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ワーケーションを自律人材から考える

先日の「旅するようにワーケーション」イベントでお話させていただいたトピックのひとつにワーケーションにおける企業と地域の人材の自律性がポイントになるというものがありました。

働くにあたって自分から動ける「自律人材」の重要性はますます高まっています。リクルートマネジメントソリューションズは自律人材について一連の調査を行っています。

「自律的に働くことに関する実態調査」では自己の担当業務に関する「自律的職務遂行」、チームや組織に関する「自律的協働」、キャリア形成に関する「自律的キャリア形成」の3種類の「自律」それぞれを、変化対応の度合いが低い順から「着実遂行」「自己統制」「変化適応」「変化創造」の4段階で行動を分析しています。

自律的な人材と言うと、チームにおける協調性、会社へのロイヤリティ(忠誠心)が高まらないのではないかと思われていたりもします。しかし、リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、自らのキャリアのために行動する「自律的キャリア形成」を平均以上に行っている人は、「自律的職務遂行」も「自律的協働」も平均以上に行っていることが示されました。自身のキャリアのために自律的に働く人は現在の職務を手を抜いて疎かにするのではなく、むしろ仕事やメンバーとの協力をより行っています。

また「自律」の水準が高くなるほど、「ワークエンゲージメント」「組織への共感・愛着」「不測の事態における従業員の主体的活動」は増加することが示されています。つまり、自律することで組織への愛着や忠誠などロイヤリティはむしろ高くなり、今回のコロナ禍のような不測の事態が起きても組織のためにさまざまな提案や活動を行う社員になるという示唆です。詳しくは以下のリンクを見ていただければと思います。

調査ではこうした人材を育成するために会社や人事が行えることとしては以下のようなものがポイントになると締めくくっています。

○ 自己決定志向の育成
○ 仮説志向の育成
○ 自律支援型マネジメント
○ 自己成長や人生の充実、社会の役に立つ実感の向上
○ 他社・他部署との連携を必要とする職務設計

ここに上がってくるポイントはまさに地域と交流し社会課題に取り組むようなコミュニティ・モデルのワーケーションで行っていることなのではないかなと思います。こうしたワーケーションでの効果について生産性よりもこうした自律型人材育成・成長が効果だと捉え、そこが伸びているかをKPIとして検証することはひとつのアプローチとしてありうるのではないでしょうか。逆にコミュニティ・モデルのワーケーションが成功するには自律人材が重要になってくるかとも言えます。

そしてこの論点は企業だけではなく、地域においても同様だと思います。つまり、それを求めたり、伸ばすと言っている受け入れ側の行政や観光、産業含めた関係者は自律人材なのか。

例えば下の図のように、地域、企業のどちらも「他律人材」であればいくら社会課題に取り組もうと言ってもグダグダなものになります。またやってくる企業だけが自律人材で地域は他律人材であれば地域が振り回されることになります。逆に地域だけが自律人材で企業からはなんとなく派遣されてきた他律人材であれば地域だけががんばって空回りという状況にもなりかねません(もちろん社員をより自律的になるようにという研修的なものは可能性としてありますが...)地域と企業のどちらも自律人材が取り組むのであればそこで新たな価値が生まれたり、面白いことが起きそうです。

自律人材

もちろん、自律人材がいないと失敗するというわけではないですし、自律人材を育成するためのプログラム、環境という見方もできるでしょう。

いずれにせよ、ワーケーションの効果やKPIを生産性や経済効果だけではなくこうした自律という視点から見ることもできますし、うまくいく・いかない地域のチェックポイントとしても活用できるかなとも思います。

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