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「イネーズ」風吹く世界の中で その5

「ぼくたちにとってはよくないんだよ」

俺はますますわからなくなった

「どういうこと?」

「うーんとね、ぼくたちというか「ぼく」なんだけどね。ひとが名付けた「むし」とか「いきもの」ってのはいろーんな種類がいるんだけど」

「うんうん」

「もらうものによって「ぼくたち」が増え過ぎたり減りすぎたりするんだ。そうすると、ぼくの食べ物がなくなったり、増えすぎた「別のぼくたち」に食べられたりもする」

「要は「たべるたべられる」のバランスがおかしくなってそれで居心地が悪くなってこっちへ来たんだよ」

俺は少し理解したような気になってきた。

「じゃあこっちはそんなことはないんだ」

「そうだね、こっちはそんな感じじゃない。とても居心地がいいし、それでいてお互いに邪魔しないんだよね。混雑はすごいしてるんだけど、不思議と揉めたりしないだろ?」

なるほど、

「わたしちゃん」たちのところは「ぼくたち」にとっては良くない場所で

「おれくん」たちのところは「ぼくたち」にとって良い場所。

でも、「わたしちゃん」も「おれくん」もそんなに変わらない気がする。

「うーんまだわからないなぁ」

そういうと「足元の住人」はニヤリと笑った。

「あと、そうだなもう少し季節が暑くなってきたらわかるかもしれないな」

季節は移り変わり6月になろうとしてた。

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