ストライプってなに?その意義
ブラジリアン柔術は最も黒帯が取得しにくい格闘技と言われることもあります。ブラジリアン柔術の帯は習熟度に応じ、白、青、紫、茶、黒と進みます。それぞれの帯で2−3年過ごすのが典型的なので、黒帯になるまでたいてい10年以上かかります。
ストライプはモチベーションを維持する
各帯で2-3年がかかると、人によってはモチベーションを維持しづらいでしょう。特に最初の1–2年は自分の基準を持ちづらいので、わかりやすい上達の証があると助けになり、モチベーションを維持しやすくなります。
そこで役に立つのがストライプです。白から茶までの各帯では、習熟度に応じ4段階が設定されます。その段階を帯に白いテープを巻いて表します。一番上に示した写真はストライプ一本の白帯です。ブラジリアン柔術に独特の帯についたタグ(黒い布の部分)に白いテープが何本か並び、縞模様になるのでストライプと呼ばれます。ストライプが4本並ぶと、その次は帯色が変わります。
白から茶までのそれぞれの帯に2–3年がかかるとすると、1年のうちに1–2回、ストライプをもらう機会があると考えられます(各帯で4段階あり、それぞれがストライプ1本に対応します)。数ヶ月にいっぺん、上達を客観的に確認できるとモチベーションの維持には効果的でしょう。
小さな目標とモチベーションの維持
小さな目標を持つことでモチベーション維持され、かつ、実力がつくことが、古典的な実験から知られています。Bandura,とSchunkは算数が苦手な子供にとって効果的な学習法とモチベーションの維持についてしらべました(Bandura & Schunk, 1981)。そして、子供たちに勉強をしてもらうとき頑張れば1日でできる範囲を6ページと見極めた上で「1日6ページやろう!」という小さな目標を指示して、7日間勉強をしてもらいました。また、同じだけの勉強量ですが、「7日間で42ページやろう!」という大きな目標を指示した子供達、目標を指示せず教材だけ与えた子供たち、何もしなかった子供たち、と4種類の条件を設定しその後の成績を比較しました。
学力の向上は、「1日6ページ」という小さな目標を指示した子供たちで一番大きくなりました。具体的には、100点満点で10点の成績が、80点を超えました。大きな目標を指示した子供、特に目標を指示しなかった子供でも、10点から40点くらいと成績は上がったのですが、成績の伸びは小さな目標の子供たちに及びませんでした。特に何もしなかった子の成績は変わらなかったので、それよりは良いのですが、せっかくなら効率的な方がよいですね。
小さな目標を支持された子供は、単に成績が上がっただけでなく、勉強に取り組む時間が増えたり、自分に自信ついたりと他にも良い影響があり、しかもそれが、その後も維持されました。
大人だともう少し大きな目標を立てることもできますが、年単位ではやはり難しい。最初にも書きましたが、初心者のうちはその傾向が顕著です。ストライプは小さな目標を立て、それをクリアする成功体験の獲得を上手くシステム化したものなのです。こういうシステムがあると、続けやすいし、上達しやすいですね。子供から大人まで性別を問わず柔術を楽しめるのは、こういうシステムがあるおかげだと思います。
引用文献
・Bandura, A., & Schunk, D. H. (1981). Cultivating competence, self-efficacy, and intrinsic interest through proximal self-motivation. Journal of personality and social psychology, 41(3), 586.
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