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少年自然の家を”泊まれる公園”に 地域資源の再開発 (#1/2)

「少年自然の家」を活用したことはありますか?僕が小学生の頃は、学年単位の宿泊学習で活用されていました。初めて子どもたちだけで宿泊をした経験は今でも色褪せず、楽しい思い出です。

少年自然の家は、1970年以降に国や地方自治体が積極的に設置した施設で、児童や青少年に自然を親しませ、集団宿泊生活を通じて健全育成を図ることが目的とされていました。しかし近年、少子化による利用者数の減少により閉鎖する施設も増えています。

そんななか「沼津市少年自然の家」は、“泊まれる公園”「INN THE PARK」としてリノベーションされました。見直しを余儀なくされていた地域の既存施設(資源)が、どのようにしてリノベーションされて、価値を生んでいるのか、調べてみたいと思います。

(#1/2)

“泊まれる公園”のコンセプト

沼津市立少年自然の家は、利用者減少や『当初設立の目的が達成された』として、2017年3月末に廃止することが決定されていました。その後は、既存の施設を活用し、地域の価値や魅力を向上させる新たな事業を展開することを目的として、公募型プロポーザル方式による民間の運営事業者募集を行いました。

これにより決定した事業者が、住宅・オフィス・公共空間のリノベーション等を手掛ける設計事務所「株式会社オープン・エー」です。

当時の募集規定には以下のような要件があります。

①市民のみならず県内外からも新たな集客を呼び込む等により、地域の価値を高める魅力ある事業
身近な自然を体験することができるこれまでのような環境を、青少年のみならず幅広い世代の人に提供する事業

これまでの青少年健全育成のためだけではなく幅広い(居住地・年代)人をターゲットとして、強みである”豊かな自然資源”を絡めた地域価値向上を創出する事業が求められました。

これに対して事業者が考えたコンセプトが“泊まれる公園“です。”公園”の魅力を考え、本来の『人それぞれ自由に楽しく過ごせる場所』を追い求めました。

たとえば、宿泊する部屋が公園の森の中に”浮かんで”います。HPを見てまず目に留まる、森のなかに浮かび光る“球体テント”です。この他にも、ドーム型テント、宿泊棟などの施設があり、人数や趣向によって泊まることができます。

制約のない自由な公園”INN THE PARK”では、ビールを飲んでもいいですし、子どもたちを芝生で遊ばせながらワークショップを受けることもできます。サロンカフェのソファで昼寝している人もいます。子どもだけでなく大人が自由に楽しめる要素を大切にし、『公園×◯◯』の風景を作りだしています。

また、素泊まりプランがないことも特徴のひとつで、『この場所に籠もってもらいたい』という想いがあります。夕暮れから暗闇、眩しい朝の光などの自然の移ろいは、長く滞在するからこそ体験できるものです。

何かを押し付けるわけではなく空間を最大限楽しめる仕掛けを用意し、楽しみ方は自由。それが「INN THE PARK」です。

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