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ピアノはまったく弾けないけれど
この間、ピアノ講師の方にインタビューする機会があって。
わたしは子どもの頃、9年くらいピアノを習っていたというのに、年数の割にピアノがほんとうに弾けないことを、自虐的にはなした。
すると、講師の彼女は、長く続けていた生徒さんには特長があると。
『心の壁にぶつかったとき、逃げるでも、穴を掘るでも、梯子をかけるでも、いろんな選択肢を持っている子が多いんだよね』
はっとした。
ピアノは弾けないけれど、わたしは音楽にたくさん助けられている。
メロディやドラムは耳コピができるとか、リズムには強いとか、楽譜が読めるとか、歌うのが好き、バンドを組んだ、とか。
いつでも自分の近くに音楽があったし、
音楽を好きなひとがたくさんいたじゃん。
ピアノは弾けないけれど、ピアニストを目指していたわけじゃないんだから、なにも不足に思うこともないし、恥じることもないよね。わたしはいったい何に劣等感を感じていたんだろう。
うつくしいピアノの音に、9年間も触れられていたなんて。めちゃくちゃ贅沢じゃないか。聴く耳を、たくさん育ててもらったはず。
月謝を払ってくれた親にも感謝。
息子が6ヶ月くらいの時に買った鍵盤付きのおもちゃ。ボロボロだけど、壊れることもなく、電池替えもせずに動き続けている。
目に触れられず流れていく宙ぶらりんなローカル情報を囃し立てて、自分の住む地域ってなんかいいな、誇らしいな、暮らしやすいな、と感じられる循環を作り出したいと思っています。(team OHAYASHI細川敦子)