*脚本の本棚*5PW
『5PW』
脚本 籾井洋太
短編映画用脚本
○居酒屋(夜)
ワイワイしている居酒屋店内。
隆と先輩が二人で飲んでいる。
先輩 「――そういえばお前、最近なんかちょっと変わったよなぁ。何かやる気に満ちて
るっていうか」
隆 「え? そうですか?」
先輩 「あ、もしかして彼女でも出来たか!」
隆 「なんでですか~むしろ最近別れましたから」
先輩 「え? マジ? 何かごめん」
隆 「いや、別に全然良いっすよ。むしろスッキリしたっていうか、そんな感じなんで」
先輩 「え、もしかして浮気されてた的な感じとか?」
隆 「いやいや、そんなんじゃないっすよ。俺には勿体ないくらいの良い彼女でした」先輩 「じゃあなんで別れたんだよ~」
隆 「それ聞いちゃいます?」
先輩 「え? ダメ?」
隆 「まぁ良いですけど、そんな面白い話じゃないっすよ」
先輩 「良いの良いの~」
隆 「んーじゃあまぁ良いっすけど……まぁ簡単に言えば俺がフラれたんですけど、
問題はその後で……」
先輩 「え? フラれたの? まぁ良いや。続けて」
隆 「その……5日後くらいだったかな? あ、あの、ウチ元々事故物件だったん
ですけど、幽霊的な物とかは全然見た事なくて、俺多分霊感とかないし、
だけどそのフラれた5日後位になんかパラレルワールドの自分?みたいなのがたまに見えるようになって――」
先輩 「ちょ、ちょっと待て! 何か色々急にぶっ飛んだ話になってる気がするけど、お
前事故物件住んでんの?」
隆 「え? 言ってなかったでしたっけ? まぁ安かったってのもあって」先輩 「まぁそれは良いや。で? その後なんだって?」隆 「その後……なんて言いましたっけ?」先輩 「だから、パラレルワールドが何とか」
隆 「あぁそれでパラレルワールドの自分みたいなのがたまに見えるようになって――」
先輩 「なんだよそれ、彼女にフラれた話じゃなかったのかよ」
隆 「え? そうですよ。やっぱやめときます? ホント別に面白い話でもないし」
先輩 「んーまぁ良いや。それならとりあえず聞いてみようか」
隆 「じゃあ……まぁ今思えば自分がどうしようもない奴だったんだと思うんですけど、
……俺の、彼女は嘘つきでした――」
タイトルイン【5PW(仮)】
○ 隆の家・室内
夜、少し疲れた様子で家に帰ってくる隆。
部屋に入ると部屋の隅に置かれた小さな紙袋をふと見て、複雑な表情をする。
× × ×
(フラッシュ)
家の鍵と一緒にあった置手紙。
『ホントは隆の歌良いと思った事なかったから』
× × ×
気を取り直して荷物を置こうとしたとき、自分の部屋のソファーに誰かがいることに気が付く。
隆 「!!」
しかし、そこにいた男は何も反応をせずにスマホをいじっている。
自分が部屋を間違えたのかと辺りを見回すが、間違いなく自分の部屋。
隆 「……あの」
男はやはり何も反応をしない。
隆は少し身構えつつも声をかけ続ける。
隆 「あの! ちょっと! 何してるんすかヒトの家で!」
反応を見せない男に少しイラ立ちを見せる隆だったが、よく見ると少し様子が変な事に気が付く。
隆 「……え? いやいやいや、え?」
混乱しつつも、改めて男を見る隆。
その男は、自分と同じ顔、服装をしているように見えた。隆、恐る恐る男に触れようと手を近づける。
肩に触れようとするが、手は透けてすり抜けてしまう。
隆 「うわ! え?」
混乱しつつも、自分の体や男が来てる服等々色々と確認をしてみるも、どう見ても自分のように見えて再度触れてみようと手を近づける。
と、急に男が立ち上がりびっくりする隆。
隆に近づいてくる男に少しおののくも、隆の体をすり抜けて後ろに歩いていく。
慌てて振り返るも、もう男の姿は見えなかった。
隆 「……は? 何だよあれ……」
〇 隆の家・外
数日後、夜。
スマホを見ながら帰宅する、隆。
隆(M)「――そりゃ最初はびっくりしましたけどね。何となく、怖い感じと言うか、
お化け的な感じはなかったんですよねぇ」
『(画面)パラレルワールド:、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して 存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。あなたの日常の選択の全てに、別の選択をしたあなたの世界も並行して存在
している。稀に、パラレルワールドの自分が見えると言う事も起こりえると言われているが――』
隆 「選択……ねぇ……」
少し考えている表情のまま鍵を開けて家に入っていく。
〇 隆の家・室内
電気をつけて部屋に入ってくる隆。
と、入ってきた所で驚いて足を止める。
そこには一人の女性が座っている。
隆 「……ハルカ?」
女性(ハルカ)は何の反応もしない。
隆 「……ハルカ? お前何して――」
ハルカ 「で? どうだったの?」
隆 「は? 何言って――」
すると突然背後の方から声が聞こえてくる。
男 「ダメだっよ。あんなんホントは出来レースかなんかだったんじゃねぇの」
ハルカ 「もう、そう言う事言うの止めなよ」
男 「大体審査してた奴らも何かやる気ない感じだったし――」
そこにいた二人は、自分(隆P)とハルカ。
隆 「……またか」
荷物を置きながらも二人の話に耳を傾けている。
隆 「……あぁ……もう一人の自分はまだ付き合ってんのね……」
と、二人が何の話をしているのか気になり、ハルカの前の机の上に置かれたパソコンをのぞき込む隆。
『来春公開! 劇場公開映画主題歌! 大募集!!』
隆 「あ、これ……」
× × ×
(フラッシュ)
パソコンの画面を見る隆。
『来春公開! 劇場公開映画主題歌! 大募集!!』画面を見て考えているような様子。
そこへ電話がかかってくる。
隆 「もしもし……今? あぁ行く行く。ちょっと待ってて」
少し画面を見て考えるも、パソコンを閉じて立ち上がり部屋を出ていく。
× × ×
隆 「応募したんだコレ……結局ダメっだのかよ」
隆P 「――そもそもさ、こんなデカい映画の主題歌なんて、本当にど素人から選ぶわけないじゃん。どうせどっか大手が押してる新人的な人が決まったりすんだって」ハルカ 「だから、そんな事言ってたって仕方ないじゃん。それでも出してみないと――」隆P 「お前は最近忙しそうで良いよなぁ~」
ハルカ 「それは別に関係ないでしょ」
隆P掛かってきた電話に出る。
隆P 「もしもし……今? 飲んでんの? 行く行く~ちょっと憂さ晴らししたかったし。
分かった。ちょっと待ってて~」電話を切ると立ち上がる隆P。
隆P 「ちょっとと飲み行ってくるわ」
ハルカ 「え? また?」隆P 「うん。それじゃ」
簡単に上着を羽織って出ていく隆P。
それを不安げな顔で見送るハルカ。
二人の様子を見ていた隆。
隆 「……俺ってこんなだったのかなぁ」
部屋の中を振り返るともうハルカの姿も見えなくなっていた。
〇 隆の家・室内
帰宅して部屋に入ってくる隆、隆(M)「――何日かおきにって感じだったし、大体5分位でいなくなっちゃうんですけど、改めて自分の言動を傍からみるとなんと言うか、口ばっかで大した行動もしてない奴だなぁと言うか、何か色々と考えちゃって……」
電気をつけるとそこにはハルカが一人で座っている。
何かを考えて溜息をついている。
隆 「……どっち? ってあいつは来るわけないか……」
気にせずに荷物を置き、上着を脱ぎ始める隆。
ハルカ 「え!? 隆!? 帰ってたの!?」
隆 「!? え!?」
ハルカ 「は? 何? 飲み行ってたんじゃないの?」隆 「あ、いや……え?」
ハルカ 「って言うか帰ってきてたんなら何で黙って突っ立ってんのよビックリした~」隆 「いや、ん? どういう事?」
ハルカ 「何言ってんの? 酔っ払ってんの?」
隆 「……あーいや、分かった。一回座ろうか」
ハルカ 「は? 何? 何か変だよ」
隆 「んーまぁそうだとは思うけど、ちょっとさ、一回握手しよ」
ハルカ 「は?」
隆 「良いから良いから、はい」
手を差し出す隆。
訝し気な顔をしながらもその手を握ろうとするハルカ。
が、手はすり抜けてしまう。
ハルカ 「え!?」
隆 「……やっぱりかぁ」
ハルカ 「何これ!? え!?」
隆 「んー何って言われても説明しづらいんだけど……」
混乱するハルカ。
隆 「分かったから。一回落ち着こうか。とりあえず一回話聞いてみて」
ハルカ 「……」
隆 「あのね、まぁ信じるかどうかは分かんないんだけど……」
隆、ハルカに説明を始める。
ハルカ 「はっはっはっは~何それ~」
隆 「いや、まぁ確かに変な事言ってんのは分かってるから信じないかも知んないけどさ」
ハルカ 「え~信じるよ。私結構そういうの好きだし」
隆 「は? そんな簡単に信じるのもどうかと思うけどな」
ハルカ 「何よ~信じて欲しいんじゃないの?」隆 「いや、まぁそうだけどさ」
ハルカ 「じゃあ良いじゃない」
隆 「んーまぁそうだけど。ほら」
ハルカ 「なんかもう幽霊みたいじゃん!?」
隆 「いや、幽霊じゃないから。俺からしたらそっちが幽霊みたいだからね」
ハルカ 「ヤバい! すごいじゃん! じゃあ何? 隆じゃないの?」
隆 「いやいや確かにそっちの俺とは違うけど、俺は俺が俺だからね。ん?合ってる? 何か良く分からなくなったけど」
ハルカ 「良く分からないけど、じゃあ……隆Bって事だ」
隆 「Bってなんだよ。どっちかって言ったら俺からしたら俺がAだから」
ハルカ 「はいはい、それじゃあAくんって事で」
隆 「それもそれで何か違うような気がする――」
ハルカ 「あーもう良いじゃん。で、Aくんは――」
楽し気に会話をする二人。
隆(M)「――なんか、俺からしたらもう元カノって事になるんですけど、久しぶりに
単純にワイワイ話出来て楽しかったりもして……」
〇 隆の家・室内
隆、家に帰って来る。
隆(M)「――改めて、なんで別れたんだろうなぁとか。あの時あいつは何考えてた
のかなぁとか。良くこんな奴と付き合ってくれてたなぁとか、何か色々考えちゃったりもして……」
家に入ると既に隆Pとハルカが何な喧嘩してるような声が聞こえてくる。
恐る恐る部屋に入っていく隆。
ハルカ「――もう! なんでそうなっちゃうのよ!」
隆P「そう言ってるようにしか聞こえないし」
自分も別れる前に喧嘩をしたことを思い出す隆。
× × ×
(フラッシュ)
喧嘩をしている隆とハルカ。
× × ×
ハルカ「私は別にそんなこと言ってる訳じゃないじゃん」
隆P「じゃあもう放っておいてくれればいいじゃん」
ハルカ「なんでそういう風になっちゃうのよ」
隆P「だからもういいって」
ハルカ「私はただ隆ならもっと出来ると思ってるから言ってるだけだって言ってんじゃん」隆P「だから、そう言うのがもういいって言ってんの」ハルカ「だって――」
隆P「あぁもういいよ。ちょっと飲みにでも行ってくるわ」
部屋を出ていく隆P。
その様子を、どこか申し訳ないような様子で見送る隆。
ハルカ、沈んだ表情で座り込む。
その様子を心配気に見ている隆。
ハルカ「……!? え!? 出てったんじゃ――」隆 「あ、いや……」
ハルカ「あ、もしかして、Aくん?」
隆 「んーまぁそう言う事になるかな」
ハルカ「何? 覗き見してたの?」
隆 「いや、ココ俺んちだからね。普通に帰ってきただけだよね」ハルカ「確かに……いつから見てたの?」隆 「さっき帰ってきたばっか」ハルカ「そっか……Aくんはさ……上手く行ってんの? その……私と? って言うか付き合ってんの?」
隆 「うん……付き合ってる。と言うか、付き合ってた、か」ハルカ「え?」
隆 「別れたから」
ハルカ「そう……なんだ」隆 「……」ハルカ「……」
隆 「……まぁ別にハルカが、あ、と言うかこっちのハルカ? が悪いとかって事じゃないんだけど、まぁその色々あるよね」
ハルカ「……別れてさ、どうだった?」
隆 「え?」
ハルカ「どうだったって言うか、どう思ったって言うか。何か変わったりとか、心境の変化? みたいなのあったりとか。何て言うんだろ……」
隆 「んー……そう言われると」
× × ×
(フラッシュ)
家の鍵と一緒にあった置手紙。
『ホントは隆の歌良いと思った事なかったから』
× × ×
隆 「正直……なんで最後にわざわざそんな事、とか。思ったり。ちょっとイラっと
来たりもしたけど――」
顔を上げるともうそこにはハルカの姿は見えなくなっていた。
隆 「あれ? ……5分か」
時計を見て少しがっかりした様子の隆。
〇 隆の家・室内
夜、帰宅してくる隆。
家に入る前に何となく予感を感じたように立ち止まる。
隆(M)「――別れた彼女と話をしてるってのも変な話なんですけど、5分間だけでも何かちょっと楽しみになってきちゃったりしてて。5回目だったかな、もし向こうの自分も別れたらもう彼女がウチに来る事もないだろうし、そもそもこんな事ずっと続かないだろうなって気はしてて――」
部屋に入ると、ハルカが一人で少し落ち込んだ顔で座っている。
パソコンから繋がるイヤホンで何かを聞いているハルカ。
ハルカ「ホント……良い歌歌ってると思うんだけどなぁ……絶対誰か認めてくれる人
絶対いるのに。もう~もっと頑張れよお前は~」
隆 「え?」
イヤホンを外し、天井に向かって一人で話すハルカ。
ハルカ「……私が、甘やかしすぎなのかなぁ……」
机の上には見覚えのある小さな紙袋。
× × ×
(フラッシュ) -10 紙袋に入った家の鍵と置手紙を取り出す隆。
× × ×
家の鍵と一緒にあった置手紙。
『ホントは隆の歌良いと思った事なかったから』
× × ×
隆 「……あ、それって」
隆に気が付くハルカ。
ハルカ「!? 隆!? ……いや、もしかしてAくん?」隆 「うん」
ハルカ「……良かった。今日会えて」
隆 「え?」
ハルカ「……何となく分ってたとは思うけど、私達も、最近あんま上手く行ってなかった
からさ。何か、隆と昔みたいに話が出来た気がして楽しかったし」
隆 「……うん」
ハルカ「……なんか、ありがと」
隆 「いや、別に俺はなにも……」
机の上に置かれた紙袋が気になる隆。
隆 「……ねぇ、それって」
ハルカ「ん? あぁ、合鍵。返そうかと思って」
隆 「……」
ハルカ「……私たちも結局Aくん達と同じになっちゃうって事だねぇ」隆 「そっか……」ハルカ「……」隆 「……」
少し沈黙が続くと、急にハルカが笑い出す。
隆 「?? なんだよ」
ハルカ「え? ごめんごめん。だってさ、おかしいじゃんコレ」
隆 「は?」
ハルカ「だって、Aくんって誰なんだろうね結局」 -11
隆 「いや、だからさ――」
ハルカ「分ってる分ってる。別に信じてないって訳じゃないけど、こんな事あるんだなぁ~って」
隆 「まぁ俺も初めはビックリしたけどさ」
ハルカ「やっぱこの家事故物件だからなのかな~」
隆 「だから幽霊ではないからね」
ハルカ「そうだったそうだった。まぁもう幽霊でも良いけどね~」隆 「なんだよそれ」ハルカ「……」隆 「……」
ハルカ「……よし! それじゃあ私はそろそろ行こうかな」
立ち上がるハルカ。
ハルカ「じゃあ、まぁ……なんだろ、元気でね」隆 「……うん」
ハルカ「頑張ってよ、色々と」
隆 「……そっちこそ」
ハルカ「……うん。それじゃ」
机の上に置かれた紙袋を見る隆。
そして、部屋の隅に置かれた同じ紙袋を見る隆。
× × ×
(フラッシュ)
家の鍵と一緒にあった置手紙。
『ホントは隆の歌良いと思った事なかったから』舌打ちして紙袋を部屋の隅に放る。
隆 「何だよそれ。偉そうに」
× × ×
鍵を見つめて項垂れる隆。
× × ×
部屋を出ていこうとするハルカ。
隆 「ちょっと!」
ハルカ、立ち止まって振り返る。
ハルカ「……ん?」
隆 「いや……あのさ」
ハルカ「……なによ」
隆 「……何て言うか……多分、だけど。ちゃんと、気付くからさ」
ハルカ「え?」
隆 「何日かはスゲェムカついたりするだろうけど、気付くから。自分がクソだったんだって」
ハルカ「……」
隆 「……だからさ、だから一言で良いんだ」
机の上に置かれた紙袋を見る隆。
隆 「一言で良いから、応援してくんないかな。俺、と言うかアイツの事。
そっちの俺の事」
ハルカ「え?」
机の上の紙袋を見るハルカ。
ハルカ「……あぁ」
隆 「……」
ハルカ「……分かった」
ハルカ、机の上の袋の中から一枚の紙を取り出し、何かを書き加える。
少し笑いながら書き終えると再び部屋を出ていこうとする。
ハルカ「よし! それじゃあ、今度こそ。じゃあね」
隆 「……うん。ありがと」
部屋を去っていくハルカ。
隆、ハルカがなんて書いたのかを見に行こうとすると、ハルカの声が聞こえる。
ハルカ「――ホントはさ、私だって隆の事――」
ハルカの声は途中で聞こえなくなってしまう。 -13 扉を開けて見に行くが、そこにはもう誰もいなかった。
部屋に戻ると、机の上の袋ももう見えなくなっていた。
隆 「……」
隆、部屋の隅に置かれた袋から紙を取り出す。
『ホントは隆の歌良いと思った事なかったから』紙を見ると、少し笑顔を浮かべる隆。
〇 居酒屋(夜)
ワイワイとした居酒屋で話をしていた先輩と隆。
隆 「――まぁ、あれが結局幽霊なのか、変な夢でも見てたのか、幻覚でも見えてたのか。それは分かんないんですけど。何となく……何やってたんだろうなぁ俺はって気分になって――」
先輩が少し俯いてるのに気付く隆。
隆 「あ、なんかすいません。勝手にしゃべり過ぎました?」
先輩 「いや、何か思ったよりいい話だからさぁ」
隆 「え? そうですか?」
先輩 「そうだろ~! それで、彼女には連絡したりしたのか?」
隆 「してないですよ」
先輩 「え~? だってお互い嫌いで別れたって感じじゃないじゃんか~それ絶対少ししたら結局元に戻る感じのパターンじゃんか~」
隆 「そんなパターンあるんですか?」
先輩 「そうだって! 俺頑張ってるぜ!って連絡してやれよ~」
隆 「んー……でも、まだ良いんです」
先輩 「ん?」
隆 「まだ……なんて言うか、自信持ってあいつに会えないし」先輩 「……偉い!」
隆 「は?」
先輩 「いや~カッコいいねぇ! 偉いぞ!」隆 「なんすか? 酔っ払ってるんすか~」
ワイワイと話し続ける二人。
隆(N)「どんな選択をしても、変わらない事もある。でも、どんな選択をしても変え
られるものもあるのかもしれない。そんな事を感じだ、俺の5分間のパラレルワールドだった……」
隆 「――って感じの歌でも作ってみようかななんて思ってるんですけどどうですか
ね?」先輩 「は?」
隆 「だから、そういう感じのストーリーの歌みたいな」
先輩 「は? お前作り話だったんか!?」
隆 「え? いや、どうでしょうねぇ」
先輩 「お前、ふざけんなよ~」
ワイワイと話し続ける二人。
終
- 15
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