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【建物】もの知りコンクリート。

何もかもが嫌でドライブが趣味だった頃の話。せっかくだから大好きな建築物を巡ろうかと思い、玄関のドアノブを回した。沖縄自動車道の最北端、許田ICからもっと北に向かう(※1)。体感1時間、椎名林檎さんと少女時代のアルバムを2周くらいしたかな。海沿いの何もない道をススーーンと走らせていると、ポツポツと家が見えてきた。沖縄生まれ沖縄育ちなのに、大宜味村を目的に来たのは初めてだった。

全員で隠れんぼ大会か?と思うほど人がいない。お目当ての建物が10秒くらいで見つかってよかった。3分かかってたら泣きながら撤退していた。なんで午前11時なのにホラー感漂っているんだ。聞いてない。

来たぞ、大宜味村旧役場。やっとお目にかかれた。小柄で、暖かくて、ガジュマルの木がよくにあう。美しい。見にきてよかった。と言っても、わたしはわざわざ昔使われていた役場を見て回るような稀有なマニアではない。すごいんだ、この建物は。これは沖縄で現存する最古の鉄筋コンクリート建造物として、今も在り続けている。大正14年に建設され、あの沖縄戦をくぐり抜けた数少ない建物。昔の建物とは思えないほど、親しみやすい形をしているなぁ。中はどうだろう、なか…、

入れなかった。ばか…。「行こう!」と決めて10分でエンジンかけたから何も調べてこなかった。そっか、、、常時開放してたら大変だよね、そうだよね…。突破するわけにはいかないので、窓ガラス越しに中身を見つめた。(※2)

コケ???ノリ??遠くからはわからないが、緑の何かが侵食している。左側の扉の先は玄関へ行く受付。右の扉は2階へ上がる階段でもあるのだろうか。

90年前の景色はどうだったんだろう。朝はどんな人が出勤してきた?村の人は騒がしかった?戦争は。何を見てきたんだろう。聞きたいことはたくさんあるけれど、これは口を聞けない。

新しい技術ももちろん必要だ。それでも大事なことは「問題解決の力を持っている/長く愛されるもの」を作ること。建物に限った話ではない。目先の流行にとらわれず、誰しもが長く使えるものを。大事

平成の先も、この建物が多くの歴史を共にしますように。

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(※1)沖縄はなんで高速道路が名護で終わりなの??美ら海水族館まで伸ばしてくれ
(※2)周りに人がいなくて本当に良かった。どう考えても怪しすぎる。

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