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知りたいことにサッと回答!『検索くん』の実装?報告書

みなさま、こんにちは。ネットスーパー事業の本社スタッフとして勤務する、Matsuです。今回は私が考えたネットスーパー用業務サポートツール『検索くん』を実際に作成したというお話です。果たして無事に実装できたのか!?

前回までのお話はこちら

前回の記事で綴ったように、やることの多さに委縮してしまった私ですが、あれこれ悩んでも前には進めません。まずは『商品が陳列されている場所がわからない』この課題を解決できるアプリから作りました。

Ver1.0の完成

誕生!検索くん

最初は計画通りPower Automate Desktop(以下PAD)を使って必要なデータの自動化からチャレンジします。注文データには商品分類コードという7桁の数字が含まれているので、PADを使って分類コード→分類名称に変換する操作を自動化しました。PADのフロー作成に四苦八苦しながら、なんとか検索くんVer1.0の完成させました。

Ver1.0

もっと完成度を高めることも可能ですが、まずはどんなアプリなのか?最低限の機能で作成し、使ってもらいながら改善していきたいと思います。ノーコードツールを使い、自分で作っているからこそできる方法です。そして自分で作るからこそ楽しいし、愛着もでます。

同僚からのフィードバック

作成後、同僚の本部スタッフに披露しました。ほぼ全員に『これピッキング時間早まりそう!』と、言ってもらえましたが、作り込み不足についてはご指摘がありました。フィードバックの内容は以下になります。

本部スタッフのフィードバック

Bさんの要望はすぐ改善できますが、A・Cさんの要望は一筋縄ではいきません。他部署に協力をお願いして改善に取り組むことにしました。

Ver1.1の完成

同僚Aの要望改善

まずは同僚Aさんの、『〇〇売場の△△コーナーとだけ表記されていても、わからないから、ピンポイントで場所がわかるようにしたほうがいいよ』という話。言うのは簡単ですが・・・。実際にやるとなると商品部の棚割りシステムにログインして、陳列情報を入手する必要があります。小売業のバイヤーが世の中で一番忙しいと思っている私は『絶対嫌がられそうだなぁ』とつぶやきながら、意を決して商品部のフロアに突入しました。一番親切そうなバイヤーを見つけて『Tバイヤー!すみません、教えて下さい!』と半ば強引に捕まえ、システムの操作方法をみっちり教えていただきました。後はこの操作をPADで自動化するだけです。無事に全30部門、約4万点の陳列データ抽出の自動化に成功しました!(PADの動きを眺めながら、これを手作業でやるのは絶対イヤだなあと改めて認識)

同僚Cの要望改善

次は同僚Cさんの要望、在庫表示です。そう!これを改善できれば陳列棚に商品がないときの対処を解決できます。いろいろ試したのですが、在庫データがある社内システムはPADによる自動化が無理っぽい。どうやらこれも私の力では解決できなさそう。こんなときは情報システム部です。その名の通り情報の宝庫!ここにお願いしたら何とかしてもらえるかも?と思い、一番優しいNさんの在社時を狙って確認します。
『CSVデータで渡せますよ~』
とあっさりOK。どうやら上長の印鑑ついたシステム要望書があれば提供できるとのこと。そんな紙切れ一枚と押印でいいのなら、すぐ準備します!ということで、陳列場所・在庫データが見れるようになったVer1.1の完成です。

Ver1.1

店舗スタッフからのフィードバック

よし、次は実際に使う店舗の従業員に使ってもらおう!意気揚々と店舗に乗り込みます。
『こんなアプリ作ったんだけど見てー』
と言って渡したら、みなさん即座に反応してくれました。

スタッフのフィードバック

誤算です。使う人の年齢まで考えていませんでした。お店では老若男女、さまざまな人が働いているのです。でも文字の大きさはGlideを少し触ればなんとかなります。厄介なのは入荷日・・・果たしてわかるのだろうか?この日は、うなだれながら帰路につきました。

Ver1.2の完成

店舗スタッフBの要望改善

翌日・・・。仕入だから商品部が把握してるだろうか?と思い、もう一度Tバイヤーに話を聞くも、どうやらPDF形式での出力になるとのこと。PDFでは注文データに内容を転記することができません。肩を落として自部署に戻っていると、在庫データを提供してくれた情報システム部、Nさんとすれ違いました。無理だろうなと思いつつ、仕入データを抽出可能か質問してみます。
『仕入?わかりますよ、この前の在庫データファイルと一緒にしましょうか?』
マ・ジ・デ・ス・カ?さすが情シス!もはや検索くん作ってと言っても『できますよ』って言うんじゃないだろうか?今回も情シスのファインプレーで仕分けくんはVer1.2へと進化しました。

Ver1.0→1.2比較

再び店舗へ行って検証

文字の大きさOK!仕入データOK!今度こそ使ってもらえるはず。店舗へ猛ダッシュしました。検証結果は以下の通りです。

店舗検証データ

検索くんが圧勝して便利・導入!と言うストーリーだったのですが、①のピッキング時間の検証ではベテラン従業員の作業スピードが異常に速く、まさかの敗戦。商品の陳列場所をほぼ記憶している達人クラスが1店舗に1~2人、いるんですよね。とはいうものの一般従業員には勝利し、面目を保てました。不穏な空気が流れましたが②の品切れ時の在庫確認では検索くんの圧倒的な速さにみんなに『便利~導入してほしい!』と言ってもらえました。

店舗からのフィードバック(2回目)

高評価ではあったものの、以下の内容で改善要望はありました。

店舗の要望

確かに毎回操作は必要だし、PADを実行している間(おおよそ15分間)はPCが使えなくなります。それだと店舗は困る様子。バックグラウンド処理とトリガー設定ができる有料プランであれば可能なのですが・・・。
また、複数で使うためには別途回線契約が必要です。この2つをクリアするためには、どうしても経費が発生します。計画の段階で実装する場合はそうなるだろうということは想定していました。とはいうもののお金を使っていいかどうか、私が個人で判断することはできません。ここはセオリー通り上司へお伺いを立てたいと思います。

上司に相談

ここまでの経緯を上司に相談してみました。
上司からは『導入効果ありそうだけど、検証したのが1店舗だけだから経費をかける必要があるのか?判断に迷うね』
という回答。そこで私は『営業チームに検証サンプルを収集してもらうようにできないか?』
と提案したところ、なんと!上司の了承を得ることができ、ネットスーパーグループ課題として再スタートすることになりました。これで堂々と業務として取り組むことができるようになりました。(これまでは若干周りの目を気にしながらやっていました)

振り返りと今後の計画

2か月間で作ったもの・学んだこと

MakeとLine Botを連携させて作ったストアインフォくん。Teachable MachineとNodeRedとLINEを連携させた美晴さん。作成する前はノーコードと言っても初心者には難しいんだろうなと思っていましたが、Web上にヒントがたくさんあるため、なんとか作成することはできました。しかし検索くんの場合は、商品部や情報システム部の協力、同僚の本部社員や店舗スタッフのフィードバックがなかったら、作成することはできませんでした。つまり関係先をうまく巻き込まなければ、デジタルに関する技術・知識だけでは何もできなかったのです。
そう、私は2か月間でただ単にデジタル技術だけを学んだわけではありません。学習したデジタル技術を使って身の回りの業務課題を解決する方法を考え・自分の周りの人に協力してもらいながら実際に作り・それを発信して周りの人からフィードバックをもらい、改修していく方法を学びました。その集大成が検索くんです。過去の私が見たら、驚愕するレベルに成長していると自分でも思います。

今後の計画

私の学び・取り組みはこれで終わりではありません。本当のスタートはこれからだと思っています。まずは検索くんをもっと使いやすく、そして極力経費をかけずに使う方法はないか?ほかのツールの使用も検討しながらブラッシュアップする予定です。さっそく営業担当者とミーティングを実施し、3店舗に対して検索くんのスピード検証と店舗からのフィードバックをもらうスケジュールを組みました。
そして日常常務においても煩雑・非効率な業務をデジタルツールを使って改善を進め、その技術・知識を部内・社内のメンバーと共有し、会社のデジタルリテラシーを向上させることで社員一人一人がデジタルによる効率化を考え、実装し、発信できるようになればと思います。

前回の記事も合わせると長くなってしまいましたが、これで私の検索くん計画~実装までのお話はこれで終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうござました。


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