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初めての車中泊!霧と風に翻弄される〜編笠山〜

八ヶ岳は梅雨がいい!
整備されすぎていないというか、いや、整備はされていても自然のまま残っている印象がある八ヶ岳は大好き。
そして、八ヶ岳の苔はやはり別格なのではないかと思うほどに美しい。
そんな苔が潤う季節はやはり梅雨。

編笠山は山梨県北杜市と長野県諏訪郡にまたがり、八ヶ岳の最南端に位置する標高2524mの山だ。山容が編笠を伏せたようにみえることからその名がついたといわれている。
てっぺんからは蓼科山までの八ヶ岳が見わたせ、南アルプスも間近に感じられる。

7月上旬、今回は久しぶりにソロではなく友人との山行。
待ち合わせていくと山のぼりの開始が9時ごろで、標準タイムは6時間ほどなためそれでも可能かなとは思ったが、駐車場が駐められなかったときのことも考え今回は初の車中泊に挑戦した。
車中泊はひとりだと怖いと思っていたので、ちょうどいい機会だった。


ー ルート

編笠山は権現岳と合わせて周回ルートでのぼる人も多いが、累積標高が1470m、標準タイムも8時間半のため日帰りで行けるか微妙なライン。
今回は久しぶりの山のぼりとなる友人と一緒なので、無理はせずに編笠山のみを選択。
観音平を起点とし途中から周回となる一般的なルートで向かった。

編笠山登山ルート
青年小屋で宿泊して権現岳まで行くこともできる
オレンジのラインは今回通っていない道

ー アクセス

車の場合:中央自動車道小淵沢ICから観音平無料駐車場(50台)までは15分ほど。 仮設トイレ、登山ポストあり。
行きは夜だったので暗くてわからなかったが、走りやすくICからも近いのでアクセスはいいと感じた。
電車の場合:JR中央本線小淵沢駅からタクシーで観音平登山口へ(約20分)

ー 車中泊デビュー

車中泊のために準備したのは
・遮光用の全面サンシェード
・車のシートの上に敷くマット(クローズドセルを使用)
・寝袋や枕(これは持っていたので新たに用意はしていない)
・灯りはヘッドライトを利用
のみ。
観音平登山口は観音平の駐車場内にあり標高は1560mなので、暑くはないだろうと思ったがむしろ寒さが心配だったのでダウンジャケットやブランケットをいくつか用意した。

夜中の0時過ぎに駐車場に到着。
真っ暗な道はやはりひとりだと怖いと思うが、二人だったので怖さもあまりなかった。しかし、予想に反して駐車場には1台も駐まっておらず、どこまでバックできるかわからず真ん中の枠内に駐車した。
仮設トイレはあったが、夜中に行く勇気は出ない。

まずはエンジンを切り、ヘッドランプをつけて遮光をする。
暗いから遮光できているのかどうかもわからない。
マットを敷き、寝る準備は万端だ。
途中のコンビニで小さなシャンパンとチーズを購入し、車内で初車中泊を祝って乾杯した。
なんとも言えない幸福感に包まれる。
語り明かしたくなる気分だったが、それで夜を明かしてしまったら元も子もないので、早々に横になった。

寝袋は友人に使ってもらい、私は寒くなかったのでブランケットをかけて眠りについた。途中何度か目が覚めた。
クローズドシェルだけだとやはりしばらく寝ると痛い。
2枚敷きかエアマットが必要かな。
明け方は寒くなり軽めのフリースを着てダウンをかけて寝直した。

6時、目覚まし前に目が覚める。
外を見たら車は2台くらいしか駐まっていなく、その後少しずつ増えたけれど結局10台くらいだった。駐車場の心配はまったく必要なかったけれど、車中泊の経験ができたのは大いなる収穫!
トイレは仮設トイレで和式1つと洋式2つが設置されてある。トイレットペーパーもありとてもきれいなトイレだった。

仮設トイレ
観音平駐車場

車中泊をすると、脳とからだが目覚めるのに少し時間が必要だ。
することは着替えとトイレとメイクくらい。
大してすることもないのにやたらと時間がかかる。
そうして7時、いよいよ頭も冴えてきたので山のぼり開始だ!!

ー のぼり開始

観音平の登山口は駐車場の中にある。

観音平登山口

この森に入っていく瞬間が私は大好き。
「さあ、はじまる」というワクワク感とドキドキ感で気分が高揚する。
7時10分、のぼり開始。
笹に囲まれた道をゆるやかにスタート。

笹に囲まれた道

徐々にのぼり始めるが大きな変化はなく、なだらかだったりちょっとのぼりだったりが1時間ほど続く。
お天気は曇り。
湿度が高くムシムシして暑いものの、樹林帯でも風が吹き心地良かった。

のぼってはなだらかに、を繰り返す
岩の間をすり抜けて

のぼり始めて1時間弱、雲海という名のベンチに到着。
開けてはいたが曇っていて何も見えなかった。
ここで小休憩。

雲海
最初のベンチ

雲海をこえて少し進むと笹がなくなり、八ヶ岳らしい岩と苔の道が現れた。
前日の雨のおかげで木々も苔も岩も潤いみずみずしい。

苔と岩が潤っている

雲海から30分ほどで次のベンチがあった。ここは休まず進みさらに15分ほどで押手川に到着。

二つの目のベンチ
一つ目のベンチ(雲海)から30分ほど
押手川

小さな川が流れていて、ちょっとしたオアシスのよう。
押手川とは

その昔、ここを訪れた登山者が水を求めて手で苔を押し探したところ、コンコンと清浄冷水が湧きでたことから、押手川と言われた

と、看板に書いてあった。
ちなみに標識の押手川展望台は帰りに探したのだが道が見つけられず辿り着けなかった。

小さな川に癒される
押手川について書かれた看板

押手川から先は手で掴んでのぼるような大きな岩が多くなった。
とにかく雨に潤う苔が美しくて美しくて、写真を撮る手が止まらずなかなか前に進まない。
そういえば、山に入って人には一人しか会っていない。
6月の平日だと少ないのかな。

潤った苔祭り
霧が幻想的

全体的にのぼったりなだらかだったりを繰り返すが、最後の30~40分くらいはなかなか堪えるのぼりだった。
それでもいろいろなお花が咲いていて癒される。

ゴゼンタチバナ(Google調べ)
コケモモ(Google調べ)
ツマトリソウ(Google調べ)

こんなに咲いているとマクロレンズを持っていきたくなる。
そして励ましの看板はとっても嬉しい。

青年小屋の励まし看板
名前がわからない。いちごの種類なのかなあ。
ミヤマニガイチゴ(Google調べ)

それにしても便利な世の中だなあ。写真を撮ったら名前がわかるって素晴らしい。
そしてついに!てっぺんに違いない景色が到来!

てっぺん間近

しかし、見渡すと、、、

真っ白

そしてついに!

編笠山てっぺん到着!

のぼり始めて3時間、ものの見事に真っ白なてっぺんに到着!
そして信じられないくらいの強風。
これは、昨年の赤岳を思い出す。あの時は雨が降っていたから今回は雨でない分マシだけど、なかなか寒いし、なんといっても同じ二人で八ヶ岳。
歩けないほどの強風に腰を落として前に進む。
そんな姿を友人がスマホに収めてくれた。

強風に負けじと進む私

予報ではこの時間は晴れているはずだったのだけど、、、
山あるあるだな。
すると次の瞬間、

きた〜!!富士山
八ヶ岳は雲の中
南アルプス方面
真ん中は北岳かなあ??(わからない)
夏山になった富士山は男前!

本当にこの一瞬だけだった。あっという間に山は雲に覆われた。
一瞬でも景色を拝め大喜びで強風の中シャッターを切る。
もはや押すだけで精一杯。
からだを回しながら機械のようにカシャカシャ撮る。
天は「はい、ショーはおしまい」とばかりに山を雲が飲み込んでいった。

てっぺんは広く岩だらけだが休憩はしやすい。
しかし、あまりの強風にからだも冷え、おなかは空いていたが30分ほど景色を堪能してすぐ下山を決めた。

ー 下山へ

下山は青年小屋方面へ下る一部周回ルート。
最初は道が狭くなかなか険しい下りだった。

下りの最初は狭くて険しい

てっぺんから10分ほど下ると開けた場所に出る。
風も防げたのでここでお昼にすることとした。
お昼は定番のカップラーメン!
目の前には青年小屋が見えるが山の上の方はガスで見えない。

下の青い屋根が青年小屋

カップラーメンが食べ頃になったころ、、、

権現岳の後ろに見えるのは、、、

うっすらとてっぺんが見えた!手前は権現岳よね。
するとその後ろにうっすら見えるのは、、、
赤岳?赤岳よね??
愛しの赤岳。
いや、違うんじゃない?
阿弥陀岳?
いや赤岳でしょ。
この押し問答を繰り広げながらとにかく撮る。
結局その時は結論でず。
帰宅後Googleアースとにらめっこした結果、やはり赤岳であろうと結論。
(違っていたらご指摘ください)
さらに!

左端に見えるのが蓼科山

なんか晴れてきた!
左の方に蓼科山が見える。
「今ならてっぺんで八ヶ岳見えるんじゃない?」
といったものの10分くだってしまったので、私たちにはのぼり返す余力がなかった。
たった下り10分でものぼり返しが結構長いことを知っている。

もしかして車中泊でなく普通にきてたら見えた?

カップラーメンをすすりながらそんなことを考える。
1時間ほど休憩をし、広がりつつある青空を背に
青年小屋へと下っていった。
この休憩場所から青年小屋までの岩がなかなかのヘビー級。
八ヶ岳あるあるだなと思った。
でも距離が短いのでなんとか下り終えトイレ休憩。

青年小屋までの岩はなかなかヘビー
青年小屋
トイレはまだちょっとワイルドな状態だった

この先はきっとおだやかであろうと信じいざ!
しばらくは岩もやはり多かった。

やはり岩はなくならない

それ以上に潤っている苔が木漏れ日に照らされ、前半とはまた違う神々しさを感じさせた。

潤っている苔が神々しい
隠れ鹿、よね

そしてふと開けた場所から

青空

見なかったことにしたいような濃い青が突き刺さってくる。
私たちは決して後ろをふり返らなかった。
木漏れ日苔パラダイスは、下山の足をも止める。

何度みても美しい岩の苔

雲海の分岐まで戻り、当初はそこから周回コースに行く予定だったが、向かおうとした道が鬱蒼としていて狭くあまり人が通っていないような印象だったので、そのまま同じ道をピストンで降りることにした。

雲海からは笹の道になる。
笹の道も行きとは違う表情を見せてくれて別の感動があった。

笹の道

写真を撮っている時間も休憩に含まれYAMAPの結果をみたらなんと、休憩時間が2時間18分になっていた。
友人と一緒だとこうも愉しいのか。
改めてそう感じる山行だった。

編笠山は比較的のぼりやすく、累積標高も距離も短いので初心者にもお勧めできると思う。
しかし、八ヶ岳は岩が多く標高差以上の疲労感はあると思う。
今度は権現岳との周回ルートで来たいなあ。
てっぺんからの景色もまだおあずけだし。

不満だった?

とんでもない!
初めての車中泊、幻想的で潤いたっぷりの苔の森、飛ばされそうな強風、時折ご褒美のように見せてくれる絶景、そして友人との愉しい時間。
この日を選んで本当に良かったと思う。
やっぱり八ヶ岳は大好きだ。


距離:7.6km
累積標高(のぼり/くだり):981 / 978 m
タイム:8時間9分(休憩2時間18分含む)



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