「やさぐれ魔法の王女様」17、カレンの労働


ローレル
「あんた、正気なの?」

 カレンが何かローレルに提案するたびにこの言葉が出てくる。

カレン
「ええ、正気よ。そして本気。だってそれの為にここに来たのよ?」

 ローレルはさすがに頭を少し抱えてしまった。カレンが言い出したのは毒龍に会いに行きたいというとんでもないこと。そしてそれをローレルに相談したのだ。

ローレル
「・・・いい?毒龍はカレンが思っているよりも危険よ?それを承知の上でのこと?」

カレン
「もちろん」

 正直、ローレルは諦めていた。このカレンとかいう人物は破天荒と言う言葉では表現しきれない。他人が何を言ったとしても止まらない性格。自分がやろうとしていることはとことんまで追い詰める。これまでのことでそれがローレルにはわかってしまっていた。

ローレル
「・・・はぁーなんて馬鹿なお姫様」

カレン
「よく言われるわ。特にユイとかクロムとか」

ローレル
「2人にはこのことは?」

カレン「ええ、もちろん話したわ。したら納得したわよ?」

ローレル
「・・・」

 ローレルはその言葉を聞くと唖然とした顔をした。自分を落ち着けるためにテーブルに置いてあったお茶を飲み干すと煙草に火を付けた。

ローレル
「・・・ごくたまにね、怖い物知らずが同じことを聞くの。決まって外から来た人間が毒龍の居場所を教えて欲しいって」

カレン
「魔物狩りのためってこと?」

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9,707字
「龍を倒す」こと。剣や魔法でドラゴン退治はファンタジーの王道ですが、そんな王道から少し外れた先の未来。握らなければいけないのは剣や魔法の杖ではなく、自分の種になるかもしれない。

完結済みのオリジナルの小説です。全21話。文字数は大体18万字あります。少々長いですが良ければどうぞ。

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