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売れっ子コピーライターに心をつかむ企画の作り方を学ぶ

おはようございます。ドドルあおけんです。

さて、マーケティングの月曜日。今日は、友人にオススメされた電通のコピーライターさんの本から言葉を伝えること、企画について学んでみたいと思います。

そういえば、

コピーライターやCMプランナーに憧れた時代がありました。大学生の頃、ぜんぜん勉強せず漫然と過ごしていたわけですが、3年生も後半になるとまわりもざわついてくるので、とりあえず面接の達人という当時売れてた就活対策本を買ってみました。

ここで誤算が発生してしまうのですが、中谷さんという著書の言っている自己分析や就活対策の話の前に、彼がやっていたCMプランナーという仕事のディテールにひっぱられ、これだ!、という若気の至り、やりたいこと見つかった!と勘違いし、CMプランナーになろう!と思い立ち、色々ツテをたどってOB訪問を何人かこなしながら、勝手に決意を固めていくのでした。

画像___中谷彰宏の人生道場まとめ_-_NAVER_まとめ

中谷さん、外見も内面もカッコいいというずるい人です。

結局、その流れで自分のメタ認知も十分な準備もできないまま、勢いで大手広告代理店だけ受けたのですが、朝倉未来にタイマン挑む素人みたいなもんで、なんとかなるのはずもなく、あっさりと一蹴され、失意のうちに二次募集で名もない住宅メーカーに拾われるという結末を迎えます。

そういう意味で、電通のコピーライターさん、って聞くと、ほろ苦い。

というわけでリスペクトを持って今回学ばせていただきます。

人気コピーライターに学ぶ上手に伝える5つの心得

それでは、早速著者の阿部さんの略歴をWikiから。

2004年慶應義塾大学経済学部入学。中学3年生からアメリカンフットボールを始め、高校・大学と計8年間アメリカンフットボール部に所属。大学卒業後の2008年電通入社。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験に合格し、入社2年目からクリエーティブ部門へ移動。コピーライターとして活動を開始。

体育会系から言葉を操るコピーライターになったんです。中谷さんが早稲田大学第一文学部演劇学科という文化系なのを考えると文武の両刀を極めるすごい人です。

阿部広太郎_-_Google_Search

なんか僕のイメージするコピーライターさんとだいぶイメージ違います。僕のコピーライター像は滝藤さんみたいなイメージ。ステレオタイプはよくないですね。笑

滝藤賢一_-_Google_Search

阿部さんの代表作のひとつに、東進ハイスクール林修の「いつやるか?今でしょ!」があるんですって。2013年の流行語大賞となったみたいです。

そんな阿部さんの著書から僕がなるほど、と思ったポイントを5つピックアップしてご紹介したいと思います。

・言葉、という言葉を理解する
・ものはいいよう、によるポジティブ変換
・感動と企画の関係
・表現の技術
・才能=掛けた時間

1.言葉、という言葉を理解する

コピーライターは言葉を紡ぎ出す仕事なので、阿部さんは言葉とはなにかを深く掘り下げます。それは、平安時代「古今和歌集」にさかのぼり、紀貫之の和歌とは何かの解説にひとつのヒントを見つけます。

やまとの歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなりにける。

和歌は、人の心を種として芽を出し、すくすくと伸び、言の葉が生い茂る。

そういう意味です。葉は豊かさを表します。大事なのは、心の種が先にあり、言葉があとからついてくる。逆ではない、ということ。

心からスタートしない言葉はどんなにたくさん並べても豊かではないし、それ故に伝わらないということです。

さらに阿部さんは便利な言葉を安易に使いすぎていないか、自分にいつもチェックをかけていると言います。例えば、”やばい”  ”すごい” ”エモい” ”素敵” ”かわいい”など。

なんでも使えばいい塩梅になる味の素のような魔法のコトバがあるけど、本当の心が感じた種を正確に表現できているのか、ここを一段掘り下げることで豊かな言葉を使えるようになるといいます。

一例として、安倍さんがSNSにアップされた知り合いの女性の着物姿を見て、素敵にしたいけど、安易に素敵じゃなくなんなんだと考えて、可憐かな、ということで可憐ですね、とコメント。

でもちゃんと調べようと思って、辞書を引くと可憐は少し弱々しい守ってあげたい、といったニュアンスがあることがわかり、そうじゃない!、と再度しっくりする言葉を探し、「佳麗」だ!といってコメントを訂正したとか。佳麗は、整っていて美しいさま、美しい人という意味です。

心に芽生えたこの思い、どの言葉を選ぶのか? そこに毎日少しこだわり続ける、ということが言葉と向き合う上では大事なんですね。

2.ものはいいよう、ポジティブ変換

アランは幸福論の中で「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」と言います。なかなか深遠な言葉です。

同じシチュエーションでも楽しめる人と楽しめない人がいます。キンコン西野さんなんかはなにか大きな問題が起こるとちょっとニヤついてしまうそうです。どうやってこの問題を解いてやろうかなって知恵の輪を目の前に置かれた少年みたいになってしまうのです。

今回のコロナの件でも吉本を助けるためにスナック吉本というコンセプトで芸人と少人数でZoom飲みできる権利をクラウドファンディング上で売り始めたり、5万人以上いるサロンメンバー同士の雇用マッチングするプラットフォームを立ち上げたり、色々荒ぶって活躍をされています。

西野さんはちょっと突き抜けすぎですが、僕らも普段の生活の中で、ちょっとした見方を変えてみよう!、ポジティブな言い回しなんかないかな?と心がけるだけで、直面している問題をほぐして解きやすくしてくれる効果があります。

阿部さんが例に出していたのが、DJポリス。サッカー日本代表が勝利した直後の渋谷のスクランブル交差点で若者を素晴らしいコメント力で御していきます。

「今日の喜びを分かち合いましょう。皆さんがそのように交通ルールを無視していると、おまわりさんからイエローカードが出るかもしれません。目の前の怖い顔をしたおまわりさん。心の中では日本代表のW杯出場を喜んでいるのです。どうか皆さん、おまわりさんの言うことを聞いてください」

監視する警察と監視される若者の間に横たわる緊張感を、同じ喜びを分かち合う対象とくくり直した上で、イエローカードで場を和ませ、平和的な呼びかけを繰り返す。素晴らしいですね。

他に言い方次第、という話の例としてこんな話が出てきます。アメリカで博多料理のお店を出した日本人が、辛子明太子を「たらの卵」と英語で紹介したところ、魚卵を食べる習慣のないアメリカ人たちから、そんなもん食わせんなー、と、大ブーイングだったので、熟考して名前を、スパイシーキャビア、と言い換えたところ、大人気になったとか。

我々は食べ物ではなく、言葉を食べているんだ、という捉え方は示唆に富むものです。

降りしきる雨を見て、だから虹が見れるんだ、と思えるか、人通りもまばらな町という表現を見た時、閑静な住宅街という前向きな言い回しを見つけられるか、そういうポジティブ変換力を搭載できてる人は人生強いですね。

3.感動と企画の関係

「企画とは感動する仕事。あなたが感動していなければ相手も感動しない。」

阿部さんはそう言います。言葉の元である心の種は感動ということですね。それを前提に阿部さん流の企画の基本形が紹介されています。

<企画の基本形>
Step1 :よろしくお願いします。
Step2 :自分はこう思った(経験)
Step3 :自分はこう目をつけた(本質)
Step4 :自分はこうできると思う(企画)
Step5 :自分と仕事しませんか?

個人的にはこの流れは前田さんのメモの魔術の事実→抽象化→プランと同じ流れと思います。大事なのは、経験・事実からその人の感性が何を抽出・抽象化して自分ごとに応用できるかです。

4.表現の技術

自分が発見した感動をもとに、自分なりの視点で解釈し、そこから企画をひねり出したら、それをどう伝えるか、が次に考えなければいけないポイント。そのために安倍氏が考える大事な問いは以下3つ。

・入り口で心を掴まれるか? 
・ストレスなく読み進められるか?
・読み終えた後に感情を味わえるか?

Youtubeで考えるとわかりやすいかもしれませんが、やはりタイトルとサムネイル画像で心が動くか、その後動画を心地よく見れるか、見た後、次も見たいという満足感、刺激が味わえたか、というところは自分の視聴体験を振り返っても同じです。

内容については自分の視点・感性で何をどう切り取るか、がんばりなはれ、と言っておられます。

「ここを知ってほしい!」という部分を自分で見つけ、その魅力を言葉で描いていく。「カメラ」をイメージしよう。あなたは今、カメラを持っている。そしてレンズを覗き込む。どこを写していくか。それは自分で選べる。全部なんてどうがんばったって伝えられない。つまりそれは、自分が見たいもの、伝えたいことを自由に切り取っていいということでもある。何をどう描くかを決めるのはあなたの特権だ。

さらに、高度なテクニックとして、阿部さんが先輩からもらったアドバイスが面白かったので紹介しておきます。

・「ドレスを1枚ずつ脱いでいくように書く」
・「右脳と左脳を交互に刺激する」

映画や舞台の脚本を書く時にストーリー全体を通して観客にどういう感情を持ってもらうかという「感情曲線(↓)」の設計からスタートするという話を聞いたことがありますが、プロになるとここまで意図的に読み手や観客をラストまで誘導できるわけですね。

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安倍さんはこのコピーライティングの企画について次のように述べています。絶景見せられたらカッコいいですね。

文章を読み進めていくのは、トンネルに入り、灯りを頼りにしながら進んで行くのに似ている。出口にどんな感情の景色を用意するか、書くからには絶景でありたい。

5.才能=掛けた時間

最後に僕のような凡人でも勇気が湧いてくる話。

阿部さんは今や数々の広告賞を受賞する売れっ子コピーライターですが、そこに至るまではやはり相当の努力と時間が注がれたと言っています。

コピーライター1年目、精一杯の200本を出して、一次通過はたった3本。コピーライター2年目、がむしゃらの1800本でも届かない。現実は甘くない。厳しくて、大変で、夢中だった。寝食を忘れて打ち込んだ。もうあの頃には戻りたくないけど、手応えを見つけていく時間は喜びに満ちていた。質は、量からしか生まれない。

質は、量からしか生まれない。それを信じてがんばるよ、阿部さん。

気づき・学び

ということで、学びどころが多すぎてまとめが難しいですが、ポイントを自分なりに抽出してみます。

・味の素ワード(僕の場合、面白い、すごい、素敵、キモい)を掘り下げて、自分の感動を正確に表現するように心がけると言葉が豊かになるよ

・ポジティブ変換大喜利を自分の普段の生活に取り入れると、AIに代替されない人間になれそう。 (コロナ→よかった、これで環境破壊少し止められそうだね)

・左脳アプローチだけだとつまんない、右脳アプローチだけだとわかんない、ので、どちらも交互に。全体俯瞰し、感動ポイントはディテールを添えて。

・なんでもいいから、やり続けよう。そのうち道は開ける。

最後に阿部さんの心をつかむとは、の引用で終わりたいと思います。

心をつかむとは、愛と書かずに愛を伝えること。あなたの心に愛が伝わっていることを信じて。さあ、バトンを次につなげよう。あなたの中で活かされてこの本は完成する。


本日のお話は以上です。

明日は経営戦略・事業開発の火曜日。任天堂の岩田社長の話を書こうかなと思います。

マーケティングの月曜日
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それでは今日もよい一日を。

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