史上最悪赤字1兆円超 ソフトバンクグループの株主総会で孫さんは何を語ったか？

おはようございます。

このnoteでは、月〜金日替りテーマでIT系のビジネストレンドなどをできるだけ噛み砕いてご紹介しています。

経営戦略・事業開発の火曜日。今日は、先日の決算で1兆円を超える過去最大の大赤字を出した孫さん率いるソフトバンクグループの株主総会のスライドを見ながら、同社の今とこれからの大枠がつかめる回となっています。

株価戻ってきた

新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が悪化する中、ソフトバンクＧの前期（20年３月期）決算は営業赤字が過去最大の１兆3646億円となりましたが、株価は3月末の大幅な下落から一転、ウィーワーク問題での下落前の水準まで戻ってきています。

ブルームバークの記事（7月3日）の抜粋です。

ソフトバンクグループ株が１年ぶりの高値を付けた。
相次ぐ自社株買いの実施で投資家の下値不安が後退しており、最大４兆5000億円の資産売却計画も順調に進む。
関連利益を計上する今期（2021年３月期）業績の回復や財務改善への期待感が出ている。
３日の株価は前日比2.6％高の5778円と４日続伸し、２月に付けた終値ベースの年初来高値（5751円）を更新。米ウィーワークの経営問題が表面化する前の昨年７月以来の水準に戻した。
岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは、自社株買いの効果に加え、「社債の買い入れなどを進め、財務体質の改善を図っている点も評価されている」と分析。新型コロナウイルスの世界経済への影響が春先の第１波に比べればやや落ち着いた中、業績面でも「前期末に兆円単位の評価損を出したため、これ以上悪くなる可能性はない」との見方が出ているという。

初のオンライン開催となったソフトバンクグループ株主総会

それでは6月25日に開催された株主総会で説明されたスライドをもとにソフトバンクグループの経営状況をまとめておきたいと思います。

今回はコロナの影響で初のオンラインによる開催となりました。
今年の4月まではSBグループの社員だった僕ですが、毎年有楽町の国際フォーラム開催される株主総会の後、同じ会場で社員向けの社員大会というのが開催されるのですが、僕はそこで普段雲上人として会うことのない孫さんの話を聞ける場として楽しみにしていました。
今年はオンライン開催ということで、孫さんの話が生で聞けなくて残念がっているSBの人多いのではないですかね？

さて、今回アーカイブにあった配信動画を見たのですが、前半は、あれ、孫さん大丈夫かな？大赤字で追い詰まってる？っていうくらい憔悴（しょうすい）したような表情で心配だったのですが、後半の質疑応答では、いつもの調子が戻ってきていました。
やっぱりオーディエンスがいる、といない、でパワーが変わりますね。

それではまず数字まわりを見てみます。

営業損益1.3兆円のマイナスもアリババは激しく稼ぐ

売上は1.5％の増加。8割くらいソフトバンク㈱ですかね。

営業損益は1.3兆円のマイナス（！）えらいことになってます。
豆腐を一丁、二丁と数えるように、兆円単位の売上をめざす、と言ってみかん箱の上に立っていた創業当時の孫さん、まさか損失が一兆超えてくる日が来るとは思ってなかったでしょうね。ここだけ見ると大丈夫かな、と思います。

結果、純損失はマイナス9600億円ということです。

ビジョンファンドのトータルでの勝ち負けでいうと、1.4兆円の評価増に対して、評価減がマイナス1.5兆円ということでトータル0.1兆円の負け越し。

上場した投資銘柄というくくりの勝ち負けでいうと、1530億円のプラス。
癌の予測技術領域でリードするGuardant Healthが1667億円のプラスで、そのあとにSlackやVir Biotechnologyが続きます。一方で足を引っ張っているのがUberのマイナス1461億円。

日本のソフトバンク株式会社は安定の成長。営業利益は9200億円を超え、7.4%の増加です。一兆円が見えてきた感じですね。

アメリカの通信事業では、黄色いSprintがピンクのT Mobileに統合され、基本はドイツテレコムが主導権を握り事業が進んでいくことになります。

最後にソフトバンクグループの稼ぎ頭アリババです。
売上高がもう少しで8兆円、しかも35％増。この規模でこの成長率はちょっとおかしいですね。

純利益も1.4兆円から2.7兆円へ42％増。ジャック・マーは一線を退いてしまいますが、よくここまでもってきましたね。すごい。

最後に株主価値を見てみると、やっぱりアリババが圧倒的で半分以上占めてます。トータル23兆円ということで大きいのはわかりますが、もうこの規模になってくると感触が掴めないです。

デジタルシフトを牽引

ちょうどコロナの影響が株価を直撃した3月に決算を迎えたため、実態以上にマイナスに振れてしまった印象がありますが、このコロナが加速させるデジタルシフトについて投資している各社の事例を紹介してくれていますので、いくつか抜粋してみます。

さまざまな分野でデジタル化が加速しています。

中国では、コロナの影響で小売・外食が大幅に落ち込むもその分ネット通販へのシフトが加速しています。

最近よく見かけるUber Eatsも取扱高が52%増加。

中国のオンライン診療も11億人（！）が利用しているということで、この波は日本にも確実に来ます。

こちらも中国ですが、教育の分野も一気にオンラインにシフトしています。

以前このnoteでも取り上げたTikTok、オンラインエンタメという位置づけで伸びています。

オンラインのビジネスコミュニケーションツールのSlackも導入社数を28％伸ばしています。Zoomに投資していたらもう少しドヤれたのに残念でした。

そして待望のコロナワクチン。こちらもAIを活用して臨床試験をガンガンやるということでここで結果を出すと一気にグループの株価アップに貢献しますね。

ということで、史上最悪の赤字を出したソフトバンクグループですが、投資会社という位置づけなので、株価が下がれば業績が下がるということで、実態として中核会社のARM、アリババ、ソフトバンク㈱は業績を落としているわけではないし、直近は株価も戻ってきているし、デジタルシフトの加速はむしろソフトバンクには追い風なので、あまり心配することはないかもしれません。

保有株式は微々たるものですが、僕も一応ソフトバンク㈱の株主なので、特に国内事業はぜひがんばっていただきたい、と思います。

ということで、本日のお話は以上です。

日報

備忘録として。

・P向けフェーズ2の基本要件まとめの資料作り（終日）
・Hケア企画資料アップデート（夜）

（独り言）朝の散歩嵐、大荒れ。Mさまご縁はつなげていきたい。JustinからAPAC展開についての会議説明TELあり。海外まで手回んなそう。

明日は、EC・ロジスティクスの水曜日。ソフトバンクつながりでZOZOという通販会社が最近どんな感じなのかを少し見てみたいと思います。　

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それでは今日もよい一日を。