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人は「幸福物質」を味わうために 生まれてきた…!

 “人は何のために生まれてきたのか?” 
という古典的な問いへの答え方には、それこそ何百、何千とも知れないバリエーションがあるかもしれないけれど、私が一つ、これが確かな答ではないかとふつふつ感じているのは、私たちが「幸福物質」を味わうために
生きているのではないかということ。

「幸福物質」というのは辞書にも載っていない造語みたいなものだけれど、
簡単に言うと、私たちの体内の神経を、うっとりと甘美な感覚に浸してくれる、体が自発的に作り出す“ドラッグ”みたいなもの。

「気持ちいい」という感覚が生まれるのは、このドラッグが働いている証拠。
 それは今の科学の言葉で説明すると、「ホルモン」や「神経伝達物質」と呼ばれる、全身の様々な器官から体内で放出されている刺激物質の仲間と言える。
 それらが脳に作用すると、心の色がたちまち変わるように出来ている。
 その色合いには多彩な種類があって、ふんわり・まったり穏やかなものから、ドキドキ・ワクワク高揚するものまで、私たちが味わえる快感には豊かなバリエーションがあることはご存知の通り。

 それは例えば、恋愛中や、子育て初期の蜜月期にもよく起こる、あふれる愛の喜びの中でこみ上げてくる、胸がはちきれそうなときめきだとか。
 また、そこへ性的な感覚が加わる時の、下腹部がツンと熱くなるようなうずきや、脳のヒューズが飛んでしまいそうな、しびれの感覚の奔流など。

 幸福物質が湧くのは、愛や性という官能的な場面に限ったことではなく、
例えば苦労して何事かを成し遂げた時の、やっと報われたという感極まるような至福感もあれば、強い緊張状態から抜け出せた時の、とてつもない解放感もあるだろう。
 快感の種は、実は人生のあらゆる場面に仕込まれている。

 たぶん私たちは、この内から湧き出す「甘い蜜」を味わう体験に出会いたくて生きている。
 もっと言うと、私たちの心身を生かす栄養というのは、体の外から取り入れる穀物や果実などの「滋養」だけでなく、こうした体の内側から湧き出す、神話に登場する神秘物質「甘露(かんろ)」に通じる快感物質もまた必要としているのだと思う。

 だから、普段の生活の中で、これらの「幸福物質」を味わえる機会が足りないと、体は本能的に何か代わりになるものを使って、その体験を穴埋めしようとしてしまう。
 その代用品として使われがちなのが、アルコールやタバコ、人工ドラッグ、むちゃ食い、ギャンブルなどなど、歯止めが利かずに「依存症」へと転びやすい手段の数々。
 つまり世の中のあらゆる依存症の原因は、「本当の快感不足」から来ている。

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