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北海道松前町立 大島小学校の”いま”|まつまえ未来ラボ編集部

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日本最北の城下町である北海道松前町の小学校「松前町立 大島小学校」で行われるリアルな教育の「今」を発信します。
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2024年1月の記事一覧

松前町立大島小学校だより【11月号】

大地の人 大河の人 -人間の四つの気質(後)-校長 神  龍 治  憂鬱質(ゆううつしつ)の人は、悩みや迷いを、しばしば心に抱えます。「先生に言わなきゃいけないかな。」「でも、嫌われたら、どうしよう。」イエスかノーか、決められません。「どうしたいの?」「はっきりして。」等、せきたてられると、相手を恐れて、本心と逆の判断をしてしまったりします。決めた後でも、「やっぱり逆の方がよかったかな。」と引きずり続けます。  憂鬱質には、細身で長身の人が多く、前かがみの傾向があります。青

松前町立大島小学校だより【10月号】

風の人 炎の人 ~人間の4つの気質(前)~校長 神  龍 治  30年ほど前、私が的場中学校で担任したF君は、「多血質」が強い生徒でした。暑くなってきたある日、授業が始まると、F君は私に、「上着を脱いでいいですか?」と、申し出ました。許可を受けた彼がブレザーを脱ぐと、〈ま、まずい!〉ワイシャツの下に着ている体育用の的場中Tシャツのロゴマークが、左胸ではなく、背中に浮き出ているではありませんか!  隠してやる間もなく、目ざとい女子が、後ろ前になっている彼のTシャツを指さしてし

松前町立大島小学校だより【9月号】

プロフェッショナル校長 神  龍 治  6年国語で、「地域の防災」について話し合う学習を行ったときのことです。インターネットで検索したサイトの資料を基に、児童が作成した「松前町の過去の災害年表」を見て、私は違和感を覚えました。 「…1097年は、まだ平安時代だ。発動機船なんて、あるはずがない。いい加減なサイトではないか?」  校長室に備え付けていただいている「松前町史」に、1097年や1053年の記事は出てきません。インターネットの検索でも、手掛かりが得られません。 困っ

松前町立大島小学校だより【8月号】

「一寸法師」 ~調和を得て生きる~校長 神 龍 治 21日の始業式では、「一寸法師」のお話をしました。低学年の児童を意識して語りましたが、どの学年も4分間、しっかりと耳を傾けることができました。 今回のお話では、仲の良い夫婦が出てきます。二人は、【ようやく子どもを授かったのだが、いつまでたっても成長しなかったので、一寸法師を追い出す】ことにします。小さい姿にとらわれた夫婦は、一寸法師の良さに気づかなかったのです。これに対し、立派な家では、【一寸法師は小さいが、

松前町立大島小学校だより【7月号】

米づくり 人づくり校長 神 龍 治 5年生が「最強の米作り会社グランプリ」を開きました。社会の時間、5年生は笹森教諭監修のもと、「最強の米を作ろう」をテーマに、米作りの魅力や苦労を学んできました。米農家では、販売量の減少や後継者不足などの問題が深刻だと知り、6名は、課題解決のため、「最強の米づくり会社を起ち上げる」企画書をそれぞれ作りました。そして、3・4・6年生と教職員を招き、プレゼンテーションを行い、「ウチの会社に入りませんか」と、社員を募集しました。以下は、それぞ

松前町立大島小学校だより【6月号】

「考える」校長 神  龍 治  木曜日の2時間目、低学年が算数を学んでいました。2年生は、計算の練習問題を、2人でさくさくと進め、解き終えると、「〇番の答えは〇〇です。」「いいです。」と、交互に読み上げ、答えを確かめていきます。どの答えもぴたりと合います。〈3けたの数の計算問題〉や、〈不等式の問題〉もできています。進め方も解き方も、よく身に付いています。習熟した学びぶりに、感心しました。 1年生は、「長さをくらべるには、どうしたらよいか」という課題への取組の2回目で

松前町立大島小学校だより【5月号】

自ら学ぶ力校長 神  龍 治   四月も末の水曜日、中学年教室では、3年生と4年生のそれぞれが、社会の課題に集中していました。  4年生の課題は、「福岡県のどこで、工業がさかんなのだろう」です。担任が3年生を指導する間、2人は互いの答えをホワイトボードで確認します。  そんなことを考えていると、土田教諭が3年生側から戻り、金額まで調べたことをほめ、4年生と学び始めます。  福岡県には大きな港が4つあることを、2人は見つけます。そして海に面していると工業に有利な理由として、

松前町立大島小学校だより【4月号】

あの坂をのぼれば 校長 神  龍 治  6年国語教科書の冒頭を飾る物語、『あの坂をのぼれば』(杉みき子作)は、平易で美しい文章です。 __________________________________  ―あの坂をのぼれば、海が見える。 少年は、今、どうしても海を見たいのだった。細かくいえばきりもないが、やりたくてやれないことの数々の重荷が背に積もり積もった時、少年は、磁石が北をさすように、まっすぐに海を思ったのである。自分の足で、海を見てこよう。山一つこえたら、本当に海