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理学療法士が注目する健康づくりとは?

わが国では「国民健康づくり対策」が1978年から数次にわたって展開されています。2024年度からは、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針に基づき、第5次国民健康づくり対策である「21世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21(第三次))」が開始されています。

健康日本21(第三次)では、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」というビジョンとし、その実現のために、①誰一人取り残さない健康づくりの展開(Inclusion)、②より実効性をもつ取組の推進(Implementation)を行うとしています。

私は理学療法士として、身体活動や運動という視点から”健康”に関心を持っております。

今回は、健康日本21(第三次)において理学療法士目線で注目している点についてお伝えします。


基本的な方向

健康日本21(第三次)では、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」というビジョン実現のため

①健康寿命の延伸・健康格差の縮小
②個人の行動と健康状態の改善
③社会環境の質の向上
④ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり

の4つを基本的な方向として示しています。

それぞれの関係性を図で示すと以下のようになります。

健康日本21(第三次)の概念図

注目している点

臨床でリハビリテーションに関わるだけでなく、地域の方々の健康に関わる理学療法士としては、基本的な方向の②個人の行動と健康状態の改善が気になります。

この項目には、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善(リスクファクターの低減)に加え、こうした生活習慣の定着等によるがん、生活習慣病(NCDs:非感染性疾患)の発症予防、合併症の発症や症状の進展等の重症化予防が含まれています。

身体活動・運動について

個人の行動と健康状態の改善の中でも特に、「身体活動・運動」について関心を持っています。

ここで言う「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動きを、「運動」とは、身体活動のうち、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として計画的・意図的に行われるものを指しています。

身体活動・運動の量が多い者は、少ない者と比較して2型糖尿病、循環器病、がん、ロコモティブシンドローム、うつ病、認知症等などの発症・罹患リスクが低いことが報告されています。WHOは、高血圧、喫煙、高血糖に次いで、身体活動不足を全世界の死亡に対する危険因子の第4位と認識し、我が国では、身体活動・運動の不足は喫煙、高血圧に次いで非感染性疾患による死亡の3番目の危険因子であることが示唆されています。身体活動・運動の意義と重要性が広く国民に認知され実践されることは、超高齢社会を迎える我が国の健康寿命の延伸に有用であると考えられます。

目標数値は?

「身体活動・運動」については具体的な目標設定がされています。詳細については次回の記事でお伝えしますね。

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