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(コラム)書籍「子どもたちの未来を創ったプログラミング教育」を読む(その2)

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『プログラミング理科』『アルゴリズム算数』


引き続き、上記のプログラミングを題材にした教育に関する本を読み進めています。
まず、第3章「9つのプログラミングの物語ーアルゴリズム算数・プログラミング理科ー」を読みました。

筆者の教室の教え子たちはそんな100パーセント現場発のオリジナル実践でプログラミングを学びました。本章ではその中から9つの物語を紹介します。これらを『プログラミング理科』とか『アルゴリズム算数』と呼んでいます。
プログラミング理科は身近な自然現象のおもしろさを探求します。一方、アルゴリズム算数は日常生活にひそむ数理を探検するのです。

p.73-74

ここで紹介されている『プログラミング理科』や『アルゴリズム算数』の実践的なプログラミングでの学習には驚かされました。

また、気になったところをピックアップ(引用)してコメントを残していこうと思います。

村の地図を歩いてつくる

そこで恵理ちゃんは麻美ちゃん(小2)とい2人で村の地図づくりを始めました。分校前を起点に定め、恵理ちゃんは歩数を数え、麻美ちゃんは道の曲がりぐあいを分度器で測ります(生徒が地面に置いて角度が測れるように、時計の文字盤タイプの分度器を自作して与えました)。

p.75

p.76の最終的に子供たちがプログラミングして作った地図とGoogle Earthでみた地図を比べています。そのそっくりさは圧巻です。
歩数と自作の分度器による角度計測だけで、ここまでのことができるんですね。


正11角形をさがせ

筆者の教室では勉君や愛ちゃんが正11角形をつくり出すのに成功しました。こんなプログラムです。

くりかえせ 11「まえ 100 みぎ 32.7」

「それでは正17角形はどんなプログラムになるんだろうね?」、教師が問いかけます。考えこむうちに愛ちゃんは洞察しました。「わかった。360を11や17でわり算すればいいのよ!」。

p.84

プログラムでの算数の実験として、理想的な結果だと思いました。プログラムを書いていろいろと試行錯誤することによって、なんらかの法則(アルゴリズム)を導きだす。こんな体験ができたら、その法則は一生忘れないでしょうね。
連載記事『高校数学をプログラミングで解く』でもこんな体験ができるようにしていきたいところです。


クモはどうやって巣をつくるかプログラムする

2人は巣づくりデータをLOGOプログラムに変えました。タートルをクモに見立て、人工クモが巣づくりするようにプログラムしていきます。1つひとつ「巣づくりルール」を手続き(プロシージャ)にしてタートルに教えるのです。

p.89

自然(クモが巣づくりするところ)を観察して、それをルール化(アルゴリズム化)して、プログラムを作成していく。こちらも、コンピュータの使い方として理想的なものです。
実際どんな人工クモの巣ができたのか、実際のクモの巣との比較結果などはなかったけど、是非見てみたいものです。


再帰的プログラムで素数をさがす

「めちゃ楽しかった。まるで宝さがしみたい!」

p.101

実は、記事『高校数学をプログラミングで解く(数学A編)「3-1 約数と倍数」』で、素数を求めるプログラムを Processing を用いて作成しています。『双子素数』を探すという、こんな面白い使い方があったとは。


プログラミングに優れた子どもたちの謎

次に、第4章「プログラミングに優れた子どもたちの謎」を読みました。

こういう経験ができることがうらやましいです。


プログラミングに没入する

佳織ちゃんときたらプログラムの誤り(バグ)をねばり強く考え抜き、自身の思考のどこにミスがあるかを必ず発見できるのである。女の子はプログラムを入力しながら、問題を少しずつ着実に解決していく。失敗しても決してあきらめない。何度でもチャレンジする。

p.113

これは、特殊なことではないと感じました。だれでもプログラミングに没入するとよくこうなります。プログラミングを学ぶ人にはこういう没入する時間を是非とってほしいなと思いました。


実験に没入する

男の子は観察データから36時間から44時間で一回りしているらしいとつかんだ。だが本当の回転周期がわからない。そこでロゴで衛星をシミュレートする実験に挑んだ。すると、「42時間で回れ」と教えた場合にうまく行きそうに思えた。
(中略)
しかしこれが正しいのなら翌日の観察スケッチとも一致しなくてはならない。そこで、42時間に24時間をプラスして実行してみる。イオはぴたり翌日の位置に一致して止まった。3日後、4日後を試しても観察データと一致する。「やった、イオは42時間で回っているぞ!」と大喜びした。

p.115

これは、すごくいい実験だなと思いました。まさに理想的な実験方法。観察データから仮説を立て、コンピュータでシミュレートして、その結果を検証して、仮説が正しいことを証明する。
子どものころに、こんな成功体験ができるなんて羨ましい限りです。


失敗してもへこたれない

授業中、真琴ちゃんは与えられた算数問題の解決法について発表し、そのやり方をテレビカメラの前で黒板に式を書きながら説明していったが、自分の考えに誤りがあることに途中で気づいた。ところがまったくパニックに陥らず、自身の思考を後戻りしながら、どこに誤り(バグ)があるかを落ち着いて指摘し、逆に正しい解答をその場で導いてしまったのだった。

p.117

この子のメンタルが強いということもありそうですが、プログラミングをやってきた影響も少なからずあるでしょうね。記事『高校数学をプログラミングで解く(準備編)「1-5 バグへの対処」』でも書いている通り、プログラムにはバグがつきものですので、そのバグに落ち着いて対処していかなければなりません。そんなことを何度も繰り返すと、多少の失敗にはへこたれなくなるのかもしれません。


プログラミングを通して獲得した知識

いいえ、どうやらプログラミングを通して獲得した知識は長期間休眠していてもすぐに目覚める「時間の経過に耐える知識」らしいのです。

p.129

注意すべきは「プログラミングの知識」ではなく、「プログラミングを通して獲得した知識」のことを言っています。そして、これはその通りだと思います。連載記事『高校数学をプログラミングで解く』はまさにこの効果を狙っています。つまり、「高校数学の知識をプログラミングを通して獲得する」ことを狙っています。


今回は、第4章まで読了しました。
今回も子供たちの活躍に感動しました。
第5章以降もまた別途、読んでコメントしていきたいと思います。

MK's papa

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