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実需と資産、家を購入した理由【理想の家ができるまで vol.1】

松井一哲/Kazuaki MATSUI

一級建築士の夫(私)デザイナーの妻が中古マンションを購入し、リノベーションをするまでに経験した学びや失敗談をつらつらと書き連ねるシリーズ。

この記事では、家を購入するまで住んでいた賃貸マンションの話と、なぜその後に家の購入を思い立ったのか、その経緯を書き記したいと思う。

ここしかない!と思えた、お気に入りの賃貸マンション

彼女と同棲することに決まったのは、付き合いはじめてからほんの数日後のことだった。

彼女というのは、現在の妻である。
今思い返すと、お互いの生活スタイルも知らぬまま、よく同棲を決意したなと当時の自分たちに感心する。

お気に入りの賃貸マンションを見つけたのは、そんな同棲がきっかけだった。物件探しは彼女の知人から紹介してもらった不動産屋さんにお願いしたのだが、20件以上物件を回らせてもらい、ようやく決まった住処だった。

部屋の大きさは約65㎡で、二人で住むのに広さは十分。小規模なマンションだったが、最上階にある部屋で、特異な形をした約20㎡程のルーフテラスも気に入ったし、造り付けの収納が多いところにも惚れ込んだ。場所は、駅から坂を上った高台に位置しており、東京タワーが見えることや、アーケードの商店街が近くにある街の雰囲気も好きだった。
大きな不満も特に無く、年々住み続けるにつれて自分たちのホームとして愛着も湧いていた。

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2年強住んでいた賃貸マンションのリビングルーム

そんなお気に入りの賃貸マンションに住んでいるうちに、婚姻届を出し、晴れて夫婦となったわけだが、何故わざわざ気に入っていた賃貸マンションから引越しをしてまで、家の購入を思い立ったのか。

「実需」としての家、「資産」としての家

家の購入には、「実需」としての側面と「資産」としての側面がある。
自身の場合について、両方から掘り下げてみたい。

まずは家の購入をしようと思った、実需としての側面について。
「実需」というのは、持ち主本人が自分で使用することを前提とした家の捉え方だが、広々とした一軒家がいい人、都心のマンションがいい人、誰も使用していない新築じゃないとイヤな人、最低限水廻りだけはリフォームしたい人など、家に対する要望は人によって千差万別で、正解があるわけではなく、極めて主観的なものだと思う。

「人を招くための場所」としての住まい

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私たち夫婦の場合、実需としての家に求める役割は、「人を招きたくなる場所」だった。
私は元々あまり社交的なタイプではないので、これまでの人生では自分の住んでいる場所に他人を招き入れるという行為をほとんどしたことが無かった。家に求める役割といえば、睡眠、風呂、洗濯、便所くらいのものだったと思う。

そんな生活から一転、二人で同棲をしてからは、お互いの友人を家に呼んだり、逆に友人宅へ遊びに行くという週末の楽しみ方をするようになった。自分の仲が良い友人が妻とも仲良くなってくれることは純粋に嬉しかったし、妻の友人から昔の思い出話や、自分の知らない妻の側面について話が聞けるのも楽しかった。家での集まりは、お金をかけずに、気兼ねなく好きなだけ話ができる。
そんな日々を過ごすうちに、家に対する認識が、単なる「住むための場所」ではなく、「人を招くための場所」にもなっていることに気がついた

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住処を「人を招き入れる空間」として改めて捉えなおしてみると、現在の間取りに少し違和感があった。玄関のすぐ近くには寝室や浴室があり、リビングダイニングは廊下の先の一番奥に位置している。私たちにとっては、リビングダイニングはセミパブリックな空間であり、玄関のすぐ近くにあることが望ましかった。反対に、寝室や浴室等のプライベートな空間は、ひっそりと奥の方に位置してほしい。

一般的な賃貸マンションというのは「住むための場所」として貸し出すことを想定しており、大多数のニーズにマッチするように、間取りはどうしても画一的なステレオタイプになってしまう。
自分たちが家に求める空間を実現するには賃貸マンションでは難しく、いちから新築するか、中古の家を購入してリノベーションをした方が良いと考えるようになった。

人生の一大プロジェクトとして楽しみたい

実需として2つ目の理由は、自分で設計した家に住むことが学生時代からの密かな夢だったというもの。
自分が学問や仕事を通じて身に着けてきた知識やスキルが、何かしらのかたちで私生活で役に立ち、豊かな暮らしへと繋がることは、何ものにも代え難い幸せな体験だと思う。

また、物件探しからはじまり、設計をしてリノベーションを行うという一連の課題を、夫婦であれこれ悩みながら取り組んでいくことは楽しいに違いない!という想いもあった。
人生における数少ない一大プロジェクトとして、そのプロセスを楽しみたい。

資産として住宅を持つということ

次に資産としての側面について。
家を持つことの損得は、客観的なジャッジがある程度可能で、本気で検討しようと思えば書籍やネット記事などの情報源はいくらでもある。

私自身は、つい一昨年に転職をするまで仕事一辺倒の生活で、自身のお金まわりに興味もなく資産に関する勉強もしてこなかった(そもそも仕事が忙しすぎてお金を使う時間すらなかった)。
簡単に結論だけ言えば、転職を機に諸々とお金の勉強をした結果、現金以外にも分散して資産を持っておいた方がよいという結論になった(貨幣価値というのは今後もほぼ確実に下がっていく)。
それをきっかけに資産運用として投資信託や株式などを始め、家という存在も不動産の観点では資産形成の一つになると考えるようになった。

建築士として設計の仕事をしていたものの、不動産については正直右も左も分からなかった。とりあえず関連する本を20冊程読み、不動産に詳しい知人・友人に恥を忍んで教えを乞うところからスタートした。

いつでも売れる物件であるという自由

「家を購入するという行為は、意を決してその後の半生をその場に住み続けることである」というイメージが小さい頃から何となくあった。しかし、自分なりに勉強をしたり、不動産投資をしている人に話を聞いてみると、全くそんなことはないとわかった。

都心の駅近マンションなど、他の人も住みたいと思える立地・物件であれば、資産価値は下がりにくく、むしろ購入した金額よりも高い価格で再販できている人も多くいる。
言い換えれば、資産価値が下がりにくい物件を相場よりも割安で買うことができれば、今後の人生において「必要に応じて物件を売る」という選択肢を選ぶことが可能となり、住む場所についても自由度が高いままでいられる。

言葉にするのは簡単だが、これを実現するには書物による知識だけでなく、土地や物件の相場感や、不動産屋や売主との交渉術も身につける必要がある。数千万の買い物なんて、人生でそう何度もないイベントなわけで、それ相応の根気と労力と時間がいる険しい道だ。
自分の場合は建築士でもあるので、再販時を見据えて、リノベーションにより付加価値をつけることも目標に置きながら、家の購入をした方が良いという結論に至った。

人間、5年もすれば、立場も、価値観も、家族構成すら変わっていく。それを今から全て予想していくことは不可能に近いし、生涯住む家を想定しはじめると自分たちが求める家の個性が失われていくような気がした。
だからこそ、一生住む意気込みで家を購入するのではなく、「今」の価値観やライフスタイルから見てベストだと思える暮らしを実現していくのが一番いいのではないかと思う。

終わりに

次回の記事では、物件選びのポイントや、購入までのプロセスについて書いていこうと思います!

今後このシリーズを続けていくモチベーションになるので、良ければ「スキ」を押してくれると嬉しいです。

P.S.
自身の「理想の家ができるまで」のマガジンとは別に、自邸をリノベした先人たちに根ほり葉ほり聞く会(「リアルを聞きたい!自邸リノベーションの裏話」初回:2021年2月28日【日】21:00-)を計画しているので、良ければClubhouseのアカウントもフォローお願いします。

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