頭の横の「コイツ」のつぶやき

昔から自分は何かしら起こるとそれを盾に自分を守ることが多かった。
熱を出した次の日はもう下がってるのに少しだるそうにしたり、足を怪我した時にはそれを理由に運動をサボったり、課題に追われてる時にはバイトで疲れた顔したり…。
「こうなんだから仕方ないでしょ」
「できなくても許して」
そんな免罪符をいつもいつも探してた気がする。
本当はできたのかもしれないのに。努力でなんとかなったのかもしれないのに。

今だって。
摂食障害や抑うつを理由に仕事を休み、コロナを理由に自堕落な生活をしてるけど、活動しようと思えばいくらでもできるかもしれないしご飯の食べ方も努力すれば改善するのかもしれない。

なのにやらずに、出来ない出来ないって毎日ご飯を食べては吐くだけの日々を送るわたしって本当は摂食障害の皮をかぶったただの怠け者なんじゃないかなぁ。
だってここ数ヶ月体型もそんなに変動ないし、吐かない時も増えてきて過食嘔吐を宣うには太ってるし…ほんとに辛そうなあの子はあんなにガリガリで、見るからにやばいでしょって思えて、この子も、その子も…。やっぱりわたしは軽い方なのに重症なふりをしてる、というか摂食障害のふりをしてるデブなのかなぁ…?

摂食障害なんだからご飯食べすぎても仕方ないでしょ、食べられなくても仕方ないでしょ。太ったり痩せたりしても何も言わないでよ。摂食障害なんだから元気じゃなくなるときもあるよ。
わたしこんなに大変なの、辛いの。
心配して、慰めて、愛して。
摂食障害なんだから、だから、だから。

そんな理由付けをして人から心配されたかっただけなのかなぁ。
だとしたらどれだけ厚かましくて、摂食障害の当事者に失礼なことをしてるんだろう。だめだ、ほんとにだめだ…


なんて。

ここまでの言葉を他の当事者の人が言っていたらわたしは全力で「NO!考えすぎ!」と言うだろうから、これは単なる自己否定の度に出てくる「アイツ」が喋りかけてきてる言葉に過ぎないんじゃないかなと思う。

主治医曰く、こういう極端に否定的な考えとか、『「それを食べたら太るぞ」「太ったら愛されないぞ」みたいな根拠のない考えは、頭の横からコイツ(キツネの形をした手をパクパクさせたヤツ)が喋ってきてる』んだって。
でもそいつの言うことって、「1ヶ月後宇宙人がきて地球は侵略されるぞ」くらいでたらめで根拠のない話なんだって。

もし「1ヶ月後に宇宙人が来て地球は侵略されるぞ」って言われたら信じる?
「うっそだぁ」って思わない?

だから「コイツ」が自分を不安にさせるようなことを喋りかけてきたら「うっそだぁ」と笑い飛ばして、聞かないで、無視していいんだって。

今までのわたしのこの一連の考えもきっとコイツの仕業。だったら信じる必要は全くない。今わたしが「辛い」と思ってるのは紛れもない事実。人と比べず、人がどう考えてるかにばかり目を向けず、辛いことは辛いと自分で受け止めて、前に進めばいい。

…なんて言って、この主治医の言葉を笠に自分を正当化してて、やっぱり人に「あいつ厚かましいなぁ」「構ってちゃんでうざい」って思われたらどうしよう。嫌だな。怖いな。不安不安。

…わたしが「コイツ」の言うことに振り回されなくなる日はもう少し先になりそうだな。

では改めて、
今、あなたの頭の横で「コイツ」はなんて喋りかけてきてる?
それ、笑い飛ばして大丈夫なんだって。
じゃあ、自分の「気持ち」はなんて言ってる?
それ、信じていいやつなんだって。


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