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宇宙天気予報

 こんばんは。今日も一日お疲れ様です。陽が沈むのが一段と早くなり、寒くなったせいか冬の訪れを感じる今日この頃です。街ではイルミネーションも始まりいつの間にか冬の様子になっています。スキー・スノボ、温泉、お鍋、炬燵など冬を感じる物事は人それぞれですが、忘れてはいけないのが天体観測です。冬は暗くなるのが早く長い時間夜空を見ることができるのに加えて、湿度が低く、空気が乾燥しているため他の季節よりも星がくっきりと見えるために天体観測に最適の季節となっています。そんな今回はあまり聞きなれない「宇宙天気」についてのお勉強。


宇宙天気と宇宙天気予報

 あまり聞きなれない「宇宙天気」という言葉は日本地球惑星科学連合編「地球・惑星・生命」によれば、気象現象を表す天気になぞらえ、地球を取り巻く宇宙空間の状態を指しており、宇宙天気現象とも表現されることがある。そしてこれらの宇宙天気の観測、予報、警報を行うことを宇宙天気予報という。宇宙天気の現象は主に太陽を起源としており、地上や人工衛星からの観測や、宇宙空間上の物質を人工衛星で直接観察をして行っている。

宇宙天気が社会に与える影響

 この宇宙天気は一体どのような影響を地球にもたらすかというと、太陽フレアが発生した場合、太陽から発せられた紫外線やX線などの電磁波は約8分で地球に到着し「デリンジャー現象」とよばれる電波障害を引き起こす。そして太陽フレア発生から約30分~2日後に大きい電子、陽子、イオンなどが地球に到達する「プロトン現象」が発生し人工衛星の誤作動や宇宙飛行士の被ばくを引き起こす可能性がある。さらに、高密度の電気を帯びた気体が放出される「コロナ質量放出」が太陽フレア発生の2~3日後に地球に到達し通信や放送が影響を受けたり、衛星測位の精度が劣化するといったことが起こる。コロナ質量放出の到達は大規模なオーロラが発生し広い範囲で観測することもできる。

これまでの宇宙天気による災害

 観測史上最大の宇宙天気現象としては1859年9月に発生したきゃリントンイベントがある。大規模な太陽フレア(X45クラス)によって世界中の電信網が8時間以上使用不能になった。また赤道に近いキューバでもオーロラが観測され、日本においても博多でオーロラが見られた。宇宙天気による災害は近年も繰り返し発生し今後も地球に何らかの影響をもたらすことが予測されている。
過去の災害(クラスは地球上空の衛星で観測される太陽フレア。X10はX1の十倍)
1989年(X4クラス)カナダで約600万人に影響する大規模停電。
2000年(X5クラス)観測衛星「あすか」が制御不能により喪失。
2003年(X13クラス)スウェーデンで約5万人に影響する停電、観測衛星「みどり2号」通信が途絶。
2012年(クラス不明)キャリントンイベントを超える規模のコロナ放出。発生方向が地球とは異なる方向だったため影響なし。
2017年(X9クラス)日本でカーナビなどの衛星測位の劣化。南米で航空機との通信が90分途絶。
科学技術への依存が年々増している現在ではキャリントンイベントと同じ規模の宇宙天気現象が起きた際には、より広範囲に混乱が生じると推測され、日本だけで5.7兆~7.3兆円の経済的損失が出ると予想されている。

おわりに

 アメリカやイギリスでは宇宙天気現象による災害に対して国全体で対策が進められている。国連による国際的協調姿勢も整えられてきているので、日本においても、太陽活動のピークが予測される2025年を控えた今、これまで以上の積極的な姿勢による宇宙天気に関する防災対策が必要とされる。宇宙フレアの影響により日本でもオーロラが観測できるとなれば天体観測好きやそうでない人も夜空を一堂に見上げることとなるだろう。もしそれが今ぐらいの時期だった場合には寒さ対策をしっかりと。そして最近では熊による被害も増えているので山に行く際には熊にも注意しましょう。


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