自動車や公共交通機関に頼りすぎない地域づくりを移動手段から考える【後編】
前編では地域における移動の課題についてまとめました。
公共交通機関やタクシー以外の移動手段として、自転車の可能性についてお伝えします。
自転車は危ない?
リハビリテーション病院で仕事をしていると、「今回を機に自転車に乗るのを諦めます」という方や「家族からもう自転車には乗らないようにと言われた」という方に良く出会います。これまで自転車に乗っていたのに、乗ることを諦めてしまうわけです。
確かに自転車には転倒のリスクが伴います。自転車に乗らなければ転棟する機会は少なくなるかもしれませんが、これまで生活していた範囲が縮小してしまう可能性があります。
三輪自転車は安全?
「二輪の自転車が危険ならば三輪なら大丈夫なのでは?」なんて安易に思っておりました。実際に三輪自転車に乗ってみると、それほど安全ではないということに気づきました。
三輪自転車にはスウィング機構といって、車体前部を左右に傾けることができます。左右に傾けることでカーブを走行することが可能になるのですが、傾きやすいことに慣れるのに時間がかかるかもしれません。スウィング機構を固定して走行すると、カーブの際に車体全体が傾いて転倒する危険性があります。
実は三輪自転車には初めて乗ったのですが、バランスについては、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。ペダルを漕いでいるとハンドル部分に膝がぶつかりやすいといったことも気づきました。
四輪自転車!?
昨年度、WHILLの試乗会を開催しました。
その時にご協力いただいたセリオさんから「四輪自転車を開発したので見てほしい」との連絡をいただきまして、試乗してきました。
三輪自転車との違いは
・座っている姿勢が安定する
・漕いでいるときに膝がハンドル部分にぶつからない
一方で全長が長くなるので小回りが利きにくいというのが課題かもしれません。
今後も開発が進んでいくと思いますが、ペダルを逆回転することで後退できるようになると便利かなぁと思いました。
自転車の可能性
「自転車は危ない」と思ってしまうこともありましたが、自転車駆動に必要な身体機能、認知機能が担保されていれば、必ずしも危ないとは言えないと思います。私たち理学療法士は、対象者が地域に出かける手段を評価、選択することができます。その手段の一つとして、自転車についても考える必要があると思います。
まとめ
自転車は頻繁に乗り換えるものではなく、自転車が好きでなければ自転車の車種による違いを感じる機会も少ないかもしれません。今回、三輪自転車・四輪自転車を体験して感じたのは、自転車の機能は進化しているということです。
地域づくりを考える場合、移動手段の確保は重要な課題になります。私たち理学療法士は、自転車をはじめとした移動手段についての最新状況を把握しておく必要があり、適切な評価を行っていくことが重要なのではないかと考えています。
今後は電動車椅子の体験会だけでなく四輪自転車の体験会も企画していきたいと思います。
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