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修羅の門という化け物マンガの魅力 1章

格闘マンガ数あれど、
今でも僕の中で、ぶっちぎりで好きな作品です。

『修羅の門』/川原正敏

マンガの世界には、化け物みたいな作家さんが、わんさかいます。
マンガ界って才能の巣窟ですからね。
その中で、川原さんは間違いなく、超ど級の化け物です。

基本的に、コマ割りは全て、同じです。
上から下へ、ただ読むだけ、その繰り返し。
・・・にも関わらず、抑制されたセリフ、的確な説明を小気味よく入れて
流れるように読めます。

修羅の門、このマンガの底知れない面白さは
とても1回では書ききれないので、3回に分けて書いていきます。

全日本異種格闘技選手権

主人公は、1000年無敗の古武術、
陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)の使い手・陸奥九十九(むつ つくも)

人殺しの技をつかう一族の末裔が、
「自分の代で、このくだらない流派をおらわせる」と
町に降りてきます。

そこで、神武館という空手道場を拠点にして、
名のある格闘家に喧嘩をふっかけまくり。
「ならば、戦いの場を作ってやろう」と開催が決まったのが、
全日本異種格闘技選手権。

マンガではたまに見かける大会&設定ですが、
これ現実でやるのは、不可能です。

格闘技によって着ているモノも違うし、ルールも違います。
格闘団体としてのメンツとプライドもあります。
公の場で『柔道がボクシングに負けた』とかなったら、ヤバイもんね。

だけど、これはマンガの世界。
最強の男を決める大会、やれちゃんですよね。超ステキ。


涙がボロボロこぼれる
羽山 悟戦(シュートボクシング)

名勝負ばかりの今大会において、
僕が一番好きなのは、2回戦の羽山 悟(さとる)との一戦です。

この大会に出てくる選手たちは、文字通り命がけです。
中には所属団体の反対を押し切り、
たもとをわかってエントリーする選手もいます。

そんな中、羽山は、まだまだマイナーな格闘技
『シュートボクシング』の看板を背負って戦うのです。

しかし陸奥は化け物です。
次々と繰り出される、圓明流の奥義に、羽山は満身創痍。
格闘家の命である拳を砕かれながら、それでもラッシュを繰り出します。

実況アナの絶叫。

「何が・・・いったい何が・・・
 この満身創痍の羽山を支えているのか!」


追い詰められた羽山が、負けられない理由を回想します。
この回想シーンがたまらない。

雨が降る中、羽山は師であるライガー剛(つよし)と共に
スポンサーを得るため、あるお金持ちセンセイの家の前にいました。

そこに車が現れ、センセイが降りてきます。
ライガーは、シュートボクシングに出資して欲しいと
雨が降る中、土下座をします。

「土下座などされてもこまる・・・。金は出せん」

立ち去るセンセイ。それでも土下座を続けるライガーは羽山に言います。

ライガー「羽山、お前は帰れ」
羽山  「でも」
ライガー「バカヤロー、この雨の中、体でもこわしたらどうするんだ」
羽山  「でも、それじゃ会長は・・・」

ライガー「オレはいいんだ・・・オレはな・・・
     オレはもう若くない。格闘技者としてあとは下るだけだ。
     しかしおまえはちがう・・・おまえはこれからだ

     シュートボクシングを根付かせるのはオレの役目だ・・・
     そのためならオレはどんなことでもする。

     しかしおまえの役目はちがう・・・
     おまえの役目はシュートボクシングを育てることだ。
     今は体を大事にし、強くなることがおまえの役目だ・・・

そういうと、ライガーはポケットからしわくちゃになった数枚の
千円札を取り出し「帰ってこれでメシを食え」と羽山に渡します。

そして羽山に向かって、優しくこう言います。

ライガー「立ち技 最強の格闘技・・・シュートボクシング
     そう呼ばれたいよなあ・・・」

ライガーからもらった千円札を握りしめ、泣きながら立ち去る羽山。

場面は試合に戻り、陸奥の猛攻を受ける羽山。
ボロボロになりながら、心の中でつぶやきます。

「オレはあの時 食ったメシの味は・・・
               わすれない!!」


読みながら打っていたら、涙がボロボロ出てしまいました。


格闘技をやる者の覚悟とメンタリティが
素晴らしい筆致でセリフで描かれています。

こんな試合ばっかりです。

だから、この格闘マンガは地上最強。


2章に続きます。




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