見出し画像

電気代以外の葉物の植物工場のウィークポイント

葉物の植物工場では、電気代が問題だという意見がよく聞かれますが、それよりも大きな問題がいくつかあります。

(1)露地物との価格差
日本は南北2,000km以上あり、必ずどこかで新鮮な露地物の葉物野菜があります。
季節によって九州だったり、長野だったり、北海道だったり。
その露地物との価格差を考慮しなければならず、世界的に見ても新鮮で安価なものが手に入りやすい環境が、日本には存在しています。
ここで勝負をするのは、もともと困難な勝負をしていることになります。

(2)補助金を当てにしたコスト構造
原発立地地域には、植物工場などに向けた電気代等の優遇措置、補助金等が存在しており、これを当てにして建設されているケースがあります。
補助金の場合、建物などのコスト管理が甘くなるケースが多くみられる印象です。
また原発立地地域となると、消費する地域まで長距離輸送しなければならない状況になり、輸送費が大きな負担になるケースが多いです。

(3)運用メンテナンスコストを無視した設計
葉物の植物工場を建設する場合、多くは他業種からの参入となり、システムをシステム業者から購入することになります。
システム業者は初期導入費の部分だけを強調し、その後のメンテナンスをしっかりと見据えた設計になっていないケースが散見されます。
水を循環させることで、藻が発生し、その清掃行為でシステムを年に何回か停止せざるを得ないなどはよくあることです。

(4)小売業の要望による歩留まりの低下
例えば1パックは280gという規定の場合、生産された葉物が275gだった場合、余計に1枚の葉を入れなければならず、280gをオーバーすることになり歩留まりが低下します。

ざっと列挙しただけでも、葉物の植物工場には電気代以外にも、課題を抱えていることがご理解いただけたかと思います。
だからダメだというのは面白くないかと、個人的には感じます。
この弱点を解決するスキームを作れば、大きな可能性も見えるかもしれません。



いただいたサポートは研究費の一部に使わせていただきます。