「やさぐれ魔法の王女様」20、少女カレンと毒龍ジニー


 カレンは次の日も当然のように毒龍の目の前に立っていた。最初の緊張感はそれほどでもなくなり余裕が出て来た。その余裕を使って今度は周囲の領域に気を張る。何かあるはずだ、絶対に何か手掛かりが。

 常識外れを考えるとき頭ではダメだ。ここから先は感覚と子供の頭を使うしかない。他人とは違う道を選択したのであれば別な方の理を使うしかない。どんな世界で生きることだって簡単な話しじゃない。だからこっちで生きるなら別の何かを持ってくるしかない。自分が人であるという事、それとそれに準じた本質を使うしかない。

「考えること、感じることを使うしかない」

カレン
「・・・」

 「少女カレンに戻れ」自分の中へそう言い聞かせる。純真無垢な心を持っていたあの時代に戻れ。戻ればこの土地の違和感が出てくるはずだ。どこかがおかしいのであれば世の中に毒されていないあの一番自然だった頃に戻れ。目を閉じて深呼吸をする。大きな音は何も聞こえてこない。耳を澄ますとその中で一筋だけ音か聞こえて来た。

カレン
「どこかで水の流れる音がする」

 カレンが目を開けると目の前の毒龍がこちらを見ていたようで目を開けていた。綺麗な瞳がカレンを捉えている。

カレン
「あら?あなたも私が気になるの?」

ここから先は

10,635字
「龍を倒す」こと。剣や魔法でドラゴン退治はファンタジーの王道ですが、そんな王道から少し外れた先の未来。握らなければいけないのは剣や魔法の杖ではなく、自分の種になるかもしれない。

完結済みのオリジナルの小説です。全21話。文字数は大体18万字あります。少々長いですが良ければどうぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?