見出し画像

【銭湯×文化】テルマエ展に行ってきた

はじめに

東京、汐留美術館で6/9まで開催されている、「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」に行ってきました。

古代ローマ研究の第一人者の青柳正規氏(多摩美大学長など)、芳賀京子氏(東京大学大学院 人文社会系研究科附属次世代人文学開発センター)の監修、マンガ「テルマエ・ロマエ」作者ヤマザキマリ氏の協力を受けて実現した展示。

展示は大きく、①古代ローマ時代の公衆浴場(テルマエ)を中心とした文化や歴史に関する再現展示、②日本の古代以降の浴場の歴史を紹介する2パートに分かれています。

①古代ローマ時代の公衆浴場(テルマエ)文化や歴史の展示

古代ローマの再現展示では、ナポリ国立考古学博物館が収蔵するフレスコ画や宴会に用いられる器、水道バルブなどが来日。代表的なテルマエの一つである「カラカラ浴場」を再現した模型や紹介映像も見ごたえがありました。

フレスコ画
カラカラ浴場模型

当時のテルマエは浴室のほか、蒸気浴(サウナ)やプールなども備えていたことがわかっています。高度な水道技術にも裏打ちされ、現代のスーパー銭湯にも匹敵するか、それ以上に充実した設備だったことがうかがえます。

②日本の古代以降の浴場の文化や歴史の展示


日本では、風土記等に登場するように、古代から伝統的に温泉が治療等に利用されてきました。戦国時代には、大名が「隠し湯」として療養用の温泉地を確保することも見られました。わけても有名なのは信玄の隠し湯です。諸説ありますが、山梨・長野・静岡にかけて「下部(しもべ)温泉」「川浦温泉」「渋温泉」「大塩温泉」「梅田温泉」などが挙げられます*。

*参考:刀剣ワールド

江戸時代に入ると、一般市民にも入浴文化が浸透してきました。江戸時代前期までは蒸し風呂中心だったようですが、中期以降は現在の先頭に比較的近い、湯を薪で沸かすタイプのお風呂屋が普及してきたといわれています。本展では、個人蔵の非常に緻密な造りの湯屋の模型が展示されていました。

湯屋模型(1/2)
湯屋模型(2/2)

明治以降は、観光旅行の普及に従って温泉地をPRしたり、現在に続く銭湯が公衆衛生の場として普及したりと、温泉や入浴文化が近代化してきました。大田区の明神湯の再現模型や、例の黄色い「ケロリン」の桶やホーロー看板といったおなじみのアイテムも展示されています。

明神湯模型
ホーロー看板
ケロリン桶

総評

なかなか学術的・美術的なテーマとして取り上げられにくいお風呂をテーマに真っ向から扱っていて、満足感がありました。比較的コンパクトな展示のため、平日でも思い立ったらふらっと行けるのも◎。一方、古代ローマと日本の展示の間のブリッジ(比較や対照など)が特にあるわけではなく、少々唐突感がありました。

なお、都の浴場組合と連携したスタンプラリーも実施中で、都内の銭湯2軒のスタンプをもらった状態でテルマエ展に行くと、3種類からステッカーが選べます。

スタンプラリー台紙
特典のステッカー

ちなみに東京開催後は、兵庫県神戸市立博物館へ巡回予定とのこと。グッズなども充実していますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?