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突如現れた稜線が美しすぎた〜金峰山〜

瑞牆山(みずがきやま)にのぼったときから、ずっとのぼりたかった金峰山。5月下旬にようやく念願が叶った。
金峰山は標高2,599mで、山梨県甲府市と長野県川上村の境界に位置している。日本百名山であり、奥秩父の盟主といわれるのがのぼってみるとよくわかる。ちなみに「きんぷさん」と呼んでいるが、長野県では「きんぽうさん」とも呼ばれるそう。
金峰山へは「大弛峠」からだと初心者でものぼれるルートだが、私がのぼりたかったのは体力度4、技術的難易度Cに値する「瑞牆山荘」からのルート。技術的難易度は瑞牆山と同じだが、体力は金峰山の方が必要だ。
久しぶりの2,500m超えの山に気分は高揚した。


ー ルート

出発は瑞牆山と同じ瑞牆山荘前の登山口。
富士見平小屋から瑞牆山と金峰山とで分岐する。

金峰山への登山ルート

ー アクセス

瑞牆山と同じなのでそちらを参照ください。

瑞牆山へは2023年7月初旬の平日にいったが、今回は土曜日。
「この日しか晴れがない」
予定をこねくり回してスケジュールを確保した。
朝3時に新宿方面から車を走らせ、中央道の須玉ICをおり6時に瑞牆山県営無料駐車場に到着。
すると信じらない光景が、、、
そう、満車。正直、ここまで混んでいるとは思っていなかった。
やむなく駐車場脇のスペースに車を停めた。

路上駐車については「山梨峡北交通」のサイトにこう書かれてある。

みずがき山荘停留所付近はバスの旋回場所にもなっていることから、一般車両の駐車は固くお断りいたします。
また、紅葉がピークの週末は登山道入り口駐車場が混雑するため、路肩・路上駐車が増えますが、カーブや道路幅が狭い場所に駐車されますとバスの往来に支障をきたすだけでなく、緊急車両の妨げにもなります。
マイカーでお越しの際は、往来ができる十分なスペースの確保にご協力ください。
当社の「増富温泉峡」停留所には市営の無料駐車場がございます。
こちらに駐車いただき当路線バスをご利用ください。

山梨峡北交通

バスは韮崎瑞牆線という路線があり、2024年4月6日(土)~11月23日(土)の運行カレンダーによると、
「増富温泉峡」から「みずがき山荘」までの始発は平日9:50、土日は8:53となっている。
所要時間は20分ほど。
バスを使って9時に登山開始したとして、今回の山行は8時間を超えたので下山が17時を過ぎてしまう。
帰りのバスの時間も土日で16:30発なので、瑞牆山ならいけそうだが金峰山の日帰りだとバスの利用は難しいと感じる。

路駐は私もできればしたくないし、できる限りするべきではないと思うので、金峰山はいくならシーズンは平日がいいだろう。
ただし、紅葉シーズンはおそらくもっと混むと思うので、平日でも満車になると予想している。

ー 登山スタート

駐車場での気温は8℃。ちょっと肌寒い。
夏仕様のウエアに夏用シェルを着ていざ出発!

瑞牆山荘前の登山口は広い

のぼり始めて25分ほどで瑞牆山がのぞめるスポットに到着。

瑞牆山

約1年ぶりにみてもやはり勇ましい。
歩くとすぐに暑くなりシェルを脱ぎ、手ぬぐいを首に巻く。
夏は手ぬぐいが欠かせない。
このスポットから15分ほどで富士見平小屋に到着。

富士見平小屋のテント場

富士見平小屋ではテント泊が人気。
駐車場から険しくもないし広くて平らで綺麗で、テント泊初心者にもおすすめといわれている。この日もたくさんのテントがすでに張られていた。
私も一度ここにテントを張ってみたい!来年の目標かな。
富士見平小屋は瑞牆山と金峰山への分岐点となる。
ここから先は初めての山行だ!

ー 富士見平小屋から金峰山のてっぺんへ

いざ!金峰山へ

最初は急でもなく、かといって楽でもない、ほどよい感じの山道をあがっていく。

ざれた道が多かった

車が多かったわりに登山道は混んではいない。しかし、前後に誰かが必ずいて安心できた。
瑞牆山が岩岩していたせいか、なんとなく金峰山も勇ましい山と思っていた。もちろん勇ましくもあるが森には苔があふれ、ふと北八ヶ岳を彷彿させる神秘性も感じられた。

青々とした苔が美しい
朝日と森と苔と
光に包まれる倒木

のぼり始めて1時間半くらいは道もそこまでキツくはなく、何せ苔が美しくてあたりの景色に魅了されて進むのは最高の時間だった。
樹林帯は眺望がなく飽きやすいのだけれど、初夏の涼しさと緑のやわらかさは決して飽きることがない。

大日小屋に到着。
ひらけていて気持ちのよいところだったので水分休憩をとった。小屋は少し降ったところにあった。

大日小屋
ひらけた場所

ここまでは余裕のあるのぼりだったが、徐々にキツさの方が増してくる。
全部で3箇所くらいあっただろうか。テンションのあがる鎖場。
のぼりではほぼ使わずとものぼれるが、くだりでは恵の鎖だった。

岩はツルツルしていて滑りやすい
急な岩の道が増える

大日岩まではずっと樹林帯の中を歩き展望がなかったが、ようやく景色を拝めた。

大日岩からの眺め

大日岩も先ほどのような鎖場で、スペースはないので休まず進む。

大日岩という名前だけありとても大きくカメラに収まらない

大日岩からはまた樹林帯に入る。

木のトンネルを抜けたかと思えば
苔むした石の坂をのぼり
木のショータイムを愉しむ
「きついきつい」はずっとは続かず緩急のある長い道だ
完全に見落とす控えめな丸山のてっぺん標識
そして、トドメの岩攻めの先には

てっぺん!を思わせる青い空と看板が。

てっぺんかと思う看板

よくみるとてっぺんどころか「金峰山頂1時間」と書いてある。
「え、まだあと1時間のぼるのか!」
でも、そこには素晴らしい景色が広がっていた。

亀?みたいな岩の先の
岩をさらにのぼると

絶景〜!!
これまで樹林帯でほとんど景色を眺めることがなかっただけに、この感動はたまらない。砂払ノ頭という眺望スポットだ。

砂払ノ頭からの眺め

最高の眺めに、休憩する人も多い。
聞こえてきた会話からは「今日はここをゴールとしよう」という声もあり、確かに理解できる絶景ポイントだった。
しかし、私はここでは終わらない。
岩の先の光景が気になって仕方がないので、休憩はほどほどに岩に向かって歩きはじめた。

砂払ノ頭からは森林限界なのかな
大きな木はない
この岩の先へと進む

岩の先に待っていたのは、、、

金峰山てっぺんまでの稜線

じゃ〜ん!
なんとも感動的な稜線が現れた。
勇ましい聳り立つ崖の先に五丈岩がみえる。
瑞牆山からもみえたあの五丈岩がもう手の届くところまできている。
登山口から3時間歩いてそこそこ疲れていたのをすっかり忘れ、岩をルンルン気分でのぼっていく。

再び鎖場
急だけれど短いので怖くはない
急すぎる岩場

もうストックはしまい、手を使ってガシガシとのぼっていく。
少しだけ、赤岳からの横岳を思い出させる岩のぼりだ。
横岳はもっと怖かったけれど。

振り返ると稜線と八ヶ岳が遠くにみえる

徐々に近づいてくる五丈岩までの道のりには岩しかない。

岩の稜線

この1時間は決して簡単ではなかった。
ずっと急な岩をのぼりつづける。
息はあがり、ちょっと進んでは休む。
蓼科山のてっぺん直下もこんな感じだった。
のぼれどのぼれどなかなかつかない。

大きな岩をひたすらのぼる

ようやく岩をのぼりきると五丈岩は目の前だ。

中央の岩が五丈岩

そしてのぼりはじめて4時間ちょっと。
ついに!

五丈岩に到達!

念願の五丈岩を目の前にした。

五丈岩

右下に人がいるのがわかるだろうか。
本当に大きな岩だった。
五丈岩は御神体。決してのぼってはならない。
重なり合う岩はどうやってできたのか。ここだけ残ったのか。
威風堂々とした姿に魅了される。
五丈岩を背にすると、ゴールのてっぺんが待ちうけていた。

岩の上が金峰山てっぺんの中のてっぺん
最後まで岩づくし

せっかくだから一番上まであがって景色を眺めたい。
「ザックをデポすれば良かった」と思いながら岩の上までのぼっていく。
砂払ノ頭からずっと感動しっぱなしだった景色の集大成がこれだ。

五丈岩と南アルプス
富士山方面は雲
富士山の頭だけみえた
雲と空のグラデーションはまるで絵画だ
歩いてきた稜線を見下ろす
瑞牆山と八ヶ岳

どうしても晴れの日にきたかった。
そして晴れの日にここに立てて、本当に幸せだった。
360度見渡せる景色は圧巻だった。
珍しくてっぺんで記念写真を撮った。

iphoneカメラで記念写真
機種が古いけれど、天気のおかげで綺麗に撮れた

てっぺんのてっぺんは広くはないので、ひと通り写真を撮ったら五丈岩のあたりまでおりた。
感動の中でお昼ご飯にした。
きつい山行だと思ったので、荷物を軽くするためこの日はガスは持たずにお湯とおにぎり、そして珈琲とおやつ。

酸味のある珈琲で疲れたからだにちょうどいい
おやつは定番の無印良品
しかし、行動食が余ってたので結局食べず

30分少々休憩をとり、アミノバイタルを飲んで下山開始!
下山はピストンなので写真は撮らなかった。
と、いうより帰りはきつかったので苔を愛でる余裕がなかった。
特に砂払ノ頭までの岩くだりは体力を消耗した。
ゆっくりゆっくりおりて、2時間50分、富士見平小屋まで戻ってきた。
くだりは長かった。
ここで「スパイスソーダ」(という名前だったと思う)を頼んだ。
手作りジンジャーエールのようなお味で疲れが吹っ飛ぶおいしさだった。

富士見平小屋のスパイスソーダ

テーブルに居合わせた方が声をかけてくださり、ソロで人恋しかった私は食いつくように喋りだした。
テントの数が増えていて美しかった。
金峰山も瑞牆山もどちらもまたのぼりたい。
紅葉シーズンは混むだろうが一度は訪れてみたいと思った。

30分ほど休憩したのち、30分ほどで駐車場に戻ってきた。
疲れはしたが膝痛はない。
川苔山より距離も累積標高も少ないが、金峰山の方が疲労感はずっとある。
やはり2,500mを超える山は簡単にはのぼらせてくれない。
でもその分、ご褒美はまた格別だった。
夏山シーズン到来!
これから八ヶ岳、アルプス、体調を整えてどんどんいくぞ!


距離:11km
累積標高(のぼり/くだり):1197m/1197m
タイム:8時間32分(休憩1時間含む)



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