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夜更かしと早起き:どっちがパフォーマンスに悪影響?

睡眠は健康に大切です。趣味でやっている人なら、仕事の都合や家族の用事などで、早起きしたり、夜更かししたりして練習時間を作ることもあるでしょう。ハイレベルな競技者ですと、時差や移動などにより、理想的な睡眠サイクルが作れないときがあります。さて、夜更かしと早起き、どちらがパフォーマンスに悪影響があるでしょうか?

睡眠サイクルが乱れると

無理な夜更かしや無理な早起きをすると、睡眠のサイクルが乱れます。睡眠のサイクルはメラトニンというホルモンを脳の松果体から分泌することで作られるのですが、夜更かしや無理な早起きはこのサイクルを壊してしまうのです。結果として、ダルくなったり、ボンヤリしたりしてパフォーマンスも低下します(Davenne, 2009)。

早起きと夜更かし

睡眠サイクルが乱れるのは良くないと、誰もが体感としてわかります。では、夜更かしと早起き、どちらがパフォーマンスに悪影響があるのでしょうか?Souissiたちは、12人のハイレベルな柔道家を対象に調べました。

実験では、4 時間夜更かしするか、逆に4時間早起きするかの効果を比較しました。それにあたり、通常の睡眠(22:00から6:00)、夜更かし(3:00から6:00)早起き(22:00から2:00)の3条件全てに全員が参加しました。

単に寝るだけではなく、午前と午後にトレーニングを行い前後でのパフォーマンスを比較しました。2部練をしたわけですね。実験では、疲労感、握力、筋出力、筋持久力などが調べられました。なお、トレーニングでは、打ち込みや投げ込み、そして、練習試合が行われました。通常の練習とよく似ています。

(習慣ではない)早起きが良くない

パフォーマンスは、ほとんどの測定項目で基本的に同じパターンを示し、夜更かしでも、早起きでも、午前中には差がありませんでした。しかし、午後になると、早起きをした条件で、練習後にパフォーマンスが悪化しました。疲労感の結果を以下に示します。疲労感は6(ほんとに少し疲れている)から20(死ぬほど疲れている)までの15段階で評定されました。早起きした時、午後に疲れがマックスに出てますね。

普段とは違うスケジュールで早起きをすると、睡眠のサイクルへの悪影響が大きくなります。寝入る時間は同じなのに、起きる時間が異なると、体が準備ができておらず、悪影響が大きくなるようです。なお、今回の結果は、ガチな柔道家だけでなく、普通にスポーツを楽しむ人たちにも当てはまるそうです(同じ結果が出ています、Souissi, 2008)。また、習慣的に早起きなのは、このデータと関係ありませんので、誤解なきよう。たまの早起きが良くないんですね。

慣れない早起きをすると、午前中までは気合いでなんとかなる、あるいは、体力が持つのですが、午後になると流石にガス欠になるようです。午後に試合や練習があるときは、早起きし過ぎないようにしたいですね。

引用文献

・Davenne, D. (2009). Sleep of athletes–problems and possible solutions. Biological Rhythm Research, 40(1), 45-52.
・Souissi, N., Chtourou, H., Aloui, A., Hammouda, O., Dogui, M., Chaouachi, A., & Chamari, K. (2013). Effects of time-of-day and partial sleep deprivation on short-term maximal performances of judo competitors. The Journal of Strength & Conditioning Research, 27(9), 2473-2480.
・Souissi, N., Souissi, M., Souissi, H., Chamari, K., Tabka, Z., Dogui, M., & Davenne, D. (2008). Effect of time of day and partial sleep deprivation on short‐term, high‐power output. Chronobiology international, 25(6), 1062-1076.

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