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「失敗を恐れさせる組織」の話

 失敗を恐れさせる組織がある。
 それは、失敗を犯した者に厳罰を課すことによって、失敗を抑止できると妄信している組織のことである。
 その組織は、失敗自体を「あってはならないこと」の精神論で葬り去ろうとする。これは危険な思想だ。
 なぜなら、「あってはならないこと」とは、現実問題として「ありうること」だからだ。
 組織の上層部は、この単純明快な理論を認めようとはしない。だから、失敗のすべてを一個人に転嫁し幕引きを図ろうとする。
 失敗しない組織は強い組織のように感じられるが、実はそうではない。
 組織にも生命同様の新陳代謝がある。
 高い技術力を持った世代が組織に多く居るうちは、大きな問題は発生しないだろう。
 だが世代交代が進むとどうだろう。
 若手は厳罰を恐れて行動を起こすのを躊躇するようになる。
 そんな組織に限って失敗しない人間を高く評価する傾向がある。これは行動しない人間を評価するのと同じである。そのような環境で育った若手は、行動しないことを「善」と認識してしまい、その結果、技術力が継承されず組織力が減衰していく。
 失敗しない組織は、その見た目とは裏腹に脆弱な組織なのだ。
 我々は失敗する。我々は神様ではないのだから……否、神様だって失敗をしているではないか。この世に“不幸”というモノを創り出したのだから。
 この世で行動をする者には、須く失敗する権利が与えられている。その権利を如何に活用するかが求められる。
 そのことを踏まえ、組織は失敗を「恐れさせる」より、失敗をフォローし「恐れさせない」体制を構築すべきだと考えるのだ。
 行動無しに、成功は成し得ないのだから。

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