々の歩みを皆さんに報告してきたのが「月刊コモンズ新聞」です。これまではクラウドファンディングの支援者に向けた記事やメルマガとして発信してきましたが、今後はこのnoteでも公開していきます。

季節は春から夏になり『まつもと日和2』の制作は大詰めを迎えています。新たに集まった347本の8mmフィルムから128本をデジタル化。大学生がフィルムを選び、提供者さんにインタビュー。今はさらにその映像の編集作業を行なっています。また、市内のさまざまな音楽グループによる合唱や演奏も収録中。映画のフライヤーや上映イベントの準備も始まりました。

この秋、10月26日(土)・27日(日)にプレミア上映イベントを開催する予定の『まつもと日和2』、どうぞご期待ください!

◎月刊コモンズ新聞 バックナンバー


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