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【スパ】アイスランドの市民プールが思ったより銭湯だった話【海外旅行】

仕事を辞めて久々に長い休み(有給消化期間)ができたので、20日間余りの海外旅行に出ることにしました。最初の目的地アイスランドで、地元のスパを楽しんできました。

アイスランドってどんな国?

さて、記事タイトルに書いた通り、日本から飛行機を乗り継いでアイスランドにやってきた。まず羽田からフィンエアーでフィンランドはヘルシンキに入り、その後デンマークのコペンハーゲンに至り、そこからスカンジナビア航空で首都・レイキャビクに近いケフラヴィーク国際空港に到着する。途中コペンハーゲンで約1日の乗り継ぎ期間があったため、日付的には日本出国日から2日が経過していた。

アイスランドは、北緯60度以上の高緯度に属する島国。北に行くほど大きく表示されるメルカトル図法の地図上ではやたらとでかく見えるが、実際には北海道程度の面積の土地に30万人ほどの人口が暮らす小国だ。

落差100mほどの滝あり、洞穴あり、複雑な海岸地形ありと、その地球離れした奇観が多くの観光客をひきつけてやまず(トップ画像は同国を象徴するキルキュフェットル:Kirkjufel山)、上記した「ヴィンランド・サガ」で描かれたようにヴァイキングとの係わり、「プロメテウス」「ゲーム・オブ・スローンズ」など有名な映画やドラマ作品のロケ地としても注目度が高い

火山国ならではの温泉資源

アイスランドは日本同様に火山国で、温泉資源や地熱資源の活用が盛んな国だ。例えば地熱発電、発電の際に出る廃熱を熱源として利用する、温水で同国では自然に生育しない作物をハウス栽培するなど、用途も非常に多岐にわたっている。

デイルダルトゥングクヴェルという高温の温泉。この熱水をハウス栽培や熱源に利用

アイスランドには、世界最大の露天風呂として知られ、独特の青いお湯が魅力的なブルーラグーンという施設もある。その他、首都レイキャビクにはスカイラグーンという洗練された温泉施設があったり、著名な観光地にシークレットラグーンという(実際には観光客も多く秘密感は薄いようだが)天然温泉もあったりするが、今回紹介するのはそういういい感じの場所ではない

※ちなみにブルーラグーンは事前予約しないと入場すらできない一大観光名所で、銭湯という風情ではない。とはいえ、ミーハーな筆者は当然のように入ってきたため、別稿で紹介する予定。

地方都市の市民プール

さて、訪れたのは首都レイキャビクから車で1時間ほど北上したボルガルネース(Borgarnes)という街。

地元の旅行会社が主催する、アイスランド西部のマイナーな観光地を巡る泊りがけのツアーに参加した際、ちょうど宿泊地がこのボルガルネースだった。ボルガルネースは地図を見ていただくとわかるととおり、海の上に突き出た地形にある港町(といってもアイスランドの大概の都市は港町だけど)で、同国の主要道路である1号線(通称:Ring Road)も通っている。

一日目の帰り際、ホテルに参加者を送り届ける道すがら、ミニバスの運転手兼ツアーガイドが、「この町は小さいけど市民プールにジャグジーもあっておすすめ!」と言っていた。解散時刻も18時前と早いし、アイスランドの雄大な地形を歩き回って疲れたので、せっかくだからとそこに行くことにしたのである。

ちなみに高緯度に位置するアイスランドでは、夏時期は日が沈まない。正確には沈むのだけど、私が滞在していたころは日没時刻が23時50分、日の出が午前3時過ぎというレベルで、日付が変わるころにようやく暗くなり始める始末。いつまでも明るいので、活動時間が長くなりがちだ。

さて、向かったのは海沿いにある屋外プール。幹線道路沿いのホテルから、歩いて10分程度のアクセスの良さも決め手だった。ちなみにアイスランドは人口が少なく町がコンパクトなので、だいたいどこに行くにも徒歩ですぐ着く

施設外観

このプールは町が運営しているスポーツ複合施設の一部で、同じ敷地にはサッカー場などもあり、雨交じりの強風が吹きすさぶ中で、ジュニアチーム?が試合を行っていた。

施設入口

受付~入場まで

入ってすぐ、受付で料金を払う。大人1人で1,240アイスランド・クローナ(ISK)。1ISK=1.16円なので、円より気持ち高いと覚えておけばアバウトな換算も楽ちんだ。正確に計算すると1,430円程度

どう考えても観光客に来そうにない施設なので英語が通じるか不安しかなかったが、思ったよりずっとスムーズに会計を済ませられた。

受付の様子

ちなみにアイスランド人はアイスランド語、英語、北欧言語(デンマーク語とか)のトライリンガルであることが多いそう。片言の英語でも苦労する身としては、羨ましい限り。もちろん、資源の乏しい小国ではそれだけ人材開発に力を入れなければならないことの証左だろうし、言語の習得にはひとかたならぬ苦労があると推察するが。

さらに、キャッシュレスも徹底されていて、入場料の支払にVISAカードのタッチレス決済も利用可能。なんでもない町のプールでカード決済が当たり前にできるって、よく考えなくてもけっこうすごいなと、日本のキャッシュレスももっと浸透できるよなと余計なことを考えたりもした。

こうして受付を済ませると、そのすぐ奥に男女別のロッカーがあり、そこで荷物を置き、着替えてシャワー室に向かう。ロッカーはスポーツ施設らしく、縦長のロッカーがならび、靴の砂なども床に散っていたりするので、残念ながらあまり使いやすい、あるいは綺麗とは言えない。

ちなみに、アイスランドでは温泉に入るとき、全裸になってシャワーを浴びるよう念を押される。受付でも、対応してくれたお兄さんに「絶対に先にシャワー浴びてね」と言われたし、室内の張り紙でも「石鹸で体を洗うこと」と書いてあった。

もちろん日本では銭湯では身になにも纏わず浴槽に入るわけだけど、上の注意が繰り返されるということは、入浴前に他人の目があるところで全裸になるということ自体、多くの国では非常識であることの裏返しであろう。実際、アイスランドの温泉についてこの点に言及した外国人の口コミが色々なサイトで散見される。

とはいえ、こちらは毎日全裸で知らない人たちと風呂に入っている銭湯通いなので、特に抵抗はない。シャワーで全身洗ったら、水着を着用して、ロビー的な部屋を経ていよいよ屋外に出る。ちなみにシャワー室の機械をいくら押してもシャンプーが出なかったので、お湯シャワーだけになってしまった。

ジャグジーやプールの様子

屋外に出ると、思ったよりも広くて驚いた。入口から近い順に、3つのジャグジー、ウォータースライダーと子供用の浅いプール、サウナ、遊泳用のプールと並んでいて、遊泳用のプールのさらに先に、本格的なサッカー競技場がある。ちなみに男女とも水着着用のうえ混浴

ジャグジーは低温・中温・高温の3種類あり、低温は40度未満、中温が40~41度、高温が42~43度と言われていたものの、体感温度はもっとぬるい印象で、熱がりな筆者でも結構長い間浸かっていられる。ボタンを押すと起動するタイプのジェットバスなどもあったが、想定される体格の違いか妙に出力が高く、体が浮くくらいだった。なお、高温のジャグジーは設定温度を下げたうえ、利用停止になっていた。サウナも閉鎖されていた。残念。

ウォータースライダーは自分で登って勝手に滑り降りるタイプで、係員などもいない。3回転くらいするし、入口によって途中で分岐して2種類の出口から排出されるなど、市民プールにしては妙にスペックの高い設備だった。さすがにいい年こいてスライダーするつもりはないが、せっかくだから行っておけばよかったか…?

プールは25メートル✕5レーンの本格的なもので、ストイックに泳ぐ大人もいれば、ボールで遊ぶ子どもたちもいて、みな思い思い楽しんでいた。言い忘れていたが、当日の現地気温は8℃。ついでに一日中霧のような細かい雨が降り、強い風も時折吹く。そんな中プール入って平気かと思われるだろうが、プールが人肌程度の温水なので、安心して入れる。もちろん水の外だとあっという間に身体がかじかんでくるが…。プールを何往復か泳いだあと、閉鎖されていない2つのジャグジーにのんびり浸かって、合計1時間ほどで出た。

日本の銭湯との共通点

そんなこんなで、アイスランドで市民プールを堪能したわけだが、言ってしまえばただの総合スポーツセンターのプールで、お世辞にも派手な施設でもなんでもない

とはいえ、立派なひげを生やしたおじさんたちがジャグジーに浸かりながら仲良く喋っていたり、子供たちがプールにつかりながら隣のサッカー場で行われている試合を眺めたりしていた。このように地元の住民の憩いの場としてスパが使われているところは、日本の銭湯と非常に近いものがあると思う。それどころか、コロナで失われた銭湯での交流機能が活発に働いていると感じた。温泉あるところに人が集まり、交流が生まれるというのは、どこの国でも共通の営みなのかもしれない。

銭湯ロビーっぽい自販機も

どうでもいいが、同じジャグジーに入っていた男女のカップルの男の方が、中国のビザの話を英語でずっとしてたのなんだったんだろう?

ここまでお読みくださりありがとうございました!

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