見出し画像

『今、観るべき映画』

8月は日本人にとって大きな歴史がある月。
「戦争を知らない子供たち」という曲があるけれど、
私は大人だけど知らない。
いや、もちろんどんなことがあったのか、は分かっているつもりだけど、
本当の理解は体験していない以上どこまで行っても足らない。
映画はいろんな視点で描かれていて、それぞれ賛否両論があろうかと思うが、
多角度から見ることができるものだと思っている。

戦争についての映画はたくさんあるけれど、私がその中で
これは何度でも観ておきたい、と思ったものを抜粋しました。
それは、悲惨さを知ることだけではなく、
そこで生きている人たちの想いが描かれたものだから。

『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』
監督:クリント・イーストウッド
主演:
「父親たちの星条旗」ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ
「硫黄島からの手紙」渡辺謙、二宮和也、伊原剛志

クリントイーストウッド監督による二部作。
硫黄島での戦いをアメリカ側から描いたものと日本側から描いたもの。

普通の人である。
それがどちらの映画にも共通して語られていること。軍のために鍛え上げられたのではなく、ついこの間まで普通のごく一般的な生活をしていた人が、戦争に駆り立てられ、この戦地で命をかけた。
戦争の悲惨さむごさ、やるせなさ、戦争を知らない私に語ることはできないけれど、この映画は遠い過去ではないことを教えてくれる。
味方に殺されること、援軍なき中で戦うこと、理不尽しかない世界で命を落としていった多くの人。
命が残った人の苦しみ。
それは、アメリカも日本も変わらない。
悪は人ではなく、戦争である。
こんなにも公平な見地で描かれた戦争の映画が他にあるだろうか。
クリントイーストウッド監督の素晴らしさに感動しました。
これは観るべき映画である、と、改めて思います。

『聯合艦隊司令長官山本五十六―太平洋戦争70年目の真実―』
監督:成島出
主演:役所広司、玉木宏、柄本明
『日本のいちばん長い日』
監督:原田眞人
主演:役所広司、本木雅弘、松坂桃李

「山本五十六」は海軍側、
「日本のいちばん長い日」は陸軍側が主で描かれている。
それぞれの立場だったり、置かれている状況をそれぞれの視点から見ることができる。
開戦と終戦。
開戦を望まず、講和を訴え続けていながら開戦の司令長官となった山本五十六長官。
終戦目前で本土決戦を訴える阿南陸軍大臣の真の目的は。
その先の国、人、世界を見据え、今なすべき最善を尽くす。
それが次の時代を作っていく。
今、平和である日本において、この平和は今の人間が作り出したものではなく、
過去の人たちの血で作られたものである、ということを、自分に繰り返し叩き込みたい。
自分には何ができるのか。多くを見、聞き、知ること、そして自分の考えを持つこと。それは幾つになっても怠ってはいけない。
知力とは何を守るためにあるのか、この映画を通して教えてもらったように思います。
どちらも主演は役所広司さん。ぜひ合わせて観て欲しいです。

「日本のいちばん長い日」これについては別の時に書いたのでそちらのリンクを貼ります。
https://note.com/matoiphoto/n/n4420fc6df35f?magazine_key=m9dba6917728d

最後にアニメから一つ。

『この世界の片隅に』
監督:片渕須直
出演(声):のん、細谷佳正、稲葉菜月

ジブリ映画のような緻密さはない、と最初思いました。
すず役ののんの語り口も、始めはフワッとしてて掴みどころがないな、と感じました。
でも、観るうちに自然に引き込まれていってるのを感じます。
それはとても自然体だったからなのかも知れません。
作り込まず、等身大のすずがそこにはいました。

現代ではありえないような毎日を強いられているのに、
どこまでも前向きで、ひたむきで、工夫をして生きている。
誰かにどう思われるとか、自分はどうしたいとか、
それよりも、今を大切に生きている。
生きることの意味を教えてもらったように思います。

問題提起、することが映画のすべてではない。
私はここに居る。
存在をしている。
生きているんだ、ということを、命というものを、
ごく身近なところで伝えている。
この映画は今のこの時代にも通づるものがある、と感じました。

このどの映画も共通して感じたのは、家族であったり、仲間、友人、部下、といった人との関わり方。
守る力は育まれていくものだと強く思う。
家族のみならず、社会に、過去の人たちに、地球に、宇宙に、私たちは守られている。だから、毎日生きていられるんだ。
自分はいったい何を守れるのか。
それは日々の積み重ねでしかない。
一つの自分の行為が誰かを何かを壊すかも知れないし、守るかも知れない。
一つでも多くのものを守っていけるように、日々を生きていく。
それが自分を守ってくれているものに対する感謝でもある。
そうやって私はこれからも生きていきたいと思う。

これらの映画を見ることで、そういう想いを改めて考えることができる。
だから、8月は必ず自分をリセットする映画を観ようと思う。

*写真は5月に東京の空を彩ってくれたブルーインパルスの写真です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?