見出し画像

運動能力の衰えは何歳から?

日本の柔術道場で一番多い年齢層は30–40歳です。けっして若くはありません。歳を取ると体の動きは衰えると言います。さて、何歳くらいからそれが始まり、どのくらい衰えるのでしょうか?

世界記録で比べてみよう。

世界マスターズ選手権(World Masters Athletics)では、年齢別の陸上競技の世界大会をやっています。その記録を以下のwebサイトで見てみました。

https://world-masters-athletics.com/records/

だいたいどの競技も、年齢による変化に似た傾向がありました。典型な例として100 m走を取り上げてみます。

画像1

上の図に35歳から105歳までの世界記録を載せました(注1)。80歳くらいまで徐々に遅くなり、それ以降の変化は急激となります。単独で行う記録を測る競技(陸上競技[短距離、長距離、跳躍、投擲]、水泳、自転車、重量挙げなど)は、だいたい似たような変化を示します。70–80歳あたりで急激にパフォーマンスが悪くなります。別の言い方をすると、そのくらいまでは、本当に少しずつ変化するだけでした

ちなみに40歳クラスにおける100m走の世界記録は9.93秒。10秒を切ってるんですね。柔術で言えばマスター2とか3ですよ。ビックリです。

年齢はただの数字

もちろんこれは世界記録なので、記録自体は普通のおじさんやおばさんが真似できるものではありません。ただし、変化のパターンはだいたい同じです。つまり、普通のおじさんやおばさんでも。70–80歳までなら鍛えていれば結構やれます。衰えるといっても少しずつです。もちろん怪我や病気など、健康に大きな問題が生ずると話は別です。でもまあ、そんなこと言ってたらキリがないですからね。

画像2

上の表にまとめた第1回オリンピックと最近のマスターズ世界記録を比べると歳をとっても結構いけることがよく分かります。およそ120年前のオリンピック記録を、今なら60ー70歳が上回ってしまいます

過去の記事にも書きましたが(下にリンクあり)、柔軟性も筋力も歳をとっても向上します。70歳でもやれば伸びます。わたしの道場にも還暦前に入会し、61歳で青帯になったひとがいます。パワフルにスパーをします。こういう方を見ると年齢はただの数字だと実感します。

引用文献

Tanaka, H., & Seals, D. R. (2008). Endurance exercise performance in Masters athletes: age‐associated changes and underlying physiological mechanisms. The Journal of physiology, 586(1), 55-63.

関連記事

------ 

(注1)実際の記録はここで見られます。
https://drive.google.com/file/d/1PTPWeMhrgD0stHeF05z_xpFaOWj4wgb1/view


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?