見出し画像

お家でできるサイアノタイプの作り方

こんにちは。松千代です。もしかしたら自分の家系が武家だったんじゃないかと思ってソワソワしています。家系図の辿り方に詳しい方教えてください。

さて、タイトルの通りお家でできるサイアノタイプの解説をしていきたいと思います。


サイアノタイプって?

こちらです。青写真と呼ばれるもので、紫外線に反応する塗料を塗った用紙を感光させ、像を定着させる技術です。

サイアノタイプの作り方を検索すると、たくさん記事が出てくるのですが、結構簡単なのになぜかむずかしく感じてしまう表現の記事が多いので、短くわかりやすくまとめたいと思います。

これをやると皆さんのスマホに眠っている写真がインテリアになること間違いなしです。いきます。大体6000円で一通り揃います。

用意するもの

赤丸が必須で黄丸はあると良いものです。

①感光剤

これはamazonで購入できます。

AタイプBタイプの粉末がありまして、比率を1:1に混ぜて使用します。それぞれの容器に直接水を入れ、よく混ざるように上下させた後24時間置きます。これで感光剤は完成です。水は蓋の根元くらいまで入れちゃって大丈夫です。

②印画紙

塗料が定着すれば支持体(印刷する対象物)はなんでも良いのですが、印画紙がまずは手っ取り早くキレイにできます。僕はこれをよく使います。

③ハケ

これもうまく塗ることができればなんでも良いのですが、毛のハケよりもスポンジの方がムラなく塗ることができました。

④ビーカー

これは紙コップでも良いですが、メモリがある方が分量測りやすいので100均で購入しました。

⑤ネガフィルム

写真をプリントさせる場合はこれが必要です。

⑥ガラス板

印画紙とネガの上に重しとして重ねるために使用します。僕は安くて使い勝手の良いこちらを使用しております。

実店舗でしか購入できないので、お近くに店舗がない場合は通販サイトで良さげなガラス板を購入ください。※UVカットガラスはNG

⑦バット

これはオキシドールの入った水につける際にあると便利です。これも100均で。

⑧オキシドール

これを使うと青が濃くなって像がパキっとします。薬局で600円ほどで買えます。

⑨ガラススポイト

感光剤を抽出する時に便利です。最初は使わなかったんですけど、大人しく最初から買えばよかったものです。2本使用します。

作り方

※ここからは日光が入らない部屋で行ってください

水を入れて24時間放置したAとBを1:1で混ぜた感光液をハケで薄く均等に伸ばします。

早速登場したガラススポイト

スポイトを使うと少量均一に出せるので便利です。A液とB液一滴ずつでA4用紙二枚分くらいは塗れます。コツは少量スポンジに含ませて薄く伸ばすです。なるべく履きムラができないように。
※直射日光が当たらない部屋で行ってください

左上に髪の毛が落ちている

乾いたら、用紙、ネガフィルム、ガラスの順番で重ねます。

ガラスはネガフィルムが反らないようにするため

ようやく紫外線の元に晒します。晴れた日だと5分くらいですね。長くし過ぎると真っ青になって失敗します。

こちらが感光直後の用紙、うっすら像が写っていますね。これを水で洗います。

洗面台で結構雑に洗って大丈夫です。緑色の水が出なくなるまで満遍なく洗います。そうすると像がはっきり出てきます。水温はなるべく低い方が良いです。

水洗中の印画紙

洗い終わったらこんな感じです。これで乾かして完成でも良いのですが、ここでオキシドールの登場です。

100均のバットに1cmほど水を張り、オキシドールを数滴垂らした後、印画紙を入れてゆらゆらさせるとだんだん青色が濃くなって輪郭がはっきりします。

一番右がオキシドールに浸さずに乾かした写真です。好みではあるので、この工程はスキップしても問題ありません。

あとは洗濯物干などに挟んで乾かせば完成です。慣れれば15分くらいで一枚完成させることができます。制作工程は以上なのですが、サイアノタイプは紫外線で露光する技術なので、曇りの日や雨の日などの紫外線のない時には作ることができません。そして、晴れた日もそれはそれで大変なことがあります。

晴れの日の問題点

  1. 紫外線が強過ぎる

  2. 雲が出たり入ったりすると時間が読めない

  3. ガラスが高温になりちょっと焦る

  4. 外を気にしながら待たなければならない

結局仕上がりが安定しなくて困っていたのですが

大量に失敗していった試作品の山

30枚以上試作していて、ついに気づいてしまったのです。UVライトがあればいいんじゃん。

あると便利

全く便利な世の中です。あるじゃないですか。いいサイズのUVライトが

試しに60Wのライトを買ってみました。取っ手がついているので、棒にぶら下げてその下に用紙を置いて感光させています。太陽光に比べて紫外線量が少ないので、大体1時間くらい照射する必要がありますが、なだらかな色合いに仕上がってくれるので重宝しています。夜でもできるので、照射してる間にご飯食べたり、入浴したりして気づいたら終わってるというスタイルを確立しています。

ここからはTipsです。

ネガシートの作り方

これはネガの濃さによって出来栄えにどんな違いがあるか比べたものです。頭の中がこんがらがるのですが、ネガが黒いほど、出来上がる写真は白く仕上がります。データ上では黒い部分にも細部が写っていたとしても、透明なシート(OHPフィルム)に印刷すると潰れてしまいますので、最も暗い部分も気持ち明るめにデータを制作してください。
コツはコントラストは付けつつ、明暗をなだらかにする。です。

ネガの作り方はこんな感じです。

  1. 青写真にしたい写真を決める

  2. PhotoshopやLightroomなどの現像ソフトで色調を反転する

  3. 白黒にする

  4. OHPシートにプリントする

OHPシートは専用のプリンターか、お近くにキンコーズがあればプリントできます。

ちなみに、サイアノタイプは写真じゃなくてもできます。例えばお花を置いて作ることだってできます。

インテリアにちょうどいい青

サイアノタイプの良いところは、インテリアに小気味よい点ですね。

額に入れると綺麗な青が引き立ちます。1人一台スマホを持っている時代なので、趣味としてもお手軽だと思います。

用紙を作る時間なんてない!やいやいや!という方はこちらでサクッと始められます。

素敵なサイアノライフをお楽しみください。





ちなみに・・・こんなこともできます

青が透けて写真が立体的に見える

青が際立つ、そして平面なのに立体的に見える!ガラスにサイアノ。
これはかなり難しくて、僕は習得するのに大量に失敗しました。

ガラスにプリントする方法

さて、ガラスに転写する方法を説明します。用意するものは、先ほどのセットプラスゼラチンと調理用の温度計と濾し器です。
なぜゼラチンを使うのかと言いますと、ガラスには液体が定着しないためです。手順は以下の通りです。

  1. ゼラチン10gを少量の水に溶いた後、50度のぬるま湯で粒がなくなるまで溶かす

  2. 1:1に配合した感光液50mlを用意し、先ほどのゼラチンと混ぜる

  3. 気泡を取り除くために濾す

  4. ガラスに垂らし、薄く伸ばす

  5. 紫外線の入らない部屋で完全に乾かす

  6. 通常のプリントする手順で露光する

  7. レジンでゼラチン面をコーティング

初めはなるべく小さなガラスで実践することをお勧めします。ゼラチンを加えることによって粘度があがり、気泡ができやすくなるためです。支持体のガラスが大きければ大きいほど気泡ができやすい傾向にあります。

そして、夏場にゼラチンを含む感光液を使う場合は太陽光はオススメしません。近年は猛暑が度を超えているため、屋外で露光させようとするとゼラチンが焦げます(笑)大人しくUVライトでやるのが吉です。

また、ガラスで露光する際の注意点ですが、必ず黒い用紙の上で露光してください。ガラスが透明なため、裏側からの反射で余計な感光を防ぐためです。

いつも通り水洗して乾かしたあとはレジンで硬化します。ゼラチン部分は剥がれやすいのでコーティングが必要なためです。レジンにはUVレジンとエポキシ樹脂がありますが、この場合はエポキシ樹脂の方を使用します。え?UVライトを使っているならUVレジンを使えば一石二鳥じゃないの?と思った方、鋭いです。しかし、エポキシ樹脂を使います。UVレジンは粘度が高く気泡が入りやすいからです。それに対してエポキシ樹脂は粘度が低く、気泡が入っても硬化の段階でほとんど消えてくれます。

手順を写真付きで解説していきます。ちょっと用意するものが増えます。

感光ガラスの準備

ゼラチン、感光剤、バット、ビーカー(耐熱)、ヘラ、調理用お温度計、濾し器
ゼラチン10gを水に溶く
50℃のお湯を用意
ゼラチンを溶かします
感光剤A,Bを25mlずつ容器に入れる
溶かしたゼラチンを混ぜる
泡を取り除く
感光液が固まらないうちに泡たたないように真ん中からゆっくりガラスに垂らす
傾けながら満遍なく伸ばす
余分な液を垂らす
限界まで薄くする
透けるくらいがベスト
日光の入らない場所で乾燥させる
乾いたら完成、緑色になる

感光

黒いものの上で、IHヒーターで代用した
ガラスの上にネガを乗せ、ガラスで押さえる
UVライトの下で感光、熱で塗料面に気泡が生まれるので、距離を離して1h~2h感光させる
水でゆすぐ、水温は低くすると良い
バットに水を張り、オキシドールを入れる
オキシドール入りの水に浸して青を濃くする
乾かす

乾かす段階で気泡が入ることがありますが、また水を張ったバットに浸すことで消すことができます。

以上がサイアノタイプをガラスに行う方法でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?