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バリアフリーみんなの教材図鑑-はじめに-

 実践を重ねる中で、何から手をつけて良いかわからない状態から抜け出し支援をスタートするためのきっかけとなったものをまとめました。一緒に勉強する中で子どもたちが教えてくれたことや先輩たちの知見がもとになっています。仕事の大半は教材準備であるため、教材紹介という形をとりました。
学ぶということは、外の世界と自己とのやりとりの中で、新しい知を発見していくプロセスです。自分自身が何か外の世界に興味を持って能動的に働きかけ、その結果として外の世界が応答するというプロセス抜きには知性開発の可能性は広がりません。これは障がいの有無、障がいの種類、障がいの程度にかかわらず、人が学ぶということの本質です。
しかし、障がいがある子どもたちにとって、外の世界はそのようなやりとりが可能となるわかりやすいものとは限りません。何故ならば、見えにくさ聞こえにくさなどの感覚・知覚の制約のため、能動的働きかけのきっかけとなりうる外界からの情報を受け取りにくい(情報の障がい)、運動機能の制約でやりたくてもやってみることができない(行為の障がい)、そして、やりたいことを伝えられない(意思表出の障がい)などの困難さがあるからです。
そのため、障がいがあると通常の環境では学習が停滞する場合が多く、学びを進めるためにはその人の特性や状態に応じた特別な環境を用意しなければなりません。「特別な環境」を実現するためには、その人の困難さに応じて外の世界を教材というわかりやすい形で提示することが必要なのです。ここで前提にしなければならないのは、通常の環境で不便さを感じていない私たちが、障がいのある子どもに合った特別な環境をイメージするのはとても難しいということです。用意したものが適切かどうかを確かめるには、その都度子どもに尋ねなければなりません。言葉で尋ねてすぐさま答えてくれることは稀ですが、教材がぴたりと子どもに合っている時には、夢中になって取り組むという姿で応えてくれます。
このように、障がいがある子どもが学んでいくためには、教材が不可欠です。そして、どのような外の世界(教材)が適切か手探りの状態で進めるため、子どもとの試行錯誤を可能にするだけの教材が揃っていることが重要になります。
その子どもにあった教材が必ず存在し夢中になって取り組んでくれるという確信があれば、たくさんの教材を準備し子どもと試行錯誤を繰り返すことが喜びにつながります。このような学び合いを通して子どもの可能性を知り感動すると同時に、支援者自身の可能性に気づき成長することができます。

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「バリアフリーみんなの教材図鑑」がnote.comから飛び出し、リアルな冊子になりました!

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