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「立ち止まる」という意思決定を経て、新章の幕開け

かなり久しぶりの投稿です。

2018年6月に会社を創業して現在3年半。
2021年は1年間、スケールするための地ならしをしていました。正直、もう少し地ならしの期間は継続するかと思いますが、そこに至った背景や、そこから学んだこと、考えていることをアウトプットしてみようと思います。

ところで先立って学びを述べてしまうと、特に事業の初期のフェーズにおいて「契約社数を増やすこと」よりも「ご契約頂いた1社1社の企業様に成果を出して頂きご満足頂くこと」の方が圧倒的に難しいんですよね。

そのことに気づいたのが製品をリリースして1年経った2020年12月。そこから方針転換という形で地ならしに費やしてきたのが2021年の1年間。

時間がかかってしまったと強く反省する一方、その失敗故に今の自分達の事業づくりには一定の自信を持てていることもあり、ようやく飛躍への兆しが見えてきました。

タイトルにもある通り、ちょうど今、A1Aとしての新章がスタートするというタイミングです。このタイミングから積極的に自分たちの学び、自分たちの取り組み、自分たちの出してきている成果をアウトプットしていきたいと思います。

なので、連載ものというか、いくつかのテーマに分けてnoteに書いていく予定です。恥ずかしげもなく、自分たちの失敗や学びをアウトプットしていく中で、それが誰かの役に立ったら嬉しいですし、A1Aという会社の理解につながったら良いなと思っています。

なお、今回のNoteはあくまでも「学び」にフォーカスした記事としています。学びを経て、A1Aはどのように躍進に向けて取り組んでいるのか、また、どんな成果を産み始めているのかについては、回を分けてNoteにまとめていきたいと思います。

A1Aについて

そもそもA1Aという会社は製造業調達部門の「ソーシング業務」を支援するようなSaaSを提供しています。

ソーシングといっても分かりづらい部分はありますが、いわば「何をどこからいくらで買うかを決める」お仕事だと考えて頂ければと思います。

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製品紹介資料より抜粋

パーチェシング、すなわち「発注先や価格決定後の業務」に関しては広くデジタル化が進んでいる一方、発注先や価格を決定するまでの意思決定プロセス(=ソーシング)に関しては極めて属人的かつアナログな形で業務が行われています。

同一の企業が同じものを別の価格で買っているという実体験への違和感が創業の経緯。圧倒的な物量の調達品を扱う必要がある点、及び、サプライヤ様より受領する見積等のデータが紙・EXCEL・PDFで保管されている点が理由で情報共有の難易度が非常に高いのが現状。

そんな「発注先・価格決定プロセス(ソーシングプロセス)」に変革を起こし、データに基づく発注先決定、価格決定をしていきましょうという価値提供をしているのがA1Aというわけです。

調達業務の全体像について

日本ではまだまだ未成熟な調達向けシステムの市場ですが、グローバルでは非常に多くのサービスが乱立しています。

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Why we fell in love with Procurementより引用

A1Aはこの「調達」という領域に根ざして事業を展開し、バイヤーが「最適なサプライヤから最適な部品を調達できる」状況を実現し、「最高のものづくりには最高のバイヤーがいる」という世界を作っていきたいと思っています。

ビジネスの立ち上がりが早かったA1A

創業以降、サービスをリリースしてからのビジネスの立ち上がりは非常に好調でした。
上述の通り、日本ではまだまだ調達の方々向けのITサービスが十分に提供されておりません。また、日本では「調達部門」の認知やその立場が十分に評価されているとはいい難い状態です。

そんな状況の中で「今までは有効活用されてこなかった見積データを資産として活用することで原価低減を実現しましょう」というメッセージは非常に多くの調達関係者に喜んでいただけるものであり、かつ、期待感を持って多くのお問い合わせを頂くに至りました。

当然ご契約企業様の増加スピードも想定以上、ARRの積み上がりも順調でした。過去には以下のようなブログも書いていますね。恥ずかしや。

メンバー全員が事業の伸びを確信できているA1A社、絶対いいですよ。確実に楽しい。「進めば、伸びる」ことがわかっているからこそ、忙しさも幾分かはあるわけだけど、でも、進んでるって実感、伸びているって実感を持てるのって幸せ。

私達にはまだまだ0→1フェーズの経験しかありません、なのでフェーズが変わり1→10、10→100のフェーズになると全く感覚は変わるかもしれないですし、また、私自身この会社が初めての起業なので他の企業でも同じことが言えるのかどうかはわかりません。ただ、創業して3年半、私が感じることは契約企業数、ARRの伸びだけを初期より追い求めすぎるのはかなり危険。

サービスリリースから1年

上記のような状況ではありましたが、上述の通りA1Aとしては方針転換を行い、地ならしの時期に入りました。

この頃の自分たちがどんな議論をしていたのかについては、書き始めると大変な長さになってしまうので別のnoteでアウトプットしてみようと思いますが、端的に「誰の何の課題を解決しているのか」がわからなくなってしまったというのが大きいのだと思います。

導入企業数は増加の一途。一方で、ご契約企業様が増えれば増えるほど、お客様の像がどんどん見えなくなってきてしまいました。
言葉にするのは難しいですし、数十社のお客様がいればそれも当然なのかもしれません、ただ、本当にお客様の「顔」が見えなくなってしまっていた。
そもそも自分たちがサービスを提供しているのって誰なんだっけ?誰のどんな課題を解決しているんだっけ?どんな価値を届けているんだっけ?がどんどん不明瞭になっていってしまっていたんですね。

言うならば、リーンキャンバスがかけない状態になってしまっていた。

「今までは有効活用されてこなかった見積データを資産として活用することで原価低減を実現しましょう」という創業期より言い続けてきたメッセージは極めて抽象的であり、広い業界の、あらゆる種別の品目の調達を行う「調達の方々」の方々に響くものでした。

ただ、事業づくりをしている方々からすれば明白かとは思いますが、「調達の方々」という粒度はほとんど何も言っていないに等しいもの。今でこそ「顔が見えないこと」の怖さを非常に強く痛感していますが、当時はわからなかった。

ARRの積み上がりが全てのように感じていたし、「成長は全てを癒す」なんていう甘い言葉を信じ切っていました。今考えればそれに加えて、自分たちが間違っているわけがない、失敗なんてできない、そんな過信もあったように思います。

ただ、今考えると、間違っても「契約企業数が増えること」は「課題を解決していること」の証明ではないと言えます。あくまでも「お金を払っても解決したい課題を持っている」ことの証明でしかない、というのが今の私の見解です。


さて「顔が見えないこと」の何が怖いのか。挙げていけばキリがありません。ただ「ゴールが見えないマラソンを走っているような気持ちになる」というのがその時に感じていた「怖さ」だったように思います。

先が見えない、モヤがかかった状況で、極めて不確実性の高い意思決定をしていく必要がある。ともすれば、その投資の先に、モヤの晴れていくような瞬間が訪れたかもしれません。ただそれはある意味で運試しのようなものでした。そのまま走り続けることは、当時の私達にはできませんでした。

多くの方に相談したそのときに、「これだけ数字がついてきているならば走り切るほうが良い」というご意見も多々頂きました。未だに「なぜその意思決定をしたのか?」と問われることも非常に多いです。

ただ、当時走り続ける根拠は「数字」の一本槍でした。
一方で、当時、数字を根拠に走り続けてしまったら、その後のA1Aはお客様よりも数字を優先するような会社になってしまっていたように思います。

私達はA1Aという会社を通して、どんな価値を社会に提供していきたいのか、その覚悟が問われた瞬間でした。

そしてたどり着いた答えは「私達に共感し、信じてくれるお客様に成果を届けたい、満足してもらいたい」という強い思いでした。


Y Combinatorの創設者ポール・グレアムは「Do Things That Don't Scale」にて以下のように述べています。

原文
The question to ask about an early stage startup is not "is this company taking over the world?" but "how big could this company get if the founders did the right things?" And the right things often seem both laborious and inconsequential at the time.
松原訳
アーリーステージのスタートアップに問うべきは、「この会社は世界をとれるのか?」ではなく、「創業者が正しいことをすれば、この会社はどれだけ大きくなれるのか?」ということです。そして、その正しいこととは、その時点では手間がかかり、かつ取るに足らないことに思えることが多い。

私達にとって「正しいこと」は、プロダクトを通してお客様に成果を出していただくこと、そしてその結果として喜んでいただけることだと信じています。

2021年の動き

さてスケールをストップして以降の自分たちのキャッチフレーズはDiscovery

完全にゼロベースでの製造業調達領域での事業機会の探索をスタートしました。創業期に戻ったつもりで、課題発見からスタートするDiscoveryプロジェクトを立ち上げ、再チャレンジに気持ちを切り替え。

以下は当時(2020年12月)の社内向け資料の一部です

Discoveryの対象事業(対象領域)は
・ 一歩目は調達・製造業領域でチャレンジする
・ 2年間蓄積した知見をもとに、改めて調達・製造業領域に挑戦
・ もう一度、課題から探しに行く
・ 完全に創業期に戻った状態

絶対に大事にすることは
・ お客様の課題解決(顧客に成果を出してもらうこと)に向き合う会社にする
→ DiscoveryのタイミングからN=1の顧客満足・成果を追求する
・ これまでの失敗の経験を資産として、次は正しい事業づくりをすること
・ もう一度、創業期の気持ちでDiscoveryとチャレンジを果敢に行うこと
・ 人は間違えるものであるという教訓、過信をしないこと
・ フィードバックが活発な組織、会社の状況がオープンな組織
・ キャッシュに心配がない状態で焦らずDiscoveryをすすめる

そこからは徹底して「誰のどんな課題を解決するか」に向き合う日々、「マーケット」というふわっとした対象に向き合ってきたのがこれまでだとしたら、「人」に向き合ってきたのが2021年の1年間だったように思います。

文頭では「地ならし」という表現を使いました。
2021年間、何人の方の、はたまた、何社の方々にインタビューさせていただいたでしょうか。改めて0ベースでヒアリングを繰り返し、そして、21年の夏頃に自分たちの取り組む課題を再特定するに至りました。

そしてその再特定した「誰のどんな課題を解決するのか」の解像度をどんどんと高めるべく、日々、「顔の見える」お客様への価値提供に向けてプロダクトの磨き上げをしています。

2021年も終わりに近づいてはいますが、もう少し、スケールに向けた地ならしの期間は続きます。ただこの地ならしの期間に得たものは今後のA1Aにとって極めて大きなものばかり。

スケールをストップする、という意思決定をした2020年12月以降も大半のメンバーは会社に残り、踏ん張ってくれています。

そんな頼もしいメンバーが、過去の経験を振り返り何よりも大事にしているのは「お客様の成果とお客様の満足度」。
自分たちの失敗の経験が、そんな会社の風土を醸成し、それが圧倒的な自分たちの強みになっていると日々感じています。

そして私自身もまさにその1人。
特に、創業初期からお付き合いいただいている、そしてA1Aを信じてくれているお客様には頭が上がりません。当然A1Aを信じてくれているメンバー、そして、変わらず支援いただいている株主の方々も同様です。

そんなA1Aだからこそ、今では自分たちを過信することなく、粛々とお客様の課題解決に向き合えているように思います。

私の一番の学びは「人は失敗から学ぶ」ということ。
日々試行錯誤の連続の中で、常に前進している感覚を日々持つことができています。

終わりに

本ブログではこの一年の振り返りと、A1Aの今後を左右するような意思決定について記載してみました。

お客様の課題を解決して、成果を出してもらいたい、満足してもらいたい、その思いで多くの取り組みを進めています。

ただ、当然全ての取り組みをこの記事の中に書ききることはできません。
ただ、真剣にお客様に向き合ってくる中で自分たちが得てきているもの、わかってきたこと、強みだと感じていることは多々あります。

自分たちの資産もどんどんと積み上がってきています。


さてここまでお読みいただいた方、ありがとうございました。

もしA1Aや本記事の内容にご興味をお持ちいただけたら、是非以下のリンクからお話しさせてください。また、こういった経験を持っている会社で、お客様に真剣に向き合い価値を届けていきたいという方もポジション問わず大募集しております!
Meetyリンク:https://meety.net/matches/ACzgxQBaWSki

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