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匂うだけじゃないアンモニア。アンモニアが重要な話。

アンモニアと聞いてイメージすることはありますか?

臭い!!!

そう思った人は、今回の記事を読んだら少しイメージが変わるかもしれません。

匂いは変わりませんけども…。

このシリーズは書籍「生命の起源はどこまでわかったか」をベースに生命の起源に関わる深海の話や宇宙の話、化学全般を書いている記事です。
今回は書籍から少し離れた内容を書いています。


アンモニアの話をする前に窒素の話をします。

まずは窒素

まず地表付近の大気中に存在する分子構造をご存知でしょうか。水蒸気を除いて最も多い分子は…

78%が窒素(N2)
21%が酸素(O2)
1%が二酸化炭素(CO2)など
で構成されています。

身の回りがほとんど窒素なんですね。


ここで深呼吸。

すーー、はーー。

すーー、はーー。

呼吸をすれば酸素(O2)が体内に取り込まれます。

しかし、窒素(N2)が取り込まれると聞いたことはありません…。


窒素は生き物を構成する重要な要素の一つなのですが、実は空気中から取り入れることができません。

酸素はできるのに…。

これは窒素(N2)が安定しすぎてて体内で分解できないことが理由です。

窒素(N)と窒素(N)のがっちり固定は中々離せないんですね。

ではどうやって窒素を体内に取り入れるのでしょうか。


アンモニアの役割

ここで登場するのがアンモニアです。

大気中の窒素は土壌の中にも染み込んでいきますが、この土壌の中にいる窒素固定細菌という細菌によって窒素はアンモニウムイオン(NH4+)に変化します。

このアンモニウムイオンを取り込むのが植物たちです。
植物はアンモニウムイオンを使って有機物を作り出すのですが、その有機物が生命にも必要不可欠なアミノ酸なんですね。

植物が作り出したアミノ酸を虫や動物が食べます。
食物連鎖が起こり、アミノ酸は生き物を巡ります。

生き物にとって重要な物質である窒素は、アミノ酸という形で体内に取り入れられていたんです。

しかし人間はアミノ酸を食べるということをあまり聞いたことがありません。

どうしてでしょうか?

それはアミノ酸がさらに集まってタンパク質へと合成されるからです。

肉や魚などに豊富に含まれる栄養素、タンパク質。

タンパク質はアミノ酸でできているんですね。


タンパク質の取りすぎ注意

人間の体を構成している要素の約20%はアミノ酸と言われているほど必要不可欠な生体高分子ですが、タンパク質が美味しいからと言ってパクパクパクパク食べていたり、プロテインを大量に摂ったりすると過剰になるのは言うまでもありません。

取りすぎて過剰となったアミノ酸はアミノ基が離脱され再びアンモニアとなります。

アミノ酸はアミノ基と有機酸と呼ばれるもので構成されています。

その後、アンモニアは肝臓で尿素という物質に変換されます。アンモニア自体は有毒ですが、尿素は無毒なんですね。肝臓が頑張って無毒化作業をしてくれるんです。

肝臓、ありがとう。


タンパク質も取ればいいというものではありません。取りすぎは肝臓に負担がかかります。

何でも加減が大事ですね。

多すぎると痛いになります。

尿素は無毒化されると言っても、細菌によって再びアンモニア化されるので排出された尿素をほっとくと匂ってくるのでご注意を。

臭いと痛いのWパンチにならないようお気をつけください。



***
写真:ストックフォト


【参考文献】
大気中濃度
日本地球科学会

タンパク質について
JAXA

アミノ酸について
味の素株式会社

太るって本当?タンパク質のとりすぎによる影響とは
macaroni 食からはじまる、笑顔のある暮らし。

トイレのニオイはアンモニア臭が原因?消臭方法を解説
花王株式会社

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