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創造的破壊 新興D2C企業から古い勢力を駆逐する方法を学ぶ

おはようございます。ドドルあおけんです。

さて、今日はEC・ロジスティクスの水曜日ということで、書籍D2Cから事例を中心にご紹介したいと思います。

D2Cをざっくり説明

D2Cについてはこのnoteで何回か取り上げているので、定義的なことは以前All Birdsを扱ったのnoteでご紹介しているので良かったら覗いてみてください。

D2C(Direct to Consumer=消費者直) は、ひと言でいうと、EC由来で実店鋪も持っているメーカー兼小売、と僕は捉えています。EC由来というのがミソで、実店舗はあくまでもショールーム売るのはECだから、店舗在庫いらないし、っていう発想の持ち主です。

そして、今日は、All birds の投稿でカバーできていない領域について、その名の通り「D2C」という書籍からD2Cが盛り上がっている背景と、実際の(今は)いけてるD2C企業群を抽出してご紹介したいと思います。

ちなみにこういうアマゾンへのリンクはアフィリエイトとか面倒なのでそういう設定はしておりません。著者へ還元できればという思いで貼ってます。このnoteの有料化とかも考えてないので誰も気にしていないと思いますが、そこんとこヨロシクです。

投資家観点から見た投資対象としてのD2C

D2C企業と言われるスタートアップは、新たなるアメリカン・ドリームとして、有名大学を出て、MBAなんかをとった若手が数名集まって起業するというケースが多いみたいです。

D2C企業がやりたいことは、GAFAMNがプラットフォームというところでいうと圧倒的で太刀打ちできなくなった今、狙うべきは完全なるデジタルの世界ではなくて、モノ+デジタルの領域で、古い考え方に支配された既存の大手プレイヤー・業界をテクノロジーとブランド構築力を武器に破壊(Disrupt)・刷新していくという流れかな、と捉えています。

なのでD2C企業で成長しているのは、マットレスとか、カミソリとか、メガネとかスーツケースとかテクノロジーとは一見少し遠い業界ですね。

Dollar Shave ClubというカミソリのD2Cで急成長して市場のシェアを10%獲得した後、ユニリーバに買収された会社を早い段階からその可能性に気づき同社への投資をリードしたデビッド・パックマンという投資家は、D2Cスタートアップへの投資条件として以下を上げています。

1. 差別化され、粗利が高い商品を提供している。
2. ゼロサム市場である(一人が複数ブランドを使い分けない
3. 既存プレイヤーが小売のみで販売しており、顧客との直接接点をもっていない
4. 既存プレイヤーがマス広告に依存している
5. 使用データを獲得でき、機械学習などでデータの精度を上げることが可能なプロダクトやサービスである

総じていうと、狙いは、旧態依然の業界に参入して、オセロを全部ひっくり返しにいく。そのために圧倒的な顧客体験とそれを改善していくためのビッグデータ取得と機械学習モデルを構築できているか、あるいは、できる設計思想があるか、というところがポイントなんでしょう。

D2C 7つの本質

D2Cを理解するための指標として筆者は次の7つのポイントを上げています。

1. 「ものづくり屋」ではなく、「テック企業
2. 「間接販売」ではなく、「直接販売
3. 「高価格」ではなく、「低価格を志向
4. 「着実な成長」ではなく、「指数関数的成長」を遂げる
5. 「プロダクト」ではなく、「ライフスタイル」を売る
6. 「X世代以上(1960〜80年代生まれ)」ではなく、「ミレニアル世代(1989〜1995年生まれ)」以下をターゲット
7. 「顧客」ではなく、「コミュニティ」として扱う

ターゲットから見ていくと理解しやすいのかな、と思うのですが、X世代とミレニアルの間に断絶というか壁があるんだと思うのですが、親が言うようにがんばって勉強して大学入ったけど、大した仕事が見つからず、という日本でもロスジャネ世代というのがありますが、そういう世代の価値観は、高価なものよりも安くてセンスがあるものを好む傾向にあります。

そもそもお金もないし、物欲よりも友人との交流など人間関係を重視する一方で、スマホ・インターネットといったデジタルへの抵抗が低い&UI・UXの差異を敏感に感じとる感性は発達している、というのがミレニアル世代なので、そこに最適化しにいっている印象です。

代表的なD2C企業たち

これを前提にこの本で取り上げられているD2C企業を見ていきます。今回ご紹介するのは、こんな顔ぶれです。

・Casper(マットレス)
・Away(スーツケース)
・Hims(ヘルスケア)
・Glossier(コスメ)
・Dollar Shave Club(ひげそり)
・WarbyParker(メガネ)
・Pelton(フィットネス)

Casper (マットレス)

・町の古臭い&接客の悪いマットレス屋に目をつけてそこをディスラプト
・センスのいい顧客体験を提供するショールームスペースとして実店鋪を捉える
・「Wooly」という別ブランドで雑誌展開。ライフスタイル提案。

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Away (スーツケース)

・ライフスタイル提案型
・自らを「旅を売る会社」と位置づける。売るのは、スーツケースではなく、「旅のある生活」という世界観
・サンフランシスコの空港に行くと、若手ビジネスマンでAwayのスーツケース持っている人うじゃうじゃいるとか
・Casperと同様「Here」という雑誌の展開をしている

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D2Cスーツケースブランド「Away」の_超_急成長___MORILOG

Hims(ヘルスケア)

・男性向けヘルスケアブランド
・いけているあなたにするためのアイテム各種取り揃えてます、といった感じ
・プロダクト的には、髪の悩み系、夜の生活悩み系、お肌ケア、メンタルケアみたいなところのようです。加齢とともに元気がなくなる男性をいろいろ応援。(駆け込み寺として覚えておこう)

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Dollar Shave Club(ひげそり)

・男を磨いている、的な気分にさせてくれるひげ剃りグッズを販売
・サブスクリプションモデルで、定期的に製品が届くみたい
・でも、たまに注文してないバスグッズが届いたりするらしい
・見た感じ、父の日とか、そういうギフト需要がありそう

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Warby Parker(メガネ)

・Webで試着できない、のネット販売の弱みを逆手にとり、まず好きなフレームを5つWebで選ぶとそれが家に送られてくる仕組み。ここまで無料。
・秀逸なのは、SNSでその5つのうちどれが一番似合うか?という問いを #warbyhometryon とともにユーザが投稿。それに対してのいい悪い、の話がSNS上で盛り上がる→自動的に自社の宣伝になる、という手法で人気を拡大
・ECでの顧客体験を拡張する場として、実店鋪を展開。図書館をイメージしたようなすっきりとした店内は、売ることよりも、素敵な空間であることを最優先としている。
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Peloton(フィットネス)

・Pelotonのコースはバイクを購入し家族でシェアできるコース(月39ドル)と機材の購入なしのコース(月12.99ドル)の2種。バイクは2,245ドル〜
・フィットネス動画に関してはすでに数千以上存在しており、毎日20種類以上のライブ動画が追加(サイクリング、ヨガ、有酸素トレーニング、ランニングなど)
・映像、音楽などすべて内製化し、世界観を作るとともに、オンラインを駆使し、自宅にいながらあこがれのトレーナーや一緒にトレーニングに励む仲間と繋がれる。このことで、ジムに通うより割安で高品質なサービスを受けられることから、スポーツジム市場を切り崩している

_2__Peloton_-_ホーム

気づき・学び

今日は紹介企業が多いのであちこち目がいってしまいますが、今日の気づき・学びはこちら。

・D2Cは、GAFAMNが巨大プラットフォームした後、よりリアルの世界とデジタルをつなぐカタチで、古いモノづくり・販売手法を創造的に破壊しにいく勢力
・彼らは一部実店舗での売上も期待するが、おおかたはECでの売上をメインと考え、デジタルの強みである、顧客データの解析やそれに基づいたSNSをベースとした顧客コミュニケーションを積極的に展開し、店舗で作れない繋がりをバーチャルで作り上げる
・顧客との接点を継続的に持つことがとても大事なため、発信するコンテンツを作ることに相当な労力をかけ、それによって単純な物売りではなく、ライフスタイル・世界観を作りに行く傾向が強い。そのためそのコアのコンテンツ開発部分は外注せず内製化する。
・D2Cっぽくないので例を出さなかったけど、北欧暮らしの道具店というEC雑貨屋さんがドラマを作りはじめている、というのが、小売店がメディア化するD2C的な日本では先進的な取り組みと思います。

ということで、今日のお話は以上です。

日報

最後に、仕事の備忘録として。

・健康保険の任意継続に伴う調整作業
・パートナーのパイプラインを確認
・JPSと夕方契約サイン(!)&Pさんと中国話〜最後KさんとSラウンジで終了

明日のnoteは、DXの木曜日。アフターデジタルにあったラッキンコーヒーのことでも書こうかなと思います。

マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DXの木曜日
グローバルの金曜日
文化・教養の土曜日
エンタメの日曜日


それでは、今日もよい一日を。

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