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そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編その10]

🔲学位をいただいてからのその後のお話


こんにちは、まっつんです。
博士号取得後のダメージからの回復とリハビリを兼ねて書いてきた「そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編]」もいよいよ、その10となります。
ここで一旦一区切りしたいと思います。
そこで今回は、D論本審査のその後について少し触れておきたいと思います。
無事(?)に論文発表会である公聴会(D論本審査)が終了するとその後、非公開で、審査委員による審査が行われ、審査委員による合否の決が取られます。そして、最終審査委員会で下した最終試験の結果を、研究課長が研究科教授会で報告を行い、研究科教授会で、慎重な討議を経て最終試験の合否が、「合格」、学位論文の評価が「適」決定されると、結果通知と3月の学位授与式への案内が手元に届くことになります。

🔲学位授与式での式服(アカデミックガウン)

学位授与式での式服(アカデミックガウン)については、基本は任意となっている大学院が多いのではないでしょうか。まっつんは、修士号の時は、同窓会で購入した式服(アカデミックガウン)をレンタルしてもらいましたが、まっつんが博士号を取得した大学院では永らく博士号(直近は2名だけ)が出ていなかったこともあり、博士用の式服(アカデミックガウン)というのもはありませんでした。
東大のように購入とレンタルとある大学院を見るとわかる通り、なんでも良いという訳ではなく、博士号には修士号とは異なるアカデミックガウンが存在します。
しかも大学院ごとに細かい違いがあり、取得した学問分野によってもカラーが定められているのです。

①Bachelor    学士課程用
②Master       修士課程用
③Doctor       博士課程用
④Low school 法科大学院用 (法学政治学研究科 法曹養成専攻)

出典:東京大学HPより

アカデミックガウンを着る大学院では、学生にレンタルをしていますが、式服(アカデミックガウン)は、対応する学位の取得(見込)を前提に貸与・販売されるため、学外の人間がレンタルしたり、購入することができない仕組みとなっているのです。
今回は、博士号の学位は、まっつん一人だけということでしたので、レンタルでそれらしいガウンを探しました。
一生の思い出ですので、写真館で記念写真を撮る人もそれなりにいたりします。

🔲博士論文の製本

学位申請論文として提出した論文は、その後どうするのでしょうか?中学、高校での卒アルのように学校が論文を製本して配布してくれる訳ではありません。学位を認定した大学院が自分達の保存用と文科省への報告用(保管は国立国会図書館)に製本されているようです。しかし、実際の製本は、学位授与式から数ケ月後になることが多いと聞きます。因みにまっつんも大学院事務局に2冊ほど余分に作っていただくようにお願いをしていますが、学位授与式からすでに4ケ月が過ぎておりますが、いまだに音沙汰なしです。(時間かかりますよとは言われています)
これによって何が困るかというと、実は、学位授与式のタイミングで、主査・副査を担当いただいた教授たちに、製本した博士論文をお渡しすることができなくなるのです。昔は、後からお礼にご自宅へ訪問する方もいたようですが、最近は、学位授与式でお礼をするパターンも多いと思います。
そのためには、自身で製本するしかありません。大学生協で受け付けてくれる大学の多いと思います。まっつんは、キンコーズで製本を依頼しましたが、数冊の製本ため、現在は製本業者も少なくなり、金文字を押してくれる業者のある長野県の印刷場へ依頼しているとのことでした。
博士論文は、タイトルを金文字で箔付けするため、コピーを卓上製本機とじ太くんで製本という訳にはいきません。結構高価なので、1冊1万円くらいはします。主査・副査分に自分の保存用、親などの冊数を考えるとすぐに10万円くらいの諭吉が飛んでいくことになるのです。

🔲博士論文の最終版の提出

審査委員会に提出した論文は、学位申請の審査用です。これもページ数が多ければ、それなりにコピー代もかかることになります。
そして、博士論文は、国立国会図書館へ提出しなければなりません。文科省のHPには次の通り記載があります。
①学位論文のうち博士論文については、学位規則(昭和28年文部省令第8号)により大学による「公表」と作成者による「印刷公表」が義務付けられている。
②作成者による「印刷公表」とは、「単行の書籍又は学術雑誌等の公刊物に登載すること」を意味することとされている(昭和28年大学学術局長通知)。(ここで、「印刷公表」とは、インターネット等での電子的公表だけでは足りず、印刷が義務付けられているという解釈により運用を行っている。

出典:文科省HP学位論文の「公表」に係る法定上の取り扱いについて より

つまり、大学院側では、博士号の学位を授与した日から3ケ月以内に、当該博士の学位の授与に係る「論文の内容の要旨」及び「論文審査の結果の要旨」を公表する必要があり、博士になった作成者側では、当該学位を授与された日から一年以内に、その論文を印刷公表する必要があるとされているのです。
この文章では、作成者は一年以内に論文を印刷公表するとありますが、どうするのでしょう。下の文章によると国立国会図書館の求めにより、大学からの送付・保管をおこなっている。とあります。

博士論文については、昭和49年までは学位規則により文部省に送付することとされており、これらの博士論文については、文部省から国立国会図書館に送付していたところ、学位授与数の増加等に伴い、文部省への送付を不要とした。その後、昭和50年、国立国会図書館の求めにより、各大学から国立国会図書館に送付、保管することとされた(昭和50年大学局長通知)。

出典:文科省HP学位論文の「公表」に係る法定上も取り扱いについて より

国立国会図書館のQ&Aにも「学位を授与された本人を含め、個人からの送付は原則として受け付けておりません。博士論文の送付については、電子データ、印刷物いずれについても、学位授与機関を通じてのみお受けします」と記載があるので、
提出は大学経由となります。
学位授与式で、博士号の学位記を受け取って、博士号への長い道のりがゴールしたのかと思えば、実は、博士論文の文科省提出用(保管は国立国会図書館)の本当の最終確認した博士論文のデータを大学院事務局へ提出するという作業が残っているのです。(万一、審査時の論文に、誤字・脱字のチェック漏れがあってもまだ最終訂正が可能とも言える)

🔲その他(たぶん・・・重要事項)

さて、アカデミックガウンを着て学位授与式に参加し、博士号の学位記もいたた、親用に記念写真も写真館でバッチリ撮って、その後、大学院事務局に文科省提出用(保管は国立国会図書館)の最終確認した博士論文のデータを提出したら、それで終わりにならないのが、博士号です。
主査・副査へのお礼参り(最近は物騒な使い方の方が有名ですが、それとは違います)があるのです。

お礼参り(おれいまいり)とは、神社仏閣に願を掛け、その願いが成就した時に、お礼として礼拝や布施を行うこと。これが、「お礼参り」という言葉の本来の意味合いである。

出典:Wikipedia  お礼参りより

ネットを調べると色々出てきますね。しかもめちゃ高額を支払う習慣があると書いている人もいます。これ本当なのでしょうか?
ということでまっつんのゼミの先輩や知り合いの大学教授に話を聞いてみました。
大抵は主査を担当いただいた教授を食事会にお招きして、ちょっとしたお礼の品を渡しているパターンが多いような感じました。
副査の先生に対しては、製本した博士論文すら渡していない人もいれば、お一人づつに御礼の品とお仕立て券などを包んた方も・・・まちまちでした。
知り合いの教授に伺った結果は、噂だけど・・と前置きしてですが、医療系の高額な御礼の話は結構聞きましたが、社会科学系では、そもそも受け取らないという教授もいたりとお礼の形はざまざまでした。詳しく書くと前例踏襲の元となりそうなので記しませんが、面白い話として、由緒正しい博士論文の御礼方法として先輩から代々語り継がれてきた(言い伝え?)ものがあり、それは、製本した博士論文、有名どころの折り菓子、お仕立て券、商品券、食事会がワンセットであった。という方もいらっしゃいました。それを、主査・副査全てに行うのが慣わしであると先輩から教えら、それをしない者は、「あいつはケチだ」と一生呪われるというものでした。また、親が大学教授の場合、娘さん・息子さんからのお礼とは別に、「何かあったらしい」との噂話もありました。
社会人大学院生の場合、その後にアカデミックな仕事につくことがなければ、気持ちの問題であって、呪いなどは気にしなくてもいいのかも知れません。
結局、まっつんは、製本した博士論文、ちょっとしたお菓子、出身地の焼き物で普段使いできる湯呑み、お渡しするタイミングが、学位授与式の当日だったので、お花を添えてお渡ししました。主査だけは散々ご苦労をお掛けしたので、僅かですけど商品券を添えました。
お返しに、主査からはご自宅でお祝い会を催していただいたので、修士論文でまっつんが推していた数人(優秀論文賞受賞者)を誘ってお邪魔させていただきました。当日まっつんは、ドンペリや、それなりのビンテージワイン、白州などのウイスキーを差し入れしてみんなで楽しく空にしました。お礼については色々言われていますが、要は感謝の気持ちをお伝えできればそれで良いのではないかと思います。
社会人大学院生は、仕事をしながら、研究を進めて、さらに博士号を取得するというウルトラハードな挑戦となりますが、やってみる価値はあると思います。
まっつんの場合は、自身の博士論文の執筆とは別に、大学の非常勤講師や、大学主催の講座も幾つか受け持っており、さらに大学院で、2つの教授の論文ゼミでオブサーバーとして参加していたりしてましてので超ハードでした。
現在、リカレント教育が注目されていますが、大学院という選択肢は、なかなか得難い経験になると思います。

🔲まとめ

博士号はD論本審査の合格で、おしまいということではない。
学位授与式での式服(アカデミックガウン)に学校指定がある場合とそうでない場合がある。そして結構、お金が必要となる。
文科省のルールとして、博士論文には印刷公表をする必要がある。
主査・副査への博士号取得までご指導いただいたことへのお礼参りがある。
なんだかんだと言って、博士号取得後に結構なお金が必要となる。
お礼の作法や慣習は色々言われているが、要はきちんと感謝の念をお伝えできればそれで良いのではないと考える。

以上、今回は「そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編 その10]「学位をいただいてからのその後のお話」を書いてみました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
今後ともよろしくお願いします。

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