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クッキング

寝ていようが起きていようが、イマジネーションの世界がその時時のステータスに縛られることはない。

ある日、気づくと僕は北極にいた。

色彩は豊かでない。想像世界ではなおのこと、北極は白だ。
向こうの山は、山か氷か。知るすべはない。
距離感もわからない。これも白のせい。
小さな点が動いている。クマに違いない。
もちろん、クマも白だ。

山か氷かという問題は、クマでいうなら白黒問題と同じ。
だから僕は直接たずねる。

シロクマですか? それともクロ?
ちなみに、クロなあなたは、クロクマなのですか?

想像界はずいぶん主に都合がいい。
結論を待たずシーンは進む。


海際、ここでも点が動く。
ペンギンに違いない。もちろん黒だ。
北極であってもペンギンは黒だ。

彼らは鳥であっても飛ばない鳥。
その代わりか、鳥であっても泳ぎがうまい。

飛ばない鳥をはねどりと呼ぶとする。
飛べるかもしれない可能性を残すために。
羽根はちゃんとあるから。


生き物は世代を繋ぐ。
どんな生き物を観察してもそこに思いを馳せてしまう。


シロクマは氷の大地
ハネドリは氷の海辺

独りは孤独
二人はいつかは満たされず

コウノトリは飛べる鳥
お届け物が絶えないから

生き物は世代を繋ぐ
大人はいつも忙しく
こどもは退屈だから窓辺でうたう

パパはまだ外
僕は家の中

パパはまだ外で、
ママはクッキング



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