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オムニ化実例④Beams 固定概念に縛られない全体最適発想を学ぼう

おはようございます。ドドル・カンマネ あおけんです。

アイデア

昨日の中川政七商店の社長にインスパイアされながら思いついたことを備忘録として書いておきたいと思います。

中川社長は、日本の工芸を元気にする、という想いを実現するため、伝統工芸を作る会社をコンサルティングし、ブランドを作るサポートをし、そのブランド化された商品を自らが有利な条件で仕入れ販売する、というWin-Winモデルを構築しました。

この考え方はこれから自分が日本で行うビジネスにも応用できそうな気がします。Doddleという会社はECで買ったものを自宅以外の好きな場所で好きな時に受け取れるサービスなので、お客様はECプレイヤーの方々となります。Doddleを利用するECプレイヤーの方々のビジネスが成功すればするほど、Doddle Japan自体も成長することができる。この関係性は中川政七商店と工芸品メーカーの関係に近いです。

また、見方を変えるとテナント企業の販売戦略・戦術を全力で応援するPARCOの立ち位置がとれる、という言い方もできるかもしれません。

ということで、Doddle Japan ECコンサルティング事業部、あってもよいような気がします。僕自身ECのプロではありませんが、今後たくさんのECプレイヤーの方とお話する機会があると思いますし、これまでの新規事業開発の経験からそれらの皆さまの成功法則を吸収し、体系化して、ECで成功を目指すお客さんに提供できるコンサルティングパッケージを提供できれば面白そうです。僕らはコンサルで儲ける会社ではないので、マネタイズポイントをしっかり別で確保できれば廉価で提供できるはず。

さらに発展形としては、EC起業家を支援するようなコンテストを例えばShopify(別で記事を書いています)のような方々と一緒にやってみるというのもあるかもしれません。以前ホリエモンが親の庇護のもとチャレンジができる10代最強、ということを言っていましたが、将来稼げる大人になれるよう若い人たちにビジネスの練習の場を提供するというのも興味があります。

キンコン西野さんが言うように、学校では教えていないお金の話を大人たちはもっと子供にちゃんと教えてあげなければいけないと思うし、学ぶ上で一番大事なのは実際にやってみることだと思うので、将来そこにちょっと絡めればいいなと思います。

ということで、前置き長くなりましたが、ここからは、これまでマルイ、PARCO、中川政七商店とご紹介してきた実店舗を持つ小売店のオムニ化戦略・戦術の最終回はBeamsのお話です。

カルチャーショップが作り出す磁場

BEAMSのサイトにはアニュアルレポートのような事業戦略をまとめているようなものがなかったので、かわりにWikiとこちらのサイトの記事をもとにBeamsという会社の大枠をつかんでみたいと思います。

まず規模感ですが、売上・従業員数は以下です。(Wiki)

売上高: 744億円(2017年2月期)
従業員数: 1,452名(2018年1月現在)

まず、創成期の話が面白すぎて、Wikiをそのままコピペします。

創業者の設楽悦三はもともと1953年創業で段ボール類を製造する新光株式会社を経営していたが、1975年頃に新宿の飲み屋で知り合った人物に紹介された重松理(後のユナイテッドアローズ創業者・会長)を店長として1976年、原宿に6坪の洋品店「AMERICAN LIFE SHOP BEAMS」を開業させた。同店はアメリカ西海岸のカジュアル衣料を直輸入して大成功を収め、1977年には2号店を渋谷の通称「ファイヤー通り」に出店している。
創業期の同社を支えたのは、平凡出版(現マガジンハウス)との深い繋がりだった。設楽悦三の長男である設楽洋(現ビームス社長)はこの当時、電通に勤務していたが、慶應義塾大の学生であった頃に知り合った小黒一三が平凡出版に勤務していたことから、同社は小黒を通して当時『ポパイ』の編集者だった石川次郎、松山猛、北村勝彦への人脈を築いた。『ポパイ』編集部はビームスにアメリカのファッションの情報を提供し、ビームスがそれを買い付け、『ポパイ』誌面ではそれらのファッションを紹介するというサイクルが成立し、ビームス躍進の原動力となった。

段ボール作ってた人が、新宿の飲み屋つながりでユナイテッドアローズの会長を店長に雇ってはじめた会社。息子が電通で、そのつながりで「ポパイ」とつながり、メディアを抑えながら成長。
ユナイテッドアローズとBeamsの関係も含めてなんかすごいですね。

この創業からこれまで日本のファッショントレンドをリードしてきたBeamsが創業40周年で作った動画が日本のこれまでのカルチャーシーンを5分で凝縮してて最高です。

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そんなBeamsは企業理念を次のように表現しています。

我々BEAMSはモノを通して文化をつくる“カルチャーショップ”を目指しています。即ち、モノを手に入れた満足感の先にある、そのモノが生まれた背景や時代性といったことを含む情報を共有することで、物質的満足以上の価値を提供するということです。
BEAMSには多種多様なスタイルのレーベルがあります。他に類を見ないこのバリエーションの広さと奥行きこそが、BEAMSのオリジナリティーであり、カフェ、雑貨、インテリア、音楽、アートなど、ファッション以外の分野にも積極的に進出し発展してきました。

服屋さんの発想ではありません。売っているのは「カルチャー」であり「ライフスタイル」ですね。そして大事なのは誰に売っているか、で、Beamsは自分たちが商売する相手を明確に定義しています。

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元ネタこちらのサイト

情報感度が高い上位3分の1、ここがターゲット。あくまでも感度なので年齢や性別といった属性カットではないということです。

この理念、ターゲット設定をもとに以下のブランドを展開しています。(Wiki)

BEAMS
ビームスの基幹ブランド。"BASIC & EXCITING"をテーマにカジュアルなファッションアイテムを展開。
International Gallery BEAMS
インポートや高級感のあるデザインのファッションアイテムなどを展開。
Ray BEAMS
レディースレーベル。
BEAMS BOY
レディースレーベル。Ray BEAMSよりカジュアルなファッションアイテムなどを展開。
BEAMS T
Tシャツ専門のレーベル。
BEAMS+
オリジナルアイテムやインポート、雑貨などを展開。
B印YOSHIDA
ビームスと吉田カバンの共同レーベル。PORTERとの別注アイテムなどを展開。
mmts(マミタス)
中川翔子との共同プロデュースブランド。"しょこたん"の世界観を表したオリジナルアイテムを販売。

カルチャーショップを目指す、という魅力的なビジョンに共鳴し人々を引き寄せる。それは顧客だけではなく従業員についも同じで、それが離職率年間3%未満という数字にも表れています。Beamsというブランドを愛し、誇りをもつ社員が多くいることが一番の強みかもしれません。

お客さんとお店のスタッフをどうつなげられるか?を問い続ける

なんとなくBeamsという会社の輪郭が見えてきたところで、書籍「実店舗+EC戦略、成功の法則」のビームス EC統括部 矢嶋部長(2018年時点)へのインタビューから、固定概念を捨て、全体最適を目指すBeamsのオムニ戦略のポイントを拾っていきたいと思います。

・(ZOZO等)ECモールはお客さんがいろんなブランドから選べるのが魅力だし、売上も上がる。ただ、どんなお客さんが買ってるかわからない。それがわからないままECを続ける危機感から、自社ECを立ち上げる。
・自社ECで一番大変だったのは在庫。何がどれくらい売れるかわかない中で在庫を予測するのは大変。ただ、買い付けでなく、自社オリジナルならシーズンイン前の予約会で様子をみて、反応がよいものの在庫を多めに積む。
・細かいUI変更、スマホ対応(2012年)などリニューアルは随時行っているが自社ECのフルモデルチェンジは2016年。東陽町にある物流センターで扱っている直営120店舗用の在庫すべてをECで販売できるようにシステム変更
・この仕組みを実現するため、1年以上もの間、何十回と物流センターに通い、担当者と議論を重ねる。理屈はシンプルだが実現はものすごい大変。
・ECサイト単体での売上ミッションもあるが、本当の命題は、実店舗のストック在庫とEC在庫を共有化させること。自社ECを社内インフラとしてとらえた。
・既に構築された仕組みに追加投資する理由を明確にする必要があった。それは、リアル店舗との共存を実現するため。リアル店舗の売上を前年より伸ばすのは難しい時代。この環境で自社ECの役割はリアル店舗をしっかりつなぐこと。それには、在庫のオムニチャネル化スタッフのオムニチャネル化(店舗スタッフの情報発信をネット上で行う)が必要で、そのためECサイトとコーポレートサイトの統合も行った。
・効率運用という面では、RFIDタグと自動梱包に取り組む。
できるだけ自社での内製化を図っていて、物流もカスタマーサポートも全部自社でやっている。皆部署は違うがワンチーム。どれだけ円滑に現場が回るか、そのためにECという視点は捨て、固定概念から離れて本当にお客様とスタッフがつながるとはどういうことかを考え、できるだけのことをやっている

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以上、Beamsのオムニ化サマリでした。

これまで4回に渡ってオムニ化の先進的な企業の実例を見てきましたが、実店舗をもつ企業のオムニ化は実店舗とECでどうお客さんとの関係性を作っていくか試行錯誤を繰り返しています。その前提としてのEC、店舗在庫の統合というところも重要な要素であることが見えてきました。

お客さんの目線を最優先に、各部門の利害の壁を乗り越えないと真のオムニ化が果たせない現状を目の当たりにするに、オムニ化戦略は、本当の意味でその企業が持つ環境適応力が試されるプロジェクトであることがわかりました。

この企業のオムニ化、もっと言うとEC・小売のデジタルトランスフォーメーションをいかに伴走・側面支援できるか、Doddleとしてできることについてこれから知恵を絞っていきたいと思います。

これで一旦オムニ化というところは区切りをつけて、次回は今朝思いついたコンサルティング事業というアイデアに一番近そうなのが楽天が各店舗にやっているコンサルテーションのようなイメージがあるので、その辺を少し掘ってみようかと思います。


ということで、本日のお話は以上です。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

それでは、今日もよい一日を。


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