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白帯あるある「頭が真っ白になってしまいます」

「スパーリングになると頭が真っ白になってしまう」という話を白帯の方からたまに聞きます。それに対応するための練習法を以前のnoteで取り上げました。

このnoteでは「頭が真っ白になる」ことそのものには、あまり触れていなかったので、今回はそのへんを書いてみたいと思います。

頭が真っ白になる要因

頭が真っ白になる要因はいくつかあります。まず一つが疲労です。これは体力がつけば(そしてコンディションを整えて練習に臨めば)解決します。

もうひとつは緊張です。スパーリングは実戦形式の練習です。初心者の方ですと怖いと感じ、かなり緊張するかもしれません。慣れない場面では緊張するものです。例えば、初めての試合などですと、かなり緊張して体が満足に動かないということがよくあります。初心者で、元々不安が高い場合は、スパーリングでも公式の試合同様に緊張するかもしれません。なにしろ関節を極められそうになったり、首を絞められたりするのですから(もちろんタップをすれば相手はすぐにやめてくれるのですが)。

初めての試合では、「大丈夫」とか「リラックして」とか「いつも通りに」とかいわれても、頭が真っ白で、顔は真っ赤(あるいは顔面蒼白)なんてことは良くあります。同じように、指導者や先輩からの声がけにもかかわらず、スパーリングで緊張が取れない初心者の方がいても不思議ではありません。

緊張そのものは悪いものではない

私たちのパフォーマンスは、ほどほどの緊張のときに最適になります。実際、パフォーマンスは、下の図のように緊張が低くても、高くても下がってしまいます。つまり、緊張はある程度高い方が良いのです。この関係をヤーキス・ドットソンの法則と言います(Yerkes & Dodson, 1908)。ちょうど下の図のように、パフォーマンスの出来は、緊張によって山型に変化します。実際、ぼんやりしていると、パフォーマンスは上がりませんし、緊張しすぎていてもダメですよね。ですから、緊張それ自体は悪いわけではありません。

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人間を含め動物は、目の前にあるストレスを不快に思い、早めに取り除きたいと思います。実際、多くの場合、ストレスは早く取り除いたほうが良い。ですから、私たちは、ストレスがあると、緊張を高め、最適なパフォーマンスで除去しようとするのです

頭が真っ白な状態とは

頭が真っ白になるという高い緊張を過覚醒や覚醒亢進を呼びます。これは、パフォーマンスを高めるための調整が上手く行かず、ちょっと高め過ぎた状態と考えられます。上の図で言えば、右端のあたりになります。過覚醒はストレス高まると自然に生じ、ほとんどの場合、時間が経てば勝手に元に戻ります。また、慣れと共に調整が上手くできるようになり、程良い緊張を保てるようになります。

ひとによって慣れるまでの時間は異なりますが、時間が解決すると思って気長に取り組むと良いのではないでしょうか。ブラジリアン柔術は歳をとっても楽しめる格闘技ですから時間はたくさんあります。

引用文献

・Yerkes, R. M., & Dodson, J. D. (1908). The relation of strength of stimulus to rapidity of habit-formation. Journal of Comparative Neurology and Psychology. 18 (5): 459–482.

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