見出し画像

テクニックを使う練習2:バッドスポット元立ちスパーともう一つ

前回のnoteでスパーになると「頭が真っ白になる」、「力任せになってしまう」、「習ったテクニックが使えない」という初心者の方あるあるについて書きました。

原因を考える

これらの初心者あるあるの原因は、3つくらいにまとめられると思います。

1. 不慣れからくる緊張と恐怖
2. 知識不足
3. 体力不足

これらを上手く解決すると、練習でテクニックを使う楽しさを感じられるようになるでしょう。

私は出張が多いので、出張先でいろいろな道場に出稽古に行きました。そこで経験した参考になりそうな練習をいくつかご紹介します。今回は、初心者の方にもやりやすいバッドスポット元立ちスパー限定ディフェンス付き打ち込みを紹介します(名前は私が勝手につけました)。

バッドスポット元立ちスパー

これは沖縄の那覇にある若柔術でアンドレ・ガバオンの黒帯、若山達也先生が指導していたものです。

このスパーは、バックやマウントなど有利、不利が明確なポジション(バッドスポット)からスタートします。では、バックポジションを例に解説します。

1. はじめに3–4人でグループをつくり、帯順(実力順)に並びます。わかりやすく、茶帯、紫帯、青帯、白帯の4人にしましょう。
2. 1番上の帯である茶帯の人がマットに座り、次の帯である紫帯の人がバックポジションをとります。
3. 時間は基本1分。茶帯の人はディフェンス、紫帯の人はオフェンスをします。茶帯が1分間防ぎきれば茶帯の勝ち、一方、タップをすれば紫帯の勝ちとなり、その時点でターンが終わります。
4. 次のターンで、茶帯の人は残ります。前のターンの勝敗は関係ありません。ただし、バックポジションを取るのは青帯(次の順序のひと)に交代です。
5. このターンでも茶帯の人はディフェンス、青帯の人はオフェンスをします。1分間という時間制限、勝敗のルールも同じです。これを白帯のひとが攻撃する3ターンまで続けます。

この練習方法なら、普段のスパーリングでは攻撃をできない白帯でも攻撃の練習ができます。しかも、白帯の順番になると、ディフェンスをずっと続けてきた上の帯の人は疲れているので、そこそこ良い攻防になります。1つ、2つ上の帯くらいですと、タップを奪うことができます。たとえ、制限付きでもうまく技をかけられると、それはそれはうれしいものです。テクニックを使う成功体験となります。

3–4人1組でやるので、いろいろアドバイスをもらいながら練習ができるのもメリットです。アドバイスを聞いていれば必然的にテクニカルになります。また、仲間でわいわい言いながらやると、ゲーム感覚で楽しく進められます。緊張もしづらいですね。

オフェンスから入るので、初心者でも恐怖をほとんど感じません。受ける相手もうまいので怪我をさせることもありません。最初から楽なポジションにいるので、体力もそれほど要りません。

技を受ける上級者にもメリットがあります。普段のクラスではスパーリングで、上級者が疲れ果て、追い込まれた状態で攻撃を受けることは稀です。だからこそ、上級者はわざわざ選手連などを行います。なので、追い込まれた状況を作ると良い練習になります

欠点もある

この練習の欠点なのですが、全員にディフェンス役が回るまでかなり時間がかかります。4人ですと、なんだかんだで30分近くになります。あと、見ているだけの時間が長いのもデメリットです。上の帯にはディフェンスの、下の帯にはディフェンスの練習と割り切って2まわりくらいやるのが良いかもしれません。それだと15分くらいです。

限定ディフェンス付き打ち込み

もうひとつは韓国のソウルにあるUrban Jiu jitsu に出稽古でお邪魔したとき、初心者クラスで実施されていたものです。

この練習では、その日に習ったテクニックについて、技の受け手が限定のディフェンスを行います。例えばスイープを習ったならば、技の受け手は(上側は)、耐えるだけ、パスガードは禁止という条件つきでディフェンスをします。パスガードを習ったならば、手のフレームは使わないで足だけでディフェンスと条件をつけます。また、50%くらいの力を使うなど、力の入れかたも具体的に指示をします。30秒から1分で上下を交代し、その間にテクニックが決まったら(例えば、スイープで上下交代したら)リセットになります(最初のポジションに戻ります)。相手の組み合わせを変えて行うと、いろいろな発見もあり、上級者にとってもテクニックを洗練する良い機会になります。

どこが良いのか?
ディフェンスを突破して技を掛けることになるので、手軽にテクニックを使う楽しさ感じられます。その日に習ったテクニックを、制限をかけて試すだけなら、予測がつくので緊張も恐怖感もそれほどありません。習ったばかりのことなら知識不足の影響も小さい。テクニックが決まったら一旦リセットになるので、体力もそれほど使いません。ポイントを絞ると良い部分も悪い部分も見えやすいので、テクニック面での指導もしやすいようでした。

初心者の人は何をすべきかわからないのがなかなか苦痛のようです。他のメンバーに迷惑をかけていないか気になるという話も聞きます。迷惑なんて大抵はまるで感じません。でも、初心者の方がそういう気持ちになることもわかります。これらの遠慮や気遣いからくる不安も、制限を設けやることを明確にすると低減されます。

このように制限をうまく利用すると、緊張や恐怖感を減らし、知識や体力を補いながらテクニックを使う楽しさを経験することができると思います。

練習方法は他にもあるのですが来週につづきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?