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腰痛は柔術の友達

私ごとではありますが、腰痛で最近少し練習を休みました。いわゆるぎっくり腰です。腰痛は、柔術をやるやらないにかかわらず誰もが経験するものです。ただ、柔術をやっているひとだと腰痛の程度が重いようです。

競技志向と趣味志向の違い

ブラジルのリオデジャネイロで行った調査によると選手志向の人達で88.90%、趣味志向の人達で72.20%に慢性の腰痛がありました(Reis et al. 2015)。柔術をやっているほとんどの人は、いつも腰が痛いわけです

それでもやはり競技志向のひとで、趣味志向のひとより痛みが強いようです。いろいろな状況(寝るとき、重いものをもつ、歩く、しゃがむ、立ち上がる)の痛みを尋ね100満点で点数化したところ、競技志向で中央値が10点、趣味志向で6点となりました。10点以上から医学的な対処が検討されるレベルなので(Ostelo et al., 2008)、競技志向の人は気をつけた方がよいのでしょう。

なお、経験年数、練習頻度、習熟度、年齢などを比較したところ、経験年数だけが競技志向と趣味志向の人たちで違っていました。当然、競技志向の人たちで長い。また、腰痛の起こりやすさにも、経験年数だけが影響をしていました。やっぱり長くやっていると腰痛とは友達にならざるを得ないのでしょう。

なぜ腰痛になるのか?

腰痛あり88.90%という値は、同じ組技であるレスリング(59%)よりもかなり高くなっています。この理由として年齢が高いこと、それに伴って経験年数が長いことが挙げられます。さらに、この調査を行ったReisは、足で相手の攻撃を防御するガードという柔術独特の攻防が腰に大きな負担を与える可能性を指摘しました。レスリングにガード・ポジションはないですね。確かにオープンガードは腰に悪そうです。

わたしの場合

私はそれほどひどい腰痛に悩まされているわけではありませんが、たまに強く痛む日があります。また、1年に1回くらい軽めのギックリ腰になります。普段からストレッチやフォームローラーで身体をほぐしているのですが、腰痛からおさらばというわけにはいきません。整体、マッサージ、針などに定期的に通っている柔術家も多いですね。私も痛みがヒドイと腱引きの施術を受けることがあります。腰痛が柔術の友達なら付き合っていくしかありません

とはいえ、ここで特定の腰痛ケアをお勧めすることはせず、専門家(医師)にご相談することをお勧めします(注1)。ケアには合う、合わないもあります。また、腰痛には内臓疾患から来るものもあります。素人判断はマズいし、怖いですね。

引用文献

・Ostelo, R. W., Deyo, R. A., Stratford, P., Waddell, G., Croft, P., Von Korff, M., ... & Henrica, C. (2008). Interpreting change scores for pain and functional status in low back pain: towards international consensus regarding minimal important change. Spine, 33(1), 90-94.

・Reis, F. J., Dias, M. D., Newlands, F., Meziat-Filho, N., & Macedo, A. R. (2015). Chronic low back pain and disability in Brazilian jiu-jitsu athletes. Physical Therapy in Sport, 16(4), 340-343.

(注1)格闘技に詳しい整形外科の先生が良いです。柔道やレスリングの選手を診てるところだと、いろいろ話が早いです。僕は同級生(年寄りとリハビリ中心の整形外科)から良いところを紹介してもらいました。

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