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【仕事】好奇心をエンジンにして外コンで働く【note書き初め】

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

■ 新年に自分のモチベーションを改めて考えた

簡単に自己紹介すると、筆者は外資のコンサルティングファームに勤める戦略系のコンサルタントである。2019年に中途で入社して(23年1月時点で)5年目になる。

大企業の新規事業のアイデア出し、市場調査、ビジネスモデル構築、官公庁向けの政策調査・提言などを中心に手がけてきた。特にクライアントの保有するデータのビジネス活用への提案や、コロナで大きな影響を受けた観光業界に関して専門性が深く、21年には観光の未来を構想する書籍を代表著者として上梓した。

入社2年目にコロナ禍でワークスタイルが激変したり、所属チームが変わったりと紆余曲折を経て、昨年「マネージャー」という肩書を得た。

コンサル業界の外にいる方に説明しておくと、コンサルにおけるマネージャーというのは単に管理職であるというだけでなく、以下のような意味合いを持つことが多い。

  1. クライアントにとっての窓口となる:プロマネ(プロジェクトマネージャー)を務めることができるため、現場スタッフの仕事の成果に責任を負い、クライアントとの折衝や社内の手続きを主導する

  2. 営業に関与する:既存クライアントから次の仕事を受注する、あるいは新規のクライアントを獲得することで、会社の収入に貢献することが求められる

  3. 会社の顔になる:自身の専門性に基づいて社外のメディアに寄稿・取材対応したり、社内の採用ページに載ったりと、外部に顔や名前が出ることが増える

  4. 給与の桁が変わる:最上流の戦略ファームや一部のブティック系を除くと、マネージャーに上がることで年収が一桁変わるケースが多い(諸説あり)

このような理由から、マネージャーに上がるということは「コンサルすごろく」におけるある種のゴールの一つなのだ。

当然、仕事の内容も変わり、求められる成果要求もこれまでよりアップする。多くの新任マネージャーがその切り替えに苦労するし、私も例に漏れず今まさに苦労している。そこで、自分が(苦しい)仕事をする上でのモチベーションを改めて言語化しておきたいと思ってこのnoteを書いている。

そのため、この記事は誰かに向けて書いているというより、備忘録・日記に近い点をあらかじめご了承されたい。なお、本記事末尾に「(補論)コンサル業界を目指す人へのメッセージ」というセクションを用意した。もし業界に関心がある人がいたら、最後のセクションだけ目を通してもらっても構わない。

■ 長期的かつ本質的なモチベーションとしての「好奇心」

上述したポジションの変化に適応し、生き延びていくためのエンジンは、コンサルタントそれぞれによって異なるが、私にとっての最大(かつもしかしたら唯一)のエンジンは、好奇心に尽きる

私は生まれつき飽きっぽく、何かをとことん極めるというより幅広く色々な業界や分野の知見を獲得できることに喜びを感じる。コンサルティング業界に転じる前は民間のシンクタンクで各種の調査研究・レポートを書く仕事に従事していたことも影響しているのだろう。

幸い私の所属するチームは特定の業界に限らず、業界横断のサービスライン(クライアントへ提供するサービスのこと:例えばサプライチェーンの改善とか、ビッグデータ分析とか)に特化している。そのため業界や商材に大きく偏ることなく、活きた知識を絶え間なく吸収することが求められる。そして引き出した示唆や提案をクライアントや有識者にぶつけて議論できるコンサル業界は、私にとっては非常に面白く居心地がよいのである。

さらに、自分の知的所産によってクライアントの変化を促したい・それを間近で見たい、ということも大きなモチベーションになっている。

一つ例を挙げよう。昨年プロジェクトの一環で東北地方の中堅中小企業の経営者と、膝詰めで議論する経験を大量に積んだ。そこではクライアント組織の特定部署とのやり取りが多い大企業向けプロジェクトと異なり、自分が「よろづ相談所」として経営者の意志決定をサポートする立場になった。

これが非常に面白く、かつスリリングでもある。なにせ接する社長や役員で一人たりとも「クセ者」でない人はおらず、何を言い出すかわからない。そして足元の業績次第で、「会社の存続がヤバい」現象がそこそこの頻度で発生する(!)。

このような状況において、プロとして軸をしっかり持ちつつも、一方で柔軟に見せ方・語り方を変え、足しげく社長の元に通って汗をかいてきた。その甲斐あって、一社取引に甘えてろくに営業などしたことなかった社長が拙いながらも営業電話をかけて慣れないZoom商談を行うようになっていたり、役員が(こちらがやり方を教えた)事業計画やキャッシュフロー試算をドヤ顔で見せてくるようになったりと、数ヵ月で劇的に仕事への向き合い方・スキルが上がっているのを目の当たりにするようになった。

こういう光景を目の前でもっと見たいという、ある種の高尚な野次馬根性とも呼ぶべき心性が、自分の中で極めて重要な原動力になっている。

■ まとめ

本当の本当にぶっちゃけると、私はこの業界に入ったころからなんとなく
自分のコンサルで目指せる「目」はマネージャーまでだと思ってきたし、この感覚は今でも変わらず抱いている。だからコンサルとしてこれ以上のポジションを目指すことを目的として働くことはない。自分の好奇心に従った結果として昇進・昇格が付いてくるなら願ったり叶ったりだが。

仮に自分がこれからどんな仕事をするとしても、好奇心の赴くまま向かで取り組んでいこうと思う。これを2023年の抱負としたい。

■ (補論)コンサル業界を目指す人へのメッセージ

ここからは、コンサル業界に興味のある方向けに書きます。上でさんざん述べてきたように、私は好奇心を仕事をする上での最重要なエンジンに位置付けているし、仮に自分のチームを持つなら、好奇心を仕事にうまく燃やせる人がメンバーに欲しい。案件外・業務外の知識であっても貪欲に吸収し、むしろその知識を案件に活かそうとする遊び心が欲しいと思う。私と同様自分にとって何か新しいもの(something new)を求める人は、引き続きコンサルに向いている。

逆に、知的好奇心が弱い人がコンサルをやるメリットはこれからどんどん弱くなっていくと思う。確かに、コンサルという仕事は若かろうが経験が浅かろうがプロとしての振る舞いが求められ、(なんちゃってコンサルでなければ)頭脳労働による成果物が提供価値であることを踏まえると、「とりあえず」コンサルを選んでおくことで得られるメリットは確実にある。そのため特に新卒や第二新卒のスタッフには早期の成長を求めてコンサル業界にやってくる人も多い。

ただし、そのメリットは以前より下がっていると言わざるを得ない。なぜなら(既に何年も前から言われているが)コンサルが世の中に溢れすぎているからだ。事業会社にもコンサルOB・OGが増加し、「コンサルが教えます的」なビジネススキルやノウハウは本を数冊読めば、少なくとも知識としては身につけられる。

すなわちコンサル知識・経験者のコモディティ化が生じ、その傾向が強くなる。従来のクライアントだった事業会社から提示される高度に知的なお題(企業戦略策定・実行、ブランド再構築とか)が減ったコンサル各社は、生き残り方法をデジタル系・DX系など、知的な難易度はこれまでより低いが、クライアントの人手不足ゆえ実行困難な案件に見出すことが多くなってきている。

すなわち粗利の高さではなく、薄利多売に舵を切ったということでもある。
薄利多売のビジネスモデルで生き残るには、必然的に規模の経済性を追求しなければならなくなり、結果として多数の人員を採用することが求められる。そうなると、新卒学生・第二新卒者のコンサルティングファーム就職へのハードルは下がる一方だ。ただ、そこで得られる知見やスキルは依然と比べてoutstandingなものにはなりにくい。

厳しい見方を示したが、良い兆しもある。コンサルティングファームは経済的利益追求を目的としたゲームへの没頭を見直し、自身の存在価値を社会的な課題解決者へと再定義する動きが加速している。今はSDGsなどを枕詞とした部署の設立程度にとどまっているが、これから先は、コンサルが取るべき案件か否かが、(利益率の大小だけでなく)社会的価値の創出に貢献するか否かによっても判断される時代が来るはずだ。

ついでに、コンサルの規模が拡大したことで、多様なバックグラウンドの人材が増えた。ちょっと前まで新卒はトップティアの大学を出て、在学中に留学経験があるか帰国子女、中途採用でも大手企業出身という人が多かったが、最近は採用拡大に伴って型に嵌まらない尖った経験・専門性を持った人も確実に増えているし、そういう人たちと接する面白さは加速している。

いま日本企業全体に多様性(diversity)や包摂性(inclusiveness)が価値を創出するために強く要請されているが、従来の日本的大企業はなかなか舵を切りきれない現状がある。

そんな中、(特に外資の)ファームは多様な人材が互いに尊重し合って働き、世の中にまだないものを生み出す土壌として先進的であることは事実だ。社会にある課題を、バラエティ豊かな人材を巻き込んで、ビジネス視点で解決する、そんな問いに挑みたい人にとっては、コンサルティングファームは益々魅力的な環境になると確信している。そんな人にコンサルの門を叩いてほしいな、と思う。

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ここまでお読みくださりありがとうございました!

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